2026.2.16
パナソニック草津工場の製造・生産管理をITでサポートしてきた経験を生かし、現在は実需起点SCM(サプライチェーンマネジメント)の構築と継続的な改善に取り組み、販売・物流・生産・調達領域の業務改革を推進している。
大学院で専攻していたのは土木・環境系の学問でした。ITに興味を持ったきっかけは、研究に取り組む中で、これまで手作業だったデータの分析作業をプログラムで自動化した経験です。仕組みの導入によって作業効率が大幅に上がり、トライ&エラーの回転が速くなる様子を目の当たりにして、独学でプログラミングを学びはじめました。就職活動でも、ITでお客様の事業に主体的に働きかけられるような仕事を志し、当社に出会ったのです。
当社がガンバ大阪のデジタルマーケティングを支援した事例を聞き、ここでならまさに自分のやりたい仕事ができると思いました。また、祖父が松下幸之助を尊敬しており、自身も幼いころからその経営哲学を耳にしてきたことや、離職率の低さ・柔軟な働き方のできる環境に魅力を感じたことも決め手のひとつでしたね。働きやすさは想像以上でした。とくにフレックス制度には助けられていて、朝は7時半という早い時間に出社し、集中して仕事を進めています。その分、早めに帰宅し、アフター5は趣味の水泳に打ち込んでいます。自分の時間を確保できることが、日中エネルギッシュに働くための支えになっているんです。
入社1年目は、エアコンや食洗機、冷蔵庫といった白物家電を生産している滋賀県の草津工場内の拠点に配属。パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社や空質空調社、コールドチェーンソリューションズ社 などの生産計画立案システムを担当。お客様から届く要望とさまざまな制約条件を踏まえ、開発担当の外注先と連携して、具体的な仕組みをつくっていくような役割です。1年ほどその窓口を経験して、自らお客様の課題解決を提案する仕事に興味がわき、上司に相談しました。そして声をかけてもらったのが、現在も担当している実需起点SCM(サプライチェーンマネジメント)構築の取り組みでした。
実需起点SCMの構築とは、“お客様が欲しいときに商品が買える状態”を保ちながら、過剰在庫によるムダをなくすという、一見相反する課題を同時に解決する取り組みです。販売・物流・生産・調達のすべてに関わるため、まさに会社の経営に直結する重要な取り組みとなっています。加えて、業務の流れや現場の制約を理解し、全体最適の視点を持ちながら、各業務領域の改善策を提案し、実装・改善していく必要もあります。
たとえば、パナソニック製冷蔵庫のシェアが落ちているとき、まずはどうしてそんな状況が生まれたのかを仮説を立てて検討します。他社の値引きの影響なのか? 本来ならもっと売れたはずなのに、在庫不足によって販売機会を逃してしまったのか?
データを見ると、この時期は製品の在庫がとても少なくなっていました。加えて、量販店様からの注文に対し、即座に納期回答することができていないケースが多かったのです。在庫が減ってきたときに、生産のアクセルをすかさず踏めていれば販売に間に合ったかもしれない。でも、アクセルを踏むための人や部品は足りていたのか? 部品を余分に持っておく仕組みが必要だろうか……など。
このように、データと照らし合わせながら仮説を立て、解決策を見出していきます。製品の在庫や余分の部品を持っておくことはコストにもなりうるため、想定売上とのバランスをとる必要があります。その具体的なコストと獲得が見込まれる売上を算出・提示し、お客様に判断を仰ぐ形で、最適なSCMのあり方を検討します。
データを可視化してシミュレーションするだけでなく、具体的な業務で利用するシステムの開発まで担うのが、このポジションの面白さです。いまは中国やベトナムの工場とも連携し、売れ行きや日本各地にある倉庫の在庫状況を見ながら、各拠点に入庫させる製品の台数を検討する仕組みを構築しています。
一方で、こうした仕組みが整う以前は、Excelデータがバケツリレーのように受け渡しされていました。たとえば、マーケティングから報告される販売見通し情報や、工場がまとめる「いつ・どこに・何を・何台動かすか」といったデータは、すべて個別のExcelで、手作業で管理されていました。でも、今後さらに、鮮度の高い情報で意思決定を進めていくために、各業務の実施頻度が増えることが予想される中、このような手作業を残しておくことはできません。さまざまな場で使われるExcelを速やかにデータ化しクラウドに蓄積、発注や在庫管理システムと自動で連携できる仕組みや業務フローを整えていけば、仕事はかなり効率化されていき、売上や利益を増やすための新たな取り組みにチャレンジすることにつながります。
ただ、現場に寄り添うシステムをつくるためには専門性の高いお客様と話さなければならず、はじめのうちは用語や業務の背景を満足に理解することすらできませんでした。しかし、わからないことをそのままにせず、聞いたり、調べたり、お客様の立場を想像して考えたりした結果、参画して3年目の現在では、お客様の意図を先回りした提案やプロセス設計を、少しずつできるようになってきていて、自身の成長を感じます。自分のつくったシステムがお客様の業務で活用されていく様子を見たり、数字で結果が出せたりしたときは、大きなやりがいを感じますね。「戸田さんがつくったこのツールのおかげで、こんな良いことがありました」と言われると、とてもうれしいです。
取り組みに参画した当初は、お客様から言われるままに機能を実装し、ツールを開発していたこともありました。でも、そうしたツールは、本来やりたいことにフィットしなくなり、結局現場でもあまり役に立たないことが多いです。反対に、開発者視点ばかりに基づいてシステムを構築するのもよくないんです。つい「このプログラムならこんなこともできる」「あんなこともやれそうだ」と機能重視の考え方に陥ってしまい、そんなシステムもまた、現場にフィットするとは言えません。
そこで私たちがするべきは、お客様の要望をそのまま受け取って機能を実装したり、機能のことばかり考えたりするのではなく、お客様の見ているゴールを一緒に見ることです。お客様と同じ視点に立って同じ方向を目指してさえいれば、つくるものと現場が求めるものの間にズレはなくなるはずです。開発チームと会話をするときも、その視点に基づいて「こういうことに困っているから、こういう判断をするために、こういうデータがほしい、それをこう見せたい」とわかりやすく言語化し伝えることで、開発チームのモチベーションも変わってきます。目の前の作業が何につながっていくのか、目標を明確に共有できるのです。その結果、完成する成果物の精度も上がるのです。
また、変化が激しく、先を見通しにくい時代において、多額の時間とコストを投資して、ベンダーにシステムの開発を頼むことは、特に業務改革を待ったなしで進めるようなケースでは、現実的ではありません。グループ内で取り組みを推進し、毎週なにかしらの成果物を出しながら現場と連携してブラッシュアップしていく、私たちのようなチームと改善フローが求められてくると思います。
こうしてSCM全体を見て、要件定義から開発・導入まで関わる取り組みは、当社の中ではまだ珍しい仕事です。だからこそ先発隊として、まずはいま取り組んでいる冷蔵庫事業で着実に実績を出し、他部門の業務改革に横展開できるような進め方や考え方を確立していきたいところ。いまは、全国の在庫の偏りをなくし、効率的に配分する仕組みづくりも新たに検討しているところです。
若手のチャレンジを奨励し、何かあればすぐ上司がサポート・支援をしてくれる後ろ盾があるからこそ、こうした新しい取り組みにも飛び込んでいけます。「自分の仕事はここまで」「ここからはシステム担当に聞いてください」などと線引きをせず、むしろ自分がハブになってさまざまな業務をつなげ、価値を提供していこうと思う人にとっては、存分に力を試せる環境が当社にはあります。これからも自分なりの想いや目的を持ち、学びを深めながら進んでいく姿勢を大切に、仕事を成し遂げていきたいと思います。
※所属部門はじめ、内容は取材時のものです
Panasonic Information Systems Co., Ltd.