すまいの保険のコラム
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「春一番」と聞くと、厳しい寒さもそろそろゆるみ始める春の訪れの予感……とウキウキする方も多いかもしれません。その一方で、春一番といえばかなり強い風。うっかりケガをすることのないよう、気をつけなければなりません。今回は、強風・突風で起こりやすい事故の事例と対策についてご紹介します。
春一番が吹くと暖かくなるだけではない
春一番ってどんな風?
気象庁によると、春一番とは「冬から春への移行期に初めて吹く、暖かく強い南寄りの風のこと」で、気象庁では立春から春分までの間に吹くこのような風を、春一番として発表しています。暖かい風が吹くため気温は上がり、春の訪れへと期待は高まりますが、その一方で竜巻などの災害を招くことも少なくありません。実は、春一番という言葉も災害がルーツ。もともと、長崎県・五島列島沖の漁師の間で、海難事故を機に使われ始めた言葉だといわれています。
強風による事故は2月~4月に増加
東京消防庁によると、一部地域を除く管内で、平成18年から22年までの間に強風・突風による事故で救急搬送された人は779名。月別に見ると、少ない月では20名ほどなのに対して、2~4月の3カ月だけはいずれも100名を大きく上回っています。このデータからも、春一番が吹く前後の時期は、強風・突風で事故が起きやすいといえます。
続いては、同じく東京消防庁が発表している事故の事例を見てみましょう。
強風・突風で起こった事故の事例
・歩行中にバランスを崩す
右足が不自由な82歳の男性が、妻に付添われながら歩いていたところ、強風にあおられて転倒し受傷したもの。
(平成22年9月西東京市、82歳男性、重症)
・飛来物、落下物と接触する
52歳男性が、建築現場付近を歩いていたところ、立て掛けてあった木製コンパネと鉄製パイプでできた型枠(高さ約3m・横幅約10m)が強風にあおられて倒れ、男性が受傷したもの。
(平成22年5月新宿区、52歳男性、重症)
春一番ほどの強風となると、風上へ向かって真っ直ぐ歩くのは難しいこともあります。また、横からの風でよろめいたり、背後からの風で道路に飛び出してしまったりということも。飛来物や落下物、転倒物は予測しにくいので、周りをよく見て歩くしかありません。できれば公共交通機関を利用するなどして徒歩を減らし、徒歩の場合はなるべく屋内や地下道を通るなど、工夫したいところです。
・乗り物などがあおられ転倒する
母親が公園内において、1歳の男児を自転車の前かごに乗せたまま券売機で入園券を購入していた際、自転車が強風で倒れ、乗っていた男児が頭部を受傷したもの。
(平成22年4月立川市、1歳男児、中等症)
・傘があおられ転倒する
90歳女性、傘をさしながらカートを押して歩いていた際、路上で風にあおられて転倒し、歩行不能となったもの。
(平成22年2月大田区、90歳女性、中等症)
自転車やベビーカー、傘など風にあおられやすいものがあることで、思わぬ影響を受けることが。強風の日には、風にあおられやすいものを避け身軽にしておくのがおすすめです。
強風時には車の運転も要注意
横風はハンドルを取られやすい
強風時の運転で気をつけたいのは、向かい風や追い風よりも「横風」です。高速道路や橋、トンネルを出た直後などは、ハンドルをしっかり握っておかないと横風の衝撃に驚かされることも。慌ててあらぬ方向へハンドルを切ってしまわないよう、注意して走りましょう。
大型車を追い越すと危険
強風時にもうひとつ注意したいのが「大型車を追い越す」行為。まず、大型車の陰に入ることで急に風の影響が弱まり、そして追い越した直後は再び横風の衝撃が襲ってきます。ハンドル操作がかなり難しくなりますので、追い越し自体を避けたほうがよいでしょう。
気温上昇による雪崩にも要注意
この時期でも、山間部では雪が残っている場所が多くウィンタースポーツを楽しまれる方もいるかもしれません。しかし、暖かくなりつつあるこの季節の雪山では、雪崩への注意が必要です。
春一番は暖かい風が吹き、気温が上がるため、雪山では積雪層全体が滑り落ちる大規模な雪崩の発生に注意をする必要があります。雪崩の速度は時速40~80キロと自動車並みの速さとなり、発生した雪崩から逃げることは不可能です。
重要なのは、過去に雪崩が発生した場所を知っておくこと。また、低木林やまばらな植生の斜面、「落石注意」の標識が設置されている場所には注意しましょう。さらに、雪の斜面に亀裂が発生している場所は雪崩の可能性が高くなっているため近づかないほうがよいでしょう。
「春一番」といえば、ニュース映像でよく見かけるような、街頭で強風に帽子やコートをあおられている人の様子を思い浮かべる人もいるかもしれません。帽子が風に飛ばされるのも困りますが、ケガにつながりかねないさらに危険な状況も、決して少なくないのです。
普段から強風時の対策を意識し、いざ強風が吹いた時には冷静に、無理せず行動するようにしましょう。
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※本コラムは三井住友海上火災保険株式会社の「ソナエルラボ(https://www.ms-ins.com/labo/)」より引用しております。