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Wi-Fi6とは?簡単に解説!5GやWi-Fi5との違いも紹介

更新日:2024/03/22
Wi-Fi6とは?簡単に解説!5GやWi-Fi5との違いも紹介
Wi-Fi6は次世代の通信規格であり、従来のWi-Fi5に比べて約1.4倍の最大通信速度がある高速大容量の通信技術です。今回はWi-Fi6を導入するメリット・デメリットから、利用する際に注意すべきポイントまで徹底解説していきます。企業などでWi-Fi6を利用する際は、本記事を参考に選ぶべきアクセスポイントや端末を検討ください。
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Wi-Fi6とは?

Wi-Fi6とは?

Wi-Fi6とは、PCやスマートフォン、タブレットなどのデバイスを無線でインターネットへ接続する規格の一種です。
Wi-Fi6は2019年9月から提供が開始されました。
次世代通信規格の5Gが外部の広い範囲で高速大容量、超低遅延、多数同時接続を実現しているのに対し、Wi-Fi6はオフィス内など狭い範囲内で5Gとほぼ同じ機能性を持っている点が特徴です。
近年はオフィス内のフリーアドレス化などにより高速大容量の安定的な通信が必要なケースが増えています。
Wi-Fi6はWi-Fi専用の周波数帯を使用しており、従来のWi-Fiに比べて通信の安定性が高く、電子レンジなどの影響を受けにくくなっています。

そもそもWi-Fiとは何?

最近ではWi-Fiを利用できる環境下で過ごすことが当たり前になっていますが、そもそもWi-Fiとは何でしょうか。
正式名称は”Wireless Fidelity”と言い、米国電子学会(IEEE)がWi-Fiの標準規格として「IEEE 802.11」を定めており、規格に応じて末尾のアルファベットを変化させます。
Wi-Fiの基本的な構成は、PCなどのWi-Fi対応のデバイスとWi-Fiルーターから成り立ちます。
Wi-Fiルーターは有線の接続からデータを受け取り、それを無線信号に変換してデバイスに送信します。
デバイスはこれを受信し、ワイヤレスで通信を行うので、インターネットなどにケーブルを使わずにアクセスできます。
その技術のことをWi-Fiといいます。

Wi-Fiの仕組み

Wi-Fiは、LAN(ローカルエリアネットワーク)を使った小規模ネットワーク技術を、無線で接続できるものです。
現代のWi-Fiは光回線を利用し、モデムを通した固定回線でインターネットに接続できます。
モデムがインターネットとの窓口となり、モデムと接続したルータにPCやスマートフォンなどがインターネット接続をリクエストすることで、無線LANを利用できます。
Wi-Fiは固定回線を利用するため、スマートフォンやタブレットなどのモバイル回線より回線速度が速く、安定性が高い点が特徴です。
接続も認証キーが暗号化されているため、パスワードを知る人しかアクセスできず、不正侵入へのセキュリティ対策もされています。

Wi-Fiの名前の由来

1990年代までは有線LANでインターネットに接続するのが一般的でしたが、有線LANには大きな問題が2つありました。
LANケーブルを繋がなければインターネットに接続できないことと、ハブを利用するため配線が混雑し、見栄えが悪いという問題です。
そこで無線LANという技術も開発されましたが、当初は第三者の不正侵入のしやすさが課題でした。
2000年代以降は無線LANの課題を解決するため、Wi-Fiは「Wi-Fi Alliance」という団体の統一規格により、セキュリティを強化した無線LANが認定されました。
これが登録商標の「Wi-Fi🄬」となり、今では「無線LAN=Wi-Fi」として定着しました。

Wi-Fi6と従来の規格との違い

Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)と、過去のWi-Fi規格との主な相違点は以下の通りです。
Wi-Fi 6は、過去のWi-Fi規格よりも高速で効率的なデータ転送を実現します。
これは、新しい技術や向上したモデュレーション方式の採用により達成しています。
Wi-Fi 6は同時に複数のデバイスとの通信においても高速性を維持できるため、多数のデバイスが同時に接続された状況でも高いパフォーマンスを提供します。
これはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)などの新技術により、チャンネルの利用効率が向上し、混雑が軽減されることで実現可能です。

またWi-Fi 6は、データの送受信時の遅延を最小限に抑えます。
これにより、リアルタイムのアプリケーションやサービス(例: オンラインゲームやビデオ通話)の利便性が向上します。
過去の規格よりも強化されたセキュリティ機能が組み込まれています。
これには、WPA3(Wi-Fi Protected Access 3)と呼ばれる新しいセキュリティプロトコルが含まれます。WPA3は、より強力な暗号化やセキュリティキーです。

またWi-Fi 6には、デバイスのバッテリー寿命を延ばす機能も備わっています。
これは、ターゲットウェイクタイムと呼ばれる新機能によって実現されます。
ターゲットウェイクタイムは、デバイスが一定の時間間隔でネットワークに接続を確認する頻度を調整するため、非常に省電力を実現します。

世代 新名称 規格名 最大通信速度 周波数
第6世代
(2019年)
Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax 9.6Gbps 2.4GHz帯/5GHz帯
第5世代
(2013年)
Wi-Fi 5 IEEE 802.11ac 6.9Gbps 5GHz帯
第4世代
(2009年)
Wi-Fi 4 IEEE 802.11n 600Mbps 2.4GHz帯/5GHz帯
第3世代
(2003年)
- IEEE 802.11g 54Mbps 2.4GHz帯
第2世代
(1999年)
- IEEE 802.11a 54Mbps 5GHz帯
- IEEE 802.11b 11Mbps 2.4GHz帯
第1世代
(1997年)
- IEEE 802.11 2Mbps 2.4GHz帯

Wi-Fi6に対応している機器

Wi-Fi 6は、高速かつ安定したワイヤレス通信を実現する新たな規格です。
しかし、その恩恵を受けるにはWi-Fi 6に対応した機器が必要です。
主な対応機器には、最新のスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、そして一部の新しいWi-Fiルーターが含まれます。
Wi-Fi 6の特長である「OFDMA」や「MU-MIMO」を活かすには、通信を行うデバイス同士がWi-Fi 6に対応している必要があります。
しかし「Wi-Fi 6」での通信に対応していない、既存の規格に対応している機器はどうなるのでしょうか。
既存のWi-Fi子機や従来の規格に対応している機器とは、引き続き従来の方法で通信が行えます。
つまり、Wi-Fi 6に対応している機器と従来の機器が同一ネットワーク内で共存でき、利便性が保たれています。
このような対応機器を利用することで、より高速で信頼性の高いワイヤレス通信が可能となり、今後ますますWi-Fi 6の普及が進むことが期待されます。

Wi-Fi6に対応しているスマホ

スマートフォンでWi-Fi6に対応しているのは、それぞれ以下のシリーズ以降です。

  • iPhone11
  • iPhone SE
  • Galaxy S20
  • AQUOS R5G
  • Xperia 1 Ⅱ

これらの機種以降に登場したものは、Wi-Fi6対応のスマホと考えて問題ありません。
詳しい内容はメーカーのホームページ、または製品情報でも確認しましょう。

Wi-Fi6の導入メリット

Wi-Fi6の導入メリット

Wi-Fi6は5Gに並ぶ次世代の通信規格として、私達の生活にさまざまなメリットを与えてくれます。
どのようなメリットがあるのか、具体的にご紹介いたします。

通信のスピードが上がる

近年、動画視聴や家庭内でのスマホ使用率の上昇、4K・8Kといった映像の画質向上により、高速大容量のインターネット通信が欠かせなくなっています。
従来のWi-Fiは通信速度が不安定で、回線の遅さが問題になってきました。
しかしWi-Fi6では、以前のWi-Fi5よりも1.4倍ほど通信速度が向上し、一度に大量のデータ通信が可能になります。
またWi-Fi6は従来使用していた5GHz帯だけでなく、2.4GHz帯と5GHz帯を利用できるようになり、電波状況に合わせたインターネット接続が可能です。

通信のスピードが上がる

端末が増えても快適に繋がる

IoTの進歩により、冷蔵庫やエアコンなどのスマート家電が登場し、Wi-Fiを通じてインターネットに接続できるようになっています。
以前の規格であるWi-Fi5までは周波数帯が5GHz帯しかないため、複数のデバイスで接続すると通信しにくくなる問題点がありました。
しかしWi-Fi6は複数の周波数帯がある利点を生かし、複数のデバイスが接続しても快適に利用できるようになっています。
この方式は直交周波数分割多元接続(OFDMA)と呼ばれ、ショッピングモールや駅などの多くの人が同時にデバイスを利用する環境下でも、快適に通信できる無線通信方式です。

端末が増えても快適に繋がる

省エネルギー効果がある

家電製品の省電力化は年々進歩しており、Wi-Fi6も例外ではありません。
Wi-Fi6は、PCやスマートフォン、家電など、接続デバイスのエネルギー消費を抑えるTWTという技術が活用されています。
TWTは「Target・Wake・Time」の頭文字を取ったもので、データ通信のタイミングをコントロールし、通信が必要ない時には自動でスリープモードに切り替える技術です。
スマートフォンやタブレットは大量のデータをロードし処理すると内部が高温になり、バッテリーにダメージを与えることがあります。
スマート家電やPCでも同じことがいえますが、TWT技術によって省エネルギー化とバッテリーの長寿命化を実現できます。

省エネルギー効果がある

セキュリティを強化できる

Wi-Fi6には新しいセキュリティ規格の「Wi-Fi CERTIFIED WPA3」が組み込まれており、従来のセキュリティ規格よりも強固になっています。
個人向けと企業向けの2種類も用意されており、どのような用途にも対応できるセキュリティ性能の高さがメリットです。

Wi-Fi6の導入デメリット

Wi-Fi6は次世代の通信規格として、非常に優れた技術です。
しかし少ないながらもデメリットもあります。

  1. Wi-Fi6に対応した端末が必要
  2. 対応端末が高価

Wi-Fi6は対応アクセスポイントの準備と、Wi-Fi6に対応したデバイスがなければ利用できません。
スマートフォンであればiPhone11以降でないと対応していないため、自身の使用端末が対応しているかどうかの確認が必要です。
また、Wi-Fi6は2019年に出たばかりの通信規格で、対応する端末は新技術を採用している分高価になります。
Wi-Fi5と同様、普及とともに価格も安定すると考えられますが、しばらくの間は高価な状態が続くでしょう。

5Gの普及でWi-Fi6が注目されている

5Gとは何か

5Gは「第5世代移動通信システム」の略称で、従来の通信規格である4Gの次世代規格です。
大容量のデータを高速でやりとり可能になり、広範囲に複数のデバイスが接続しても通信速度が低下しません。
Wi-Fi6が自宅や職場などの狭いスポットで利用するのに対し、5Gは外出先での高速通信に対応しています。
通信の安定性ならWi-Fi6、移動先での利用なら5Gという風に、それぞれに異なるメリットがあります。
どちらが優れているというわけではないため、双方をうまく使いこなすことがこれからの時代には求められるでしょう。

5GとWi-Fi6は相互の弱点を補完できる

Wi-Fi6は非常に便利な通信技術ですが、家庭内やオフィスなどの限られた空間でしか利用できない弱点があります。
そのためオフィスビルや駅構内、ショッピングモールのような閉鎖空間の通信には強いですが、広域での利用はできません。
一方、5Gは基地局からの電波の届く範囲内なら、どこでも安定した高速大容量通信が可能です。
ただし、5Gはあくまでスマートフォンやタブレットの回線を利用するため、Wi-Fi6のように無制限の利用は難しいでしょう。また地方では、基地局自体がないエリアも珍しくありません。
5GとWi-Fi6は相互の弱点を補完する関係にあり、Wi-Fi6の利用しにくい環境では5G、5Gの利用しにくい環境ではWi-Fi6が活躍するようになるでしょう。

Wi-Fi6から採用された新技術

Wi-Fi 6から採用された新技術は「高速化」「省エネ」「安定性」を実現することができます。
その技術には「OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)」「MU-MIMO(Multi-User, Multiple Input, Multiple Output)」「Spatial Reuse(空間再利用)」などがあります。
聞きなれないこれらの言葉について、詳しく解説していきます。

OFDMA

OFDMAとは、ワイヤレス通信で「同じ場所で複数のデバイスが同時に通信する」ことをスムーズにする技術です。
通信の道をいくつかに分け、それぞれのレーンを独立して使うことで、複数のデバイスが同じ周波数で混み合わずにデータを送受信できるようになるのです。
これによって、混雑した場所でも通信がスムーズで速くなります。
簡単に言うと、多くの人が同時に使ってもネットがストレスなく動くようになる仕組みです。

MU-MIMO(Multiple Input Multiple Output)

MU-MIMO ワイヤレス通信技術で、通信機器が複数のアンテナを持ち、同時に異なるデバイスと個別に通信できるようになる仕組みです。
これにより、従来の方式よりも効率的にデータを送受信でき、通信速度が向上するのです。
家庭やオフィス、公共施設などで複数のデバイスが同時に利用される場面でも、通信速度が落ちずに安定した通信が可能となります。
MU-MIMOはワイヤレス通信をより多くのデバイスに適応させ、同時に高速かつ効果的な通信を実現する技術なのです。

Spatial Reuse

Spatial Reuseは、無線通信において「同じ周波数を有効に再利用し、通信同士の干渉を最小限に抑える」ことができるものです。
これにより、同じ周波数を使用している複数のデバイスが互いに影響しにくくなり、通信の効率が向上します。
一つのエリアでの通信が終わると、その領域で再び同じ周波数を使って別の通信が可能になります。
Spatial Reuseは同じ周波数を使い分けて通信の干渉を最小化し、ワイヤレスネットワーク全体の性能を最適化する技術です。

Wi-Fi6を導入する際の選び方・注意点

Wi-Fi6を導入する場合、最初に確認することは、アクセスポイントとデバイスがWi-Fi6に対応しているかどうかです。
Wi-Fi6を利用するには、それぞれに対応するアクセスポイントとデバイスがなければ、Wi-Fi6本来の高速大容量通信の力を発揮できません。
しかしWi-Fi6には互換性があるため、デバイスがWi-Fi5までしか対応していなくても、通信自体は可能です。
またWi-Fi6を5GHz帯で利用する場合、壁などの障害物によって接続できなくなるおそれがあります。
電波は周波数帯が高くなるほど障害物に弱くなる性質があり、広いオフィス内や通信を障害する要因が多い環境での利用には不向きです。
その場合は周波数帯を2.4GHz帯に変更するなど、状況に合わせて切り替えましょう。

無線LANシステムならパナソニックEWネットワークス

オフィスの無線LANシステム構築では、多くの企業が次のような課題を抱えています。

  • 電波管理の複雑さ
  • スマートフォンやノートPCなどの通信の不安定
  • トラブル対応の手間
  • セキュリティ対策

企業にとって、独自の無線LANシステムは専門の技術者が常駐しなければ、効率的な管理が難しいのが一般的です。
企業のネットワークにかかる課題を効率化し、快適な通信環境を構築するなら、パナソニックEWネットワークスのネットワークスソリューションをご検討ください。
パナソニックEWネットワークスは環境調査からシステム設計、運用・保守までワンストップで対応いたします。
法人様向けWi-Fi6のネットワーク構築も実績がございます。信頼できる通信環境を構築するならパナソニックEWネットワークスまでご相談ください。

企業のICTにはWi-Fi6で対応しよう

Wi-Fi6は次世代の通信規格であり、従来のWi-Fiよりも高速大容量の通信が可能です。
利用できる範囲は限られますが、安定的な通信が可能で、日常的にインターネットを利用する企業においては役立つ技術です。
特にICTを進めるなかで、複数のデバイスでの同時接続の機会も増えるため、Wi-Fi6による通信環境の構築は必須といえるでしょう。
ビジネスを高速化し、生産性を向上させるには、Wi-Fi6を積極的に採用しましょう。

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