すまいの保険のコラム

~大地震から大切な家や家財を守る~ リスクを知って正しく備えましょう

目次

    いつどこで起きるかわからない大地震。1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災などが記憶に新しいですが過去には7,000人以上の死者を出した東京湾北部から現在の江東区辺りを震源とする安政江戸地震(1855年)、少なくとも20,000人の死者が出たと推定される遠州灘~四国沖を震源とする宝永地震(1707年)など
    日本では一般にはあまり知られていないものも含めて大地震が数多く起こってきました。
    これを機に地震リスクを正しく知った上で、今後の備えについて考えてみましょう。

    日本の地震リスクを知る

    日本が地震大国であるということはいうまでもありませんが、実際にどの程度のリスクがあるのでしょうか。日本周囲の海溝は多くのプレートの境界で囲まれ、さらに活断層も多く存在します。政府の地震調査研究推進本部は、これら多くの地震リスクをモデル化して地震リスクを評価・公表しています。

    図表1は同組織の「全国地震動予測地図」の最新版(2018年版)のうち、「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」が図示されたものです。これを見て分かる通り、近畿地方は南海トラフに接する和歌山・三重沿岸部が「高い(26%以上)」確率となっている他、大阪・兵庫・奈良の人口密集地域も高くなっています。日本全体を見れば黄色(0.1%未満)になっている地域の方が稀であり、どこに住んでいても大地震のリスクは決して小さくありません。

    近年さまざまなメディアで「南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は70~80%」との報道がされますが、これは同組織の研究から試算されたものです
    出典:「全国地震動予測地図2014年版」(地震調査研究推進本部)
    https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kaiko/k_nankai/)(2020年10月5日に利用)

    図表1:今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース・全地震)

    出典:「確率論的地震動予測地図(2019年1月修正版)」
    (地震調査研究推進本部)
    https://www.jishin.go.jp/main/chousa/18_yosokuchizu/yosokuchizu2018_chizu_2.pdf)(2020年10月5日に利用)

    図表1:今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース・全地震)

    同研究からは特定の大地震が発生した場合の「想定被災人口」など、さまざまなデータが提供されており、これらを防災科学技術研究所は「地震ハザードステーションマップ」として公開しています。地域別・震度別など簡単な操作で地震リスクを閲覧することができます。例えば図表2の利用例では、近畿地方を中心に「今後30年間に震度6強以上の揺れに見舞われる確率」に、「主要活断層帯」(赤メッシュ)と「その他の活断層」(黒線)を重ねています。

    図表2:地震ハザードステーションマップの利用例

    出典:地震ハザードステーション(防災科学技術研究所)

    図表2:地震ハザードステーションマップの利用例

    地震の被害は住居だけでなく家財も

    大地震の物的被害といえば、建物自体の損壊が真っ先に思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、家財への被害も忘れてはなりません。阪神淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)などでは、ご自身や周りで家財にも被害を被った経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか

    日本は地震大国なので、震度5くらいならあまり大した事はないのではないか、とお考えになる方もいるかもしれません。しかし、気象庁の「気象庁震度階級関連解説表」にも示されるように、震度5弱の屋内の状況は、電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。気象庁「気象庁震度階級関連解説表」と、住宅が倒壊しなくとも家財に損害が出るリスクが高いのです。

    図表3は、日本地震再保険株式会社の「再保険金支払額上位20地震等」に一件当たり支払額を追加したものです。被害が大きな地震であっても平均で見れば地震保険の支払額は51~184万円で、住宅倒壊で想起するような大損害ばかりではないことがわかります。これは地震被害が広範囲にわたることから全損、半損、一部損など被害状況が多様で、家財だけが壊れたケースも多くあるためです。逆にいえば、家財被害で済むような軽微な地震被害にまでリスクを想定すれば、地震被害のリスクは想像以上に高いのです。

    図表3:再保険金支払額上位20地震等

    出典:日本地震再保険株式会社「日本地震再保険の現状2019」に一件当たり支払額を加筆

    図表3:再保険金支払額上位20地震等

    地震保険加入率は増加傾向だが未だ低い

    図表4は地震保険の契約件数、世帯加入率、火災保険への付帯率を示しています。いずれも年々増加しており、特に阪神淡路大震災(1995年)・東日本大震災(2011年)を境に契約件数が大幅に増加しています。2018年度時点で件数は1,800万件を超えましたが、世帯加入率は32.5%にとどまり、火災保険の付帯率も6割程度に過ぎません。

    図表4:地震保険の契約状況の推移

    出典:日本地震再保険株式会社「日本地震再保険の現状2019」

    図表4:地震保険の契約状況の推移

    大きな地震を契機に地震リスクの認識を改めるのもきっかけの一つです。「今後30年以内に高い確立で大地震が発生する」と言われても、地震が起きるのは明日かもしれないのです。日本の地震リスクの大きさや被害の「範囲」(地理的な被害の範囲と家財なども含めた被害)を考えれば、いち早く備えておくのが良いでしょう。

    マンション住民も他人事ではありません

    ここまでの話を戸建に住んでいる人に向けてのものと考える人もいるかもしれませんが、マンションなどに住んでいる人も無関係な話ではありません。日本損害保険協会によれば、マンションの地震保険は「共用部分」と「専有部分」に分かれます。世帯加入率の低さは図表4の通りですが、専有部分だけでなく、共用部分の地震保険加入状況もわずか43%に過ぎないのです。

    「専有部分」や「家財」について居住者が備えることはもちろん、共用部分についてもマンション管理組合で地震保険に加入しているか確認しておく事が大切です。

    ウェザーニュースが2019年に行ったアンケート調査では、「30年以内に住んでいる街に大地震が発生する」と考えている人は88%に達します。しかし「10年以内に発生する」と考えている人は、関東地方などで70%を超えますが、近畿地方では50%強に過ぎません。

    地震に備えて非常持ち出し袋を用意したり、避難ルートを確認したり、緊急地震速報を受信できるようにするなど、自分の身を守るための方法は沢山あります。それに加えて、もし家や家財に損害が出た時の場合に備え、地震保険を検討しておく事も一つの手ではないでしょうか。
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    東京海上日動火災保険株式会社 
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