すまいの保険のコラム
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近年警察による啓蒙活動、防犯設備機器の普及などで空き巣被害は減少傾向にありますが、それでも全国で空き巣は年間約2万件発生し、検挙されるのは半数に過ぎません。年間を通してみると、これから年末にかけて住居の空き巣被害が増えていくことが予想されます。どのような家が狙われやすいのかをしっかりと理解し、必要な空き巣対策を講じていきましょう。
年末や長期休暇を狙う空き巣
留守の家は特に空き巣に狙われやすいです。図表1は警視庁管轄での侵入窃盗・空き巣の認知件数を示していますが、空き巣は年末にかけて増加し、それ以外では5月が多いことがわかります。これは帰省や旅行などで家を空ける人が多いためです。
図表2の曜日別空き巣認知件数を見ても、不在になりがちな平日の件数が多い傾向が見られます。
ちなみに、2020年1~9月の大阪府における住宅対象の侵入窃盗認知件数は前年同期比30%減の723件に留まりましたが、これは緊急事態宣言中の在宅ワークなどで自宅にいる人が増えたからと考えられます。今後の経済活動活発化によって再び留守が増えることになると、より警戒が必要でしょう。
一戸建てや単身世帯は狙われやすい
マンションよりも一戸建ての方が留守か在宅かどうかが分かりやすく、空き巣に狙われやすい傾向があります。図表3は、住宅形態・世帯構成別に見た10万世帯当たりの空き巣認知件数を示しています。住宅形態で見ると4階建以上共同住宅が12.6件なのに対し、一戸建て住宅はその3倍以上となる45.3件発生しています。
世帯別に見ると、夫婦のみ世帯(32.3件)やその他の世帯(31.3件)に比べ、単独世帯は45.8件と空き巣の発生率が高いことが分かります。また、同じ単独世帯でも高齢者世帯に比べて若中年層の被害率が高いですが、これについても在宅率が関係していると思われます。
もちろん複数人世帯やマンションだから大丈夫ということはありませんが、一戸建てに住んでいる人や単独世帯の人は特に注意しなければならないといえるでしょう。
アンケートにみる空き巣に狙われやすい家
ところで、なぜ空き巣は単独世帯であると判別できるのでしょうか。それは念入りに下見をしてから犯行に及ぶためです。
警察庁は、2008年に全国11拘置所・拘置支所で、382人の財産犯(窃盗・強盗など)と身体犯(傷害・暴行など)の被疑者に対して下見や犯行場所の選定理由などについてアンケート調査をおこないました。(雨宮ら, 2009)このうち、窃盗の被疑者の15%が事前に下見をおこなっていたことが分かりました。ただしこれは捕まった者の話であり、捕まっていない残り半数も考慮すると、油断できない数字といえるでしょう。
また、図表4は下見をおこなった被疑者に対し何度下見をおこなったかについての回答結果を示していますが、2回、3回以上と念入りに下見をするケースも30%を上回っています。
図表5は、上と同じ調査で「犯行場所の選定理由」について、窃盗被疑者の回答を示しています。「偶然」という被疑者が最多となっていますが、それ以外にも「施錠していなかった又は侵入が容易だったから」のように防犯設備や不用心を理由とするものや、「人通りが少なかったから」のように周囲の環境を理由とするもの、「留守だとわかっていたから」のように家人がいないことを理由とする回答も目立ちます。これらの観点で対策を検討してみましょう。
空き巣対策1:防犯設備と防犯意識の見直し
ドラマや映画の世界ではピッキングを用いる窃盗犯がよく描かれますが、現実の空き巣のほとんどはもっとシンプルな方法で侵入してきます。図表6は空き巣がどのように侵入したかについてのデータを示していますが、無締り(無施錠の扉や窓からの侵入)とガラス破りが全体の8割近くを占めます。さらに施錠明け(7.5%)の大半は合い鍵での侵入であり、いわゆるピッキングは104件に過ぎません。
この傾向からまず取るべき対策は「戸締まり」と「ガラスの強化」です。外出時は戸や窓の施錠だけでなく、ガラス破りをされにくい住宅にする方法が考えられます。例えば警察庁の「住まいる防犯110番」では、防犯ガラスやロック付きのサッシ、雨戸・シャッター、面格子などの防犯対策が紹介されています。
このサイトでは泥棒の約7割が5分で侵入をあきらめるというデータも紹介されています。防犯カメラなどの防犯設備も有効ですが、そもそも物理的に侵入が難しい状況を作ることが重要です。
空き巣対策2:地域での協力
近年は地域コミュニティの希薄化が進んでいるといわれますが、防犯に関して地域住民同士で協力するのは有効な方法です。住まいる防犯110番では、侵入犯罪をあきらめる第一の理由として「声をかけられた」というデータがあることから、地域コミュニティで協力しながら防犯意識を高めることの重要性が指摘されています。他にも長期不在時は隣近所に声をかけ合うなどの方法も提案されています。
空き巣対策3:留守を悟られない
空き巣は当然留守を狙ってくるわけですが、留守の場合でもそれを悟られないようにすることが大切です。例えばALSOKは空き巣に有効な防犯対策の中で、「ポストに手紙を溜めない」ことや、「外出時は洗濯物をなるべく外に干さないようにする」といった留守を悟られない方法を提案しています。そのほか実名SNSで長期旅行の予定などを発信するのも注意が必要でしょう。
また、留守だと判断されやすいものの一つに「駐車場」があります。駐車場がある一戸建て住宅の場合、自動車が無いことで留守を悟られる可能性があります。米国NBC系のテレビ局KGWは2017年に86人の泥棒(受刑者)に対し、どのように侵入したか、空き巣被害に遭わないためにはどうすれば良いかの調査をしています。
その中に「自動車が停まっていることが最善の予防策の一つ」という興味深い結果があります。受刑者は空き巣被害に遭わないための対策として「余っている自動車を停めておく」という案を挙げており、駐車場を空けないようにするのが重要であることが分かります。
空き駐車場を貸すという防犯対策
とはいえ、なかなか余分な自動車を用意するのは難しいでしょうし、日本の住宅事情を考えれば、予備の自動車のための駐車場まで確保できない場合がほとんどでしょう。
その解決策の一つとして「自宅の空き駐車場を貸してしまう」という方法があります。例えばakippa(あきっぱ)というシェアリングサービスでは、個人宅や事業所などの空きスペースの保有者がオーナー登録をし、駐車場を利用したいユーザーに対して有償で提供する事が可能です。
登録料や利用料は無料で、駐車料金の一部は24時間体制でのサポート活動などに使われ、残りがオーナー報酬として貸し手に支払われる仕組みです。200万人以上の会員がおり、40,000箇所以上の駐車場が登録されています。利用する側もアプリを通じて15分から予約可能で、事前予約・決済なので安心して利用可能です。
akippaを使って不在時に空き駐車場を貸し出すことで、外出時も自動車が停まっている状態を作り出すことができ、結果的に空き巣に目をつけられにくくなります。
akippaに貸し出して社会問題の解決にも
車の台数に対して圧倒的に不足している駐車場。
駐車スペースが増えれば、渋滞や迷惑駐車などの社会問題解決に繋がります。
あなたとakippaで、より良い車社会を実現しましょう。
空き駐車場を活用することは社会的な意味合いもあります。地域住民が積極的に空き駐車場を有効活用するように動けば、その地域は空き巣が立ち寄りにくい場所になるからです。
参考文献
- 警視庁の統計(平成31年・令和元年)|警視庁
- 令和元年の犯罪|警察庁
- 令和2年9月中の犯罪統計「重要窃盗犯 認知・検挙状況」|大阪府警察
- 令和元年の刑法犯に関する統計資料|警察庁(PDF)
- 雨宮護, 島田貴仁, 菊池城治, 齊藤知範, & 原田豊. (2009). 犯罪者の視点から見た防犯環境設計の有効性の検討. 都市計画報告集, 8(0), 76-79.(PDF)
- 住まいる防犯110番|警察庁
- 空き巣に狙われやすい家の3つの特徴と防犯対策のポイントを解説|ALSOK
- 人口推計 2019年10月1日現在人口推計 |政府統計の総合窓口(e-Stat)
- あなたもakippaで駐車場を貸し出しませんか?|akippa
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