くるまの保険のコラム
交通事故は、1日の時間帯において均等に発生するわけではなく、発生しやすい時間帯があります。また、交通事故の発生件数が少ない場合でも、死亡事故につながりやすい時間帯もあります。そこで今回は、時間帯別交通事故の特徴と、特に注意したい時間帯における安全運転上の留意点をまとめてみました。
時間帯別交通事故の特徴
時間帯別交通事故発生状況
図1は、令和5年の時間帯別交通事故(人身事故)発生件数を示したものですが、8時~9時と16時~17時の2つのピークがあります。8時~9時は通勤通学時間帯、16時~17時は薄暮の時間帯と重なり合っていると考えられます。一方、22時~5時の深夜から早朝にかけてはかなり少なくなっており、交通量の減少が大きく関係していると考えられます。
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時間帯別死亡事故発生状況
図2は、令和5年の時間帯別死亡事故発生件数を示したものですが、16時~17時が最も多く、次いで18時~19時となっており、これは薄暮の時間帯と重なり合っていると考えられます。一方、22時~5時の深夜から早朝にかけては、それ以外の時間帯よりは少なくなっているものの、図1ほどの大きな差はみられません。
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時間帯別死亡事故率
図3は、令和5年の交通事故100件当たりの死亡事故率を示したものです。死亡事故率とは、交通事故件数に占める死亡事故件数の割合をいい、数値が高いほど死亡事故につながりやすいことを示しています。
図3と図1と比べると、ほぼ逆の形になっていることがわかります。これは深夜から早朝は、交通事故件数は少ないものの、事故が起これば死亡事故につながりやすいことを示しています。
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通行時間帯の走行上の留意点
通勤通学時間帯は、車、歩行者、自転車などの交通量が非常に増えるときです。しかも、誰もが先を急ぐときでもありますので、特に歩行者の急な道路横断や自転車の急な進路変更などには注意しましょう。
また、通勤通学時間帯のバス停付近では、バスを降りた乗客がバスの前方から道路を横断してきたり、バスに乗り込もうとして対向車線側から歩行者が道路を横断してくることがあるため、無理にバスを追い越そうとはせず、バス停付近の状況をしっかりと確認しましょう。
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薄暮時の走行上の留意点
薄暮時とは、日没時刻の前後1時間をいいますが、下校中の児童や生徒、買い物に行く人、勤め帰りの人などで、特に生活道路では交通量が増えるときです。しかも、薄暮時はドライバーから歩行者が見えにくいだけでなく、歩行者からも車が見えにくくなるため、早めにヘッドライトを点灯して歩行者や他車から見落とされないようにしましょう。
また、薄暮時はスーパーマーケットやコンビニエンスストア付近では、歩行者や自転車、車の出入りが多くなります。そうした店舗のある道路を走行する際は、十分に速度を落とすとともに、左右両側の歩道などにもよく目を配り、横断してくる歩行者などがいないかどうかをしっかり確認しましょう。
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深夜から早朝の走行上の留意点
深夜から早朝の時間帯における事故件数は少ないものの、いったん事故が起これば死亡事故など重大事故につながりやすくなります。その大きな要因の一つは、交通量が少ないことなどによるスピードの出し過ぎです。また、深夜から早朝の時間帯は眠気に襲われやすく、居眠り運転や漫然運転に陥りやすくなります。さらに、走行車両もトラックなどの大型車の比率が高くなるため、深夜から早朝の時間帯の走行はできるだけ避けるようにしましょう。
やむを得ない事情でこの時間帯に走行する場合は、速度計などをチェックしてスピードを出し過ぎないようにする、車間距離を十分にとる、眠気を感じたら直ちに安全な場所で休憩をとることなどを心がけましょう。
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路上横臥に注意
深夜は、路上横臥者(ろじょうおうがしゃ)にも注意が必要です。路上横臥者とは、酒に酔うなどして路上に横たわっている人をいいますが、警察庁が公表した「令和6年上半期における交通死亡事故の発生状況」によると、令和6年上半期(1~6月)における夜間の65歳未満の事故類型別歩行中死者数については、「路上横臥」が最も多くなっています(図4)。路上横臥者は、昼間であれば見分けられても、夜間は見分けにくいことがあります。したがって、特に深夜に繁華街やその周辺を走行する際は、路上の状況にも十分に注意しましょう。
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〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ