くるまの保険のコラム

くるまの保険のコラム 2023年6月号

 車を運転するとき、ドライバーはさまざまな対象に注意を向けています。しかし、注意が偏ったり分散したりすると、事故につながる可能性があります。そこで今回は、運転時の注意の仕方についての留意点や、特に注意が偏りやすい交差点での偏り例や対策についてまとめてみました。

運転時の注意の仕方についての留意点

多くの対象に同時に注意を向けることはできない

 交差点などのように注意すべき対象が多い場合、それらに対して同時に注意を向けることはできません。また、一つの対象に注意が偏ると他の対象への注意が欠けてしまいます。まず、全体の交通状況を俯瞰して注意すべき対象を選択したら、危険が発生する時間的順序に基づいて、注意を配分するようにしましょう。

運転時の注意の仕方についての留意点

見えない部分にも注意を向ける

 交通場面には、見通しの悪い交差点や駐車車両などによって、見えない部分(死角)がありますが、見えないからといって危険がないわけではありません。見えない部分に対しても十分に注意を向ける必要があります。

音も注意の偏りなどを招く要因となる

 運転中に注意を奪われるのは、視覚的なものだけではありません。音に注意を奪われることもあります。なかでも、後続車のクラクションの音は代表的なものです。クラクションが引き金となって、後続車の動向をルームミラーやドアミラーで注視することが多くなり、その結果、前方への注意が欠けて、減速や停止をした前車に気づくのが遅れるなどの危険な状態になります。後続車の動向が気にかかるときは、早めに左側に寄って一時停止し、後続車を先に行かせるなどして、注意を偏らせる対象から遠ざかるようにしましょう。

音も注意の偏りなどを招く要因となる

注意が内に向かうこともある

 注意は常に外の交通状況に向いているとは限りません。心配事などがあって、走行中に考え事などをすると、注意が内に向いてしまいます。注意が内に向くと、目は前を向いていても、実は何も見えていない状態になりかねません。心配事などがあっても運転をするときは気分を切り替えて、運転に集中しましょう。

交差点における注意の偏り例と対策

1交差点の右左折時

 交差点の右折時は、横断歩道の左側に注意が偏り、右側から横断してくる歩行者や自転車の発見が遅れてしまうことがあります。逆に左折時は、右側に注意が偏り、左側から横断してくる歩行者や自転車の発見が遅れてしまうことがあります(右図参照)。
 また、夜間はヘッドライトの照射部分に注意が偏りやすくなるため、ヘッドライトが照射しない部分(右折時は横断歩道の右側、左折時は左側)に対する注意が一段と欠けやすくなります。
 交差点の右左折時は、昼夜を問わず必ず徐行して、横断歩道の左右から通行してくる歩行者や自転車の有無を確認しましょう。

交差点の右左折時

2交差道路が一方通行路の交差点の直進時

 生活道路には、交差する道路が一方通行路になっている見通しの悪い交差点が数多くあります。そうした交差点を通過するとき、車が進行してくる方向だけに注意が偏ると、反対側から進入してくる自転車を見落としてしまうことがあります。自転車も車両ですから、一方通行の規制に従う必要がありますが、実際には「自転車を除く」という補助標識によって、一方通行の規制が免除されているケースが多いため、反対側から交差点に進入してくることがよくあります。
 交差する道路が一方通行路になっている交差点でも、見通しが悪い場合には、必ず左右両方の安全確認を行うようにしましょう。

交差道路が一方通行路の交差点の直進時

3信号機のある交差点への接近時

 前方に信号機のある交差点に接近するとき、注意が信号だけに偏ってしまうことがあります。そのため、交差点手前にある脇道への注意が欠けたり、道路を横断しようとしている歩行者に気づくのが遅れたりすることがあります。毎年の交通死亡事故統計をみても、死亡事故の10件に1件は交差点付近で発生しており、交差点接近時の注意配分は決して軽視できません。信号に注意を向けること自体は必要なことですが、それに注意が偏るとその手前にあるさまざまな危険を見落とす危険性があります。特に先を急いでいるようなときなどは、そのような状態に陥りやすくなりますが、どんな場合でも、まんべんなく周囲の状況に目を配るようにしましょう。

信号機のある交差点への接近時

※イラストの二次利用はご遠慮願います

〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ

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