くるまの保険のコラム
警察庁ホームページの「薄暮時間帯における交通事故防止」に、平成30年~令和4年の5年間における薄暮時の死亡事故の分析結果が掲載されています。そこで今回は、警察庁の分析からみえる薄暮時の死亡事故の特徴と、薄暮時から夜間における対歩行者事故防止のポイントについてまとめてみました。
※薄暮時とは、日没時刻の前後1時間を言います。
薄暮時の死亡事故の特徴
◆17時~19時の薄暮時間帯が2割近くを占める
平成30年~令和4年の5年間における死亡事故件数は14,499件で、そのうちの17時~19時の薄暮時間帯では2,750件(19.0%)となっており、全死亡事故の2割近くを占めています(図1)。
◆月別では11月が最も多い
薄暮時間帯における月別の死亡事故件数みると、10月から12月にかけて多くなっています。最も多く発生しているのは11月で、最も少ない6月の3倍以上となっています(図2)。
◆横断歩道以外での発生が多い
「自動車対歩行者」を事故類型別にみると、横断中が85.5%と9割近くを占め、そのうち横断歩道以外での発生が62.2%で、3分の2近くを占めています(図3)。
薄暮時・夜間における対歩行者事故防止のポイント
早めにヘッドライトを点灯する
薄暮時は、ドライバーから歩行者が見えにくいだけでなく、歩行者からも車が見えにくくなるときです。特にヘッドライトを点灯していない車は見えにくく、歩行者から見落とされやすくなります。そのため車が接近していてもそれに気づかずに歩行者が横断してくる危険性が高まります。
ヘッドライトは視界を確保するだけでなく、自車を目立たせ見落とされないようにする役割もありますから、薄暮時は早めにヘッドライトを点灯して歩行者や他車から見落とされないようにしましょう。
買い物時間と薄暮時間帯が重なるときは要注意
10月~12月の薄暮時に事故が多く発生していますが、この要因の一つとして、夕食等のための買い物時間と薄暮時間帯が重なり合っていることが考えられます。特に人の出入りが多いスーパーマーケットやコンビニエンスストア付近では、横断歩道のない場所を急に横断してくる歩行者も少なくありませんから、薄暮時にそのような場所を走行するときは、十分に速度を落とすとともに、左右両側の歩道や路側帯によく目を配り、横断しそうな歩行者がいないか、意識して「探しにいく」運転を心がけましょう。
ヘッドライドは上向きが基本
下向きのヘッドライトの照射範囲は40メートルですが、上向きにすると100メートルとなり、2.5倍も遠くまで届きますから、それだけ早く歩行者を発見することができます。交通量の多い市街地の道路を走行するときや対向車や直前を走る車があるときは下向きにしなければなりませんが、それ以外はできるだけ上向きに切り替えて、早めの発見に努めましょう。
横断歩道の歩行者を見落とさない
昼間に比べると、薄暮時や夜間は横断歩道を横断しようとしている歩行者がいるかいないか明らかでない場合が多く、発見が遅れてしまう危険が高まります。路面標示の「◇マーク(横断歩道または自転車横断帯あり)」に注意し、横断歩道に接近したときは減速して歩行者の有無をしっかり確認し、横断歩行者があるときは、必ず一時停止して歩行者を横断させましょう。
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〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ