くるまの保険のコラム

くるまの保険のコラム 2022年1月号

 交通ルールの遵守は、安心・安全な走行を確保するための必須条件ですが、もう一歩進んで、他車の状況に応じて道を譲るなどの配慮をすることも重要なポイントになります。そこで今回は、他車に配慮した運転についてまとめてみました。

他車への配慮の基本は譲ること

優先意識を抑える

 安全で円滑な交通の流れを確保するために、車同士の優先関係が定められています。たとえば、直進車と右折車では直進車が優先される、道幅が広い道路と狭い道路が交わる信号機のない交差点では、道幅が広い道路側を走行する車が優先されるなどです。この優先関係の理解と遵守が安全走行の基本であることは言うまでもありませんが、優先意識が強すぎると交通の流れを阻害したり、場合によっては事故やトラブルの引き金になることもあります。交通の状況に応じて優先意識を抑えて、相手に道を譲ることも大切です。

右折車に道を譲る

 片側1車線の道路の対向車が右折待ちで停止している場合、対向車が右折できないと後続車が先へ行けずに渋滞してしまうことがあります。このような場合、停止しても後続車に追突されるおそれがないときは、自車が優先であっても一時停止して、対向車が右折できるよう道を譲ってあげましょう。ただし、自車の左側後方の確認をしないままに道を譲ると、左側方を進行してくる二輪車などと対向右折車が衝突する危険がありますから、譲る際には、必ず自車の左側後方の状況を確認するようにしましょう。

右折車に道を譲る

脇道などからの合流車に道を譲る

 脇道や商業施設の駐車場などの道路外施設から合流しようとしている車があるとき、なかなか合流できないと強引に割込んできて、事故やトラブルの原因となることがあります。そうした事態を未然に防止する意味でも、できるだけ自車の前に入れてあげるようにしましょう。その際は手ぶりなどで合図すると、相手に意図がよく伝わります。

相手に道を譲る際には、クラクションやパッシングライトの使用はできるだけ控え、手ぶりなどで合図するようにしましょう。

脇道などからの合流車に道を譲る

他車への配慮例

狭い道路ですれ違う時は相手を先に行かせる

 狭い道路で対向車とすれ違うとき、「相手が道を譲るだろう」と考えて進行すると、相手も同じように考えて進行してきて接触するおそれがあります。すれ違い時の譲り合いに関しては、「坂道では、下りの車が上りの車に道を譲る」、「片側が転落のおそれがある崖になっている道路で、安全な行き違いができないときは、崖側の車は一時停止して道を譲る」(交通の方法に関する教則第6章第2節)以外には、特にどちらが譲るという規定はありませんが、事故を未然に防ぐという意味でも、相手が優先だと考えて自車が一時停止し、相手を先に行かせるようにしましょう。
 なお、左に寄って道を譲るときは、道路端に置かれた看板や工作物などに接触しないよう十分注意しましょう。

狭い道路ですれ違う時は相手を先に行かせる

停止時に車間距離をとる

 後続車に車間距離を詰められると不安を感じてしまいますが、停止時についても同様で、距離を詰められピッタリ後ろに付けられると気持ちのよいものではありません。しかし、走行時の車間距離については、前車が急停止をしても追突を避けられる距離を確保しなければならないことが定められていても(道路交通法第26条)、停止時の車間距離については特に規定はありません。そのためか、交差点での信号待ちや渋滞時に、前車との車間距離をかなり詰めて停止している車も少なくありません。それが発進時の追突事故の要因の一つになっているとも考えられます。また、坂道では、前車が発進時に後退してしまうこともありますので、前車の後輪の接地部分が目視できる位置に停止するなど、停止時も一定の車間距離を保つようにしましょう。

停止時に車間距離をとる

マークを表示した自動車を保護する

 該当する運転者が運転する普通自動車には、所定のマーク(標識)をつけることとされています。マークには「初心運転者マーク」、「高齢運転者マーク」、「聴覚障害者マーク」、「肢体不自由な運転者マーク」、「仮免許運転マーク」の5種類があります。
 こうしたマークを表示した自動車に対しては、幅寄せをしたり、マークを表示した自動車が安全な車間距離がとれなくなるような危険な進路変更をすることが禁止されていますが、それだけでなく、上記のマークは保護を示すマークだと考えて、追い越しは控える、適正な車間距離を保つなど、マークを表示した自動車が安心・安全な走行ができるよう配慮した運転を心がけましょう。

マークを表示した自動車を保護する

※イラストの二次利用はご遠慮願います

〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ

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