くるまの保険のコラム

くるまの保険のコラム 2021年9月号

 相手との距離を確保することは、安全運転にとって必須条件の一つですが、相手との距離は、前車との距離(車間距離)だけではありません。歩行者や自転車との側方間隔や左折時におけるガードレールなどの工作物との距離の確保も忘れてはならないことです。そこで今回は、交通状況に応じた安全な距離の確保についてまとめてみました。

歩行者・自転車との距離の確保

歩行者・自転車との間の安全な側方間隔の確保

 歩行者との距離については、道路交通法第18 条第2項において、「歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない」と定められています。歩行者の側方通過時は安全な間隔をとることが原則であり、それができない場合には徐行が義務づけられています。
 自転車についても、交通の方法に関する教則第5章第3節7(1)において、「追越しなどのため自転車のそばを通るときは、自転車のふらつきなどを予想し、自転車との間に安全な間隔を空けるか、徐行しなければなりません」と定められています。
歩行者・自転車との間の安全な側方間隔の確保

安全な速報間隔は、最低1メートル以上

 安全な間隔とは具体的にどのくらいの間隔かについては、特に法令では定められていませんが、歩行者の急な道路横断など不測の変化に対応するためには、歩行者との間に最低1メートルは必要とされています。自動車教習所の学科教習では、歩行者が車に気づいている場合は1メートル以上、車に気づいていない場合は1.5メートル以上と指導をしていることが多いようですので、これを安全な間隔の目安とするのがよいでしょう。自転車に対しても同様です。

「歩きスマホ」の歩行者などは要注意

 歩行者の背後から接近する場合は、歩行者が車に気づいていないことが多いと考えられますから、1.5メートル以上の間隔をとることが求められますが、対面で歩行者に接近する場合でも、歩行者は車に気づいているはずだと思い込むのは危険です。たとえば、スマホを操作している歩行者は、前方をほとんど見ていないことがよくあります。歩きスマホの歩行者や、子ども、高齢歩行者などには、たとえ対面で接近している場合であっても、少なくとも1.5メートル以上の間隔をとるのが望ましいでしょう。
 
「歩きスマホ」の歩行者などは要注意

ガードレールや駐車車両との安全な間隔の確保

左折時などには内輪差に注意

 左折して駐車場に入ろうとしてガードレールに接触したり、右左折して駐車するときに隣の駐車車両に接触するという事故が少なくありません。こうした事故の多くは内輪差が関係していると考えられます。内輪差とは、後輪の軌跡が前輪の軌跡の内側を通ることによって生じる差をいい(右図参照)、車体が長い車ほど大きくなります。左折するときや右左折して駐車するときなどは、内輪差をしっかり頭に入れて、後輪(バックで右左折する場合は前輪)とガードレールなどの工作物や駐車車両との距離を確認して、接触しないような間隔を確保しましょう。

左折時などには内輪差に注意

前車との安全な車間距離の確保

安全な車間距離の目安

【一般道路】
 一般道路では、前車との車間距離を的確に判断するのは難しい面がありますので、距離ではなく時間で車間距離を確保するのがよいでしょう。具体的には、前方の電柱や標識などの目標物を前車が通過後に、自車がその目標物に到達するまでの時間(秒数)を計るというもので、最低でも2秒以上、できれば3秒以上とるのが望ましいでしょう。

【高速道路】
 高速道路では、時速を距離に置き換えた数字、たとえば時速100キロメートルであれば100メートル、時速80キロメートルであれば80メートルが必要な車間距離の目安とされています。高速道路では車間距離確認区間が設けられていますから、その区間で、必要な車間距離が確保されているかどうかをしっかり確認しましょう。

安全な車間距離の目安

いつもより長い車間距離が必要な場合

 上記の安全な車間距離の目安は、乾燥した路面で、ドライバーも疲労等のない正常な状態、車の整備状態も適正という条件のもとでの目安です。路面が濡れていたり、ドライバーが疲れているとき、タイヤが摩耗しているときなどは、いつもより長い車間距離をとる必要があります。

いつもより長い車間距離が必要な場合

※イラストの二次利用はご遠慮願います

〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ

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