平屋の耐震性は本当に高い?構造的な理由や注意点・より強くするポイントを解説
夜中に地震で家が揺れ、思わずお子さんを抱きかかえた経験はありませんか。
その瞬間「この家は本当に大丈夫なのか」と不安に感じた方もいるかもしれません。
「平屋は地震に強い」とよく耳にしますが、なぜ強いのか、どこまで信頼できるのか、疑問に思うこともあるでしょう。家族の命に関わる大切な選択だからこそ、確かな根拠にもとづいて判断したいものです。
この記事では、人気の平屋の耐震性について、構造的観点から詳しく解説します。
地震に強い理由や、耐震性を高める方法について納得できる情報をお届けします。

平屋が耐震性に優れている理由
平屋が地震に強いとされる理由は、建物の構造的な特性にあります。2階建てや3階建てと比較して、平屋には地震に対していくつもの優位性があります。
ここでは、主に3つの要因について詳しく見ていきましょう。

造りがシンプルなため
平屋の多くは、正方形や長方形といったシンプルな形状で設計されています。この形状が、地震の力を建物全体に分散しやすくします。
- 正方形・長方形は、地震の力を四隅で均等に受け止めやすい
- 凹凸が少ないため、特定の角や接合部に力が集中しにくい
- 建物全体で地震エネルギーを分散しやすい
一方で、L字型やコの字型など形状が複雑になると、角や接合部に力が集中しやすく、損傷リスクが高まる傾向があります。そのため、構造がシンプルであることは、耐震性を高めるために非常に重要な要素です。
重心が低く安定しているため
平屋は、2階建てや3階建てに比べて重心が低く、揺れに強いという特徴があります。これは物理的な原理で説明できます。
- 建物は高さがあるほど、地震時の揺れが増幅しやすい
- 平屋は生活空間が地面に近く、揺れ幅が抑えられやすい
- 重心が低いため、建物全体の安定性が高まりやすい
高層ビルの上層階に住んでいる方は、地震の際に下の階よりも大きく揺れることを実感されているでしょう。これは、地面から離れるほど揺れ幅が増幅される現象によるものです。建物は地震の際、振り子のように揺れますが、その振れ幅は高さに比例して大きくなります。
平屋は生活空間が地面に近いため、揺れの影響を受けにくく、建物へのダメージも軽減されます。重心が低いことで、建物全体の安定性が高まり、転倒や大きな変形のリスクも低くなります。
建物全体の重量が軽いため
地震の際、建物にかかる力はその重さに比例して大きくなります。これは「建物の慣性」によるもので、地盤の急な揺れに抵抗しようとして大きな力が発生するという物理法則です。
- 建物重量が軽いほど、地震時に発生する力が小さくなりやすい
- 柱や梁にかかる荷重が比較的少ない
- 水平方向の力(地震力)も抑えられ、壁や接合部の負担が軽減される
ただし、屋根材の選択によっては建物の重量が増える点には注意が必要です。伝統的な瓦屋根は重量があり、建物全体の重量を増加させる要因となります。耐震性を重視する場合、軽量な金属屋根材を選ぶことが有効です。
こちらの記事では、平屋住宅について解説しています。
平屋のメリットと魅力や建てるうえでのポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
平屋の構造別に見る耐震性|木造でも地震に強い家は作れる!
「木造は地震に弱い」と思われがちですが、実際には「どのように設計・施工されているか」が重要です。どんな木造かによって耐震性は大きく異なります。
ここでは、平屋でよく採用される3つの構造について、それぞれの特徴と耐震性を見ていきましょう。

木造構造
木造は日本で最も多く採用されている構造です。日本の住宅全体で約5〜6割といわれており、平屋においても木造が主流となっています。
木材の持つしなやかさには、地震のエネルギーを吸収する特性があります。鉄やコンクリートと異なり、木材は一定のしなりを持ち、地震の揺れに対応することができます。この「粘り強さ」が、木造住宅の耐震性を支えているのです。
【耐震性を左右するポイント】
- 柱と梁など接合部の強度
- 耐力壁の量と配置バランス
- 設計内容に応じた構造計算の方法
現代の木造住宅では、金物接合による強固な接合や、構造用合板による壁の剛性向上など、さまざまな技術的進歩により、高い耐震性能を実現できるようになっています。
適切な構造計算に基づいた設計と、精密な施工が行われていれば、十分な耐震性を確保することが可能です。
鉄骨構造
鉄骨構造は、鉄製の骨組みで建物を支える構造です。鉄の高い強度を活かすことで、大きな窓や開放的な空間を実現しやすいという特徴があります。
鉄骨には「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」がありますが、平屋の場合は軽量鉄骨がよく採用されます。軽量鉄骨は薄い鋼材を使用し、工場で生産された部材を現場で組み立てるため、品質が安定しやすいというメリットがあります。
【耐震性を左右するポイント】
- ボルト・溶接など接合部の施工精度
- 防錆処理の有無や維持管理の状況
ただし、鉄骨構造は木造に比べて材料コストが高くなる傾向があります。また、鉄は錆びやすいため、防錆処理や定期的なメンテナンスが必要です。とくに海沿いの地域では、塩害対策も考慮する必要があります。
RC(鉄筋コンクリート)構造
RC構造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造です。鉄筋の引張強度とコンクリートの圧縮強度を組み合わせることで、高い耐震性能を実現できます。
コンクリートは圧縮力には強いものの、引張力には弱い性質があります。一方、鉄筋は引張力に強い特性があります。この2つの材料を組み合わせることで、互いの弱点を補い合い、優れた構造強度が生まれます。
【注意すべきポイント】
- 建物重量が大きくなりやすい
- 地盤の強度が重要になり、場合によっては地盤改良が必要
- 建築コストが比較的高くなりやすい
重量が大きい分、地震時に建物にかかる力(地震力)も大きくなるため、基礎や地盤がその力をしっかりと受け止められるかどうかが重要です。
どの構造が「最も強い」と一概に言うことはできません。それぞれの構造に特性があり、設計・施工の質によって耐震性能は大きく変わります。
重要なのは、どの構造を選ぶかではなく、その構造に応じた適切な耐震設計がなされているか、そして施工が確実に行われているかという点なのです。
【注意】平屋でも地震で倒壊する可能性はゼロじゃない
平屋が地震に強いとはいえ、絶対に倒壊しないわけではありません。
構造的に有利な特性を持つ平屋であっても、設計や施工の質、建物の状態、建築年によっては、大地震で倒壊するリスクがあります。過去の大地震では、実際に平屋の住宅も倒壊しています。
2016年の熊本地震では震度7が2回観測され、多くの木造住宅が倒壊しました。その中には平屋も含まれていました。国立研究開発法人建築研究所の調査によると、倒壊・崩壊した建物には一定の傾向が見られました。
【倒壊リスクが高まりやすい主な要因】
-
旧耐震基準で建てられている住宅
- 1981年以前の基準では、現在より耐震性能の要求水準が低い
-
設計・施工の精度が十分でない住宅
- 接合部の金物が適切に使われていない
- 耐力壁の量や配置バランスが不十分
- 設計図通りに施工されていない
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シロアリ被害や劣化が進行している住宅
- 柱や土台の内部が損傷し、外見から分かりにくい
- 構造材の断面欠損により、本来の耐震性能を発揮できない
平屋だからといって過信せず、適切な耐震設計・確実な施工・定期的な点検とメンテナンスを行うことが、住まいの安全性を保つうえで重要です。
平屋の耐震性をより高める方法
平屋の構造的な強みを活かしながら、さらに耐震性を高める方法を見ていきましょう。

地盤の強い土地を選ぶ
建物の耐震性を考えるうえで、地盤は最も基本となる要素です。
- 地盤は建物の基礎を支える土台であり、揺れ方に大きく影響する
- 軟弱地盤では、液状化や不同沈下が起こる可能性がある
- 建物がどれだけ強くても、地盤が不安定だと被害が大きくなりやすい
国土地盤情報検索サイト(KuniJiban)では、全国の地盤情報を確認できます。このサイトでは、ボーリング調査の結果など、公的機関が収集した地盤データを閲覧することができ、土地選びの際に参考になるでしょう。
地盤が弱い土地でも、適切な地盤改良工事を行うことで建物を建てることは可能です。ただし、地盤改良にはコストがかかるため、土地の購入前に地盤の状態を確認しておくことが重要です。
耐震等級3を取得する
耐震等級は、建物の地震に対する強さを示す指標で、等級1から等級3までの3段階があります。この等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められたもので、客観的な耐震性能の目安となります。
- 等級1:建築基準法の最低限の基準
- 等級2:等級1の1.25倍の地震力に耐える強度
- 等級3:等級1の1.5倍の地震力に耐える強度(防災拠点レベル)
熊本地震の全数調査エリアでは、住宅性能表示制度で耐震等級3(倒壊等防止)だった住宅の多くが無被害、または軽微〜小破にとどまったとまとめられています。
一方、同じ耐震等級3でも、後述する構造計算の有無によって実際の耐震性能には差があることも明らかになりました。家族の安心を第一に考えるなら、単に耐震等級3を取得するだけでなく、その根拠となる計算方法まで確認することが重要です。
壁量計算ではなく構造計算を実施する
同じ「耐震等級3」でも、その根拠となる計算方法によって信頼性には差があります。これは、熊本地震の被害調査で明らかになった重要なポイントです。
木造住宅の耐震性確認には「壁量計算」と「構造計算」の2つの方法があります。
【壁量計算の特徴】
- 床面積に応じて必要な耐力壁の量を算出する方法
- 計算が比較的簡易で、コストを抑えやすい
- 部材ごとの応力までは確認しない
【構造計算(許容応力度計算)の特徴】
- 柱・梁・接合部など、ほぼすべての構造部材を個別に検証
- 地震時に各部材へかかる力を数値で確認できる
- 設計上の弱点を事前に把握しやすい
熊本地震後の検討では、壁量計算だけでは把握しにくい点がある一方、許容応力度計算は部材ごとの検証ができるため、設計上の弱点を事前に確認しやすいとされています(個別条件で結果は変わります)。
耐震性の高い家を建てるなら、コストは少しかかりますが、構造計算を実施している施工会社を選ぶことをお勧めします。構造計算は建物の強度を科学的に確認する、いわば「建物の精密検査」のようなものです。
出典:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント
出典:一般社団法人耐震住宅100%実行委員会「熊本地震波による耐震等級検証結果に基づいた『耐震100推奨基準』を発表。」
制震技術や免震技術を導入する
住宅の地震対策には、耐震・制震・免震という3つの考え方があります。平屋では、まず耐震性能を確保したうえで、必要に応じて検討するケースが一般的です。
ここでは参考として、3つの技術について説明します。
耐震
耐震は、建物の強度そのものを高めて、地震の揺れに耐える技術です。柱や梁、壁などの構造部材を強化し、建物全体の剛性を高めることで地震に対抗します。
耐震等級の取得や構造計算の実施は、この耐震技術を高める基本的な方法です。平屋においては、まずこの基本となる耐震性能をしっかりと確保することが最も重要です。
制震
制震は、建物内部にダンパーなどの装置を設置して、地震の揺れを吸収・減衰させる技術です。制震装置が地震エネルギーを吸収することで、揺れを小さくします。
2階建て以上の建物では、上階の揺れを抑える効果が期待できます。ただし、平屋の場合は、導入の効果を見極めて採用しないということもあります。
免震
免震は、建物と地盤(基礎構造)の間に免震装置を設置し、地震の揺れを建物に伝えにくくする技術です。これにより、建物が地面の揺れから切り離され、内部の揺れを大幅に低減できます。
免震技術は高い効果が期待できますが、導入コストも高く、定期的なメンテナンスも必要です。ビルなどでの採用がある一方で平屋を含む住宅では一般的な選択肢ではありません。
【独自アンケート】住まいで重視される地震対策
当社が2025年10月に実施したアンケート調査「住宅の『家自体(建物)』を選ぶ際、どのような地震対策を重視しますか?」では、715名の回答者のうち、82.0%が「耐震性能」を重視すると答え、46.9%が「制震・免震技術」を重視すると答えました。
8割以上という圧倒的な割合の方が耐震性能を重視しており、住まいの地震対策における最優先事項となっていることが分かります。また、約半数の方が制震・免震技術にも関心を持っていることも注目すべき点です。
アンケート引用元:https://panasonic.co.jp/phs/pasd/knowledge/archives/page-rp1.html
南海トラフ巨大地震のリスクが盛んに叫ばれる中、住まいの地震対策への関心は確実に高まっています。平屋を建てる際も、まず基本となる耐震性能をしっかりと確保することが、多くの方が求める安心につながるといえるでしょう。
とくに、平屋は構造的に地震に有利な特性を持っていますが、その優位性を最大限に活かすためには、耐震等級3の取得や構造計算の実施といった確実な対策がお勧めです。
壁や柱の配置バランスを整える
壁や柱のバランスも耐震性に大きく影響します。特に耐力壁(地震の力に抵抗する壁)の配置は、建物の耐震性を左右する重要な要素です。
- 耐力壁が一方向に偏ると、建物がねじれやすくなる
- ねじれ(偏心)が生じると、特定部位に力が集中しやすい
- 東西南北にバランスよく配置することで、揺れを均等に受けやすくなる
とくに理想的なのは、建物の東西南北にバランスよく耐力壁を配置することです。建物の重心と剛心(建物の固さの中心)が近い位置にあると、地震の際に建物が均等に揺れ、ねじれが発生しにくくなります。
平屋の場合、大きな窓や開口部を多く設けたいというニーズも多いでしょう。
- 設計段階で耐力壁の配置を慎重に検討する
- 構造計算を行うことで、開放感と耐震性の両立を図りやすくなる
開放的な空間は平屋の魅力のひとつですが、窓を大きくすると、その分耐力壁を設置できる場所が限られます。
大きな窓や開口部を多く設ける場合、設計段階で耐力壁の配置バランスを慎重に検討する必要があります。構造計算を行うことで、開放的な空間と耐震性を両立させる最適な設計を見つけることができます。
軽い屋根材を使う
屋根は建物の最上部に位置するため、その重さが建物全体の挙動に大きく影響します。屋根の重量は、建物の重心の高さを決める重要な要素のひとつです。
伝統的な瓦屋根は、耐久性や断熱性に優れているという利点がありますが、重量があります。一方、金属屋根材(ガルバリウム鋼板など)は軽量です。
- 屋根が軽いほど、建物の重心が下がりやすい
- 建物重量が軽くなることで、地震時の負担も抑えやすい
地震の際に建物にかかる力(地震力)は建物の重量に比例するため、屋根が軽いほど、柱や壁への負担も小さくなります。
ただし、屋根材の選択は耐震性だけでなく、デザイン性、耐久性、断熱性、遮音性、コストなど、さまざまな要素を総合的に考慮して決める必要があります。瓦屋根でも、適切な構造設計を行えば十分な耐震性を確保することが可能です。
重要なのは、選んだ屋根材の重量を前提に、適切な構造計算を行い、必要な耐力壁や接合部の強度を確保することです。
防蟻処理を施しておく
シロアリ対策は、耐震性を維持する上で極めて重要です。シロアリは建物の構造材である木材を内部から食い荒らします。
- シロアリは木材の内部を食害し、外見から被害が分かりにくい
- 柱や土台が損傷すると、本来の耐力を発揮できなくなる
- 熊本地震では、シロアリ被害があった住宅の倒壊も報告されている
新築時には防蟻処理が施されていますが、その効果は年月とともに薄れていきます。多くの防蟻処理は5年程度で効果が低下するとされています。そのため、定期的な点検と再処理が必要です。
とくに床下は湿気がこもりやすく、シロアリが発生しやすい環境です。定期的に床下を点検し、シロアリの痕跡がないか、木材が腐朽していないかを確認しましょう。早期発見・早期対処が、建物の耐震性を長期的に維持するために不可欠です。
まとめ
平屋は、シンプルな構造や低い重心、比較的軽量になりやすい点から、地震に対して有利な条件を備えています。ただし、過信は禁物です。地盤の状態を確認したうえで、耐震等級の考え方や、構造計算にもとづいた設計内容まで確認することが、安心につながります。
パナソニックでは耐震性にこだわった「テクノストラクチャー工法」の平屋を提案しています。テクノストラクチャー工法は木と鉄の梁を組み合わせた「テクノビーム」を用いているほか、木造住宅の接合部を強化しています。また、許容応力度計算による構造計算を行い、建物ごとの強度を検証しています。
地震時の被害を抑え、地震後の暮らしを見すえた住まいづくりを検討する際には、構造や計算方法まで含めて確認することが大切です。構造計算にもとづく平屋をお考えの方は、選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
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