地震の縦揺れと横揺れはどちらが危ない?仕組みの違いや揺れ対策を解説

地震の激しい揺れが家を襲ったとき、その恐怖は実際に体験した人にしか分かりません。とくに「縦揺れ」と「横揺れ」では、それぞれ異なるリスクが潜んでおり、家族の安全を守るためにはその違いをしっかり理解することが不可欠です。

しかし、多くの方がこの揺れ方の違いやその危険性について十分に理解していません。たとえば「縦揺れと横揺れ、どちらがより危険なのか?」「揺れ方によって被害の出方はどう変わるのか?」という疑問を持ちながらも、答えを知っている人は少ないのが現実です。

この記事では、縦揺れと横揺れがどのように異なり、それぞれがどんな危険を引き起こすのかを明確に解説します。また、地震のメカニズムを理解した上で、どんな家づくりが最も安心なのか、具体的な対策もご紹介します。あなたの家族を守るために何をすべきかが見えてくるはずです。

地震の縦揺れと横揺れはどちらが危ない?仕組みの違いや揺れ対策を解説

地震の縦揺れと横揺れの違い

地震の揺れ方には「縦揺れ」と「横揺れ」があり、それぞれに固有の性質が見られます。この違いを理解しておくことで、より効果的な地震対策を選びやすくなります。

また、揺れ方は震源地からの距離や地震の種類によっても変化します。直下型地震は上下動が激しく、海溝型地震は横揺れが長時間続く傾向があります。次に、縦揺れと横揺れについて、それぞれの性質を順を追って整理していきます。

地震の縦揺れと横揺れの違い
直下型地震 上下動で激しく揺れる 短時間で強い揺れ
海溝型地震 横揺れが長時間続く 揺れがゆるやかで持続的

縦揺れとは

縦揺れとは、地表が縦方向に大きく上下動することで生じる揺れのことです。自分の立っている場所が上下に押し上げられたり沈んだりするように感じられ、下から突き上げられるような動きが特徴です。

縦揺れは横揺れよりも先に地面を駆け抜ける性質があるため、地震が起きた瞬間に真っ先に感じることが多くなります。また、強い揺れになると、床に置いた家具がふわりと持ち上がったように動いたり、食器棚の中で食器同士がぶつかって割れてしまったりする可能性があります。

とくに注意したいのが、居住地域のすぐ近くで発生する直下型地震です。震源が浅く、揺れが一気に伝わってしまうため、緊急地震速報の発信が追いつかない場合があります。1995年に近畿圏を中心に甚大な被害をもたらした阪神淡路大震災も直下型地震に分類され、激しい縦揺れが被害の拡大を招く結果となりました。

出典:内閣府「阪神・淡路大震災教訓情報資料集阪神・淡路大震災の概要」

横揺れとは

横揺れとは、地面が左右へ振られるように動く揺れで、身体が前後や左右へ押されるような動きを感じます。規模の大きい地震では、最初に縦揺れを受けたあと、横方向の揺れが長く続く傾向があります。

ただし、地震の発生場所や深さ、地盤の硬さなどの条件によっては、横揺れだけを明確に感じる場合もあります。横揺れは建物に加わる力が大きくなりやすく、とくに高層ビルや築年数の古い建物では、揺れが増幅されて大きなダメージにつながる可能性があります。

横揺れの影響が大きく出やすい地震の代表例が海溝型地震といわれています。こうした地震では、沖合いの海溝付近で蓄積されたプレート同士の圧力が急に解放されることで生じ、横方向に対してゆるやかで持続的な揺れが続く傾向があります。2011年の東日本大震災も海溝型地震に分類され、強い横揺れに加えて大規模な津波が発生し、広い範囲に深刻な被害をもたらしました。

出典:内閣府「特集 東日本大震災」

【独自アンケート】縦揺れに対する人々の理解度

地震の揺れ方について、一般の方々はどの程度理解しているのでしょうか。独自のアンケート調査では、興味深い傾向が明らかになりました。

「『直下型地震』という言葉を聞いたことがありますか」という質問に対しては、約9割の方が「聞いたことがある」「知っている」と回答しました。言葉そのものは多くの方に認知されているといえます。

一方で「直下型地震は下から突き上げるような縦揺れが特徴で、緊急地震速報が間に合わないケースがあることを知っていましたか」という質問では「知っていた」と回答した方は約61.8%にとどまりました。

つまり、直下型地震という名称は知っていても、揺れがどのように起き、どんな影響を及ぼすのかについて、3人に1人以上が正確に把握できていない状況がわかりました。

では、なぜ緊急地震速報が間に合わない可能性があるのでしょうか。この理由を理解するためには、地震波の仕組みを知る必要があります。次章では、この点を分かりやすく解説します。

調査データ引用元:https://panasonic.co.jp/phs/pasd/knowledge/archives/page-rp3.html

地震波「P波(縦波)」と「S波(横波)」とは

地震が発生すると、震源から地震波が生まれ、主に地中を通って地表へと広がります。この地震波には「P波(縦波)」と「S波(横波)」があり、それぞれが異なる性質を持っています。

P波(縦波)は、波の進行方向と同じ向きに地面を振動させ、最も速く伝わる地震波です。岩盤中では平均して約5〜7km/秒で進むため、最初に感じる小さな揺れ(初期微動)として伝わってきます。

一方、S波(横波)は、進行方向とは直角の向きに地面を揺らす性質を持つ波です。Sは「Secondary(二番目の)」を意味し、P波より遅れて到達します。岩盤中での伝達速度は平均的に約3〜4km/秒で、P波のあとに続く強い揺れ(主要動)の要因になります。

緊急地震速報は、このP波とS波の速度差を利用しています。P波を素早く検知し、その情報を解析することで、強い揺れをもたらすS波が到達する前に警報を発信する仕組みです。

一方で、震源が近い直下型地震では、P波とS波がほぼ同時に到達し、警報が間に合わないことがあります。

地震波「P波(縦波)」と「S波(横波)」とは

【注意】P波=縦揺れ・S波=横揺れとは限らない

ここで重要な注意点があります。「P波(縦波)=縦揺れ」「S波(横波)=横揺れ」と考えられることがありますが、実際には必ずしも一致しません。

縦揺れと横揺れは、地面が上下に動いたのか、それとも左右へ揺れ動いたのかという、人が体で感じ取る揺れの種類を示しています。一方、P波とS波は、波が進む方向に対して地面がどの向きに振動するかを示すもので、地表での揺れ方とは別の概念です。

こうした理由から、震源との距離や地盤の特徴によっては、P波とS波が上下方向の揺れとして体感される場合もあれば、横揺れとして感じられる場合もあります。こうした仕組みを理解しておくと、揺れ方が毎回同じではない理由をイメージしやすくなります。

一般的には、P波が縦揺れ、S波が横揺れとして感じられることが多いため、両者が同じものだと誤解されやすいのですが、両者は本来異なるものです。つまり、どのように揺れ、その結果どんな危険が生じるのかについて押さえておく必要があります。

縦揺れと横揺れはどちらが危ない?

地震の「縦揺れ」と「横揺れ」は、それぞれにどのような危険があるのでしょうか。結論としては、大規模な地震であれば、どちらも非常に危険です。

ただし、揺れの方向が変われば、生じやすい被害の傾向も大きく変わってきます。縦揺れは下から力を押し付けられるような強い衝撃が加わり、突然の揺れによって強い恐怖心を抱きやすくなります。一方、横揺れは建物に強い水平力を与え、構造体そのものに深刻なダメージを与えるため、倒壊のリスクが高まります。

そのため、両方の特徴を踏まえた上で、適切な対策を整えることが欠かせません。ここからは、縦揺れと横揺れがどのような危険を引き起こすのか、ポイントを整理しながら見ていきます。

縦揺れと横揺れはどちらが危ない?

縦揺れの危険性

縦揺れの地震では、上下方向の強い揺れによって住宅の柱に引き抜くような力が加わります。柱が土台から浮き上がるように動き、建物の骨組みに深刻なダメージが及ぶ可能性があります。

家具や大型家電の動き方にも特徴があります。横揺れでは家具が水平方向へ押されるように動きますが、縦揺れでは下から押し上げられるため、震度によっては家具が一瞬浮き上がったり、食器棚の中の食器が衝撃で割れたりするでしょう。日常では想像しにくい揺れ方が起こる点が縦揺れの怖さです。

また、免震装置を備えた住宅やビルであっても、免震装置は水平の揺れを吸収する仕組みが中心で、上下方向の揺れに対しては十分に効果を発揮しない場合があります。そのため、縦揺れに弱く、場合によっては倒壊リスクが高まることがあります。

さらに、縦揺れは短い時間でも強い衝撃を伴うことが多いため、発生時の恐怖心が大きく、パニックに陥りやすいといわれています。強い縦揺れに突然襲われると、冷静な判断が難しくなり、適切な避難行動を取りにくくなる可能性があります。

横揺れの危険性

横揺れで特に注意したいのは、建物の倒壊につながりやすい点です。建物の柱や壁は、縦方向の力よりも横方向の力に弱いため、強い横揺れが起きると倒壊リスクが一気に高まります。

近年は耐震化が進んでいるものの、縦揺れで柱や壁が損傷した状態で横揺れが続くと、建物の耐力が急速に低下します。複数の揺れが重なることで被害が拡大しやすくなるのです。

また、家具や大型家電の転倒被害も横揺れで多く見られます。重心の高い家具は大きく揺れやすく、転倒によってケガをする恐れがあります。重心の低い家具であっても横に滑り出すことがあり、安全を脅かす場面は少なくありません。

さらに、海溝型地震に代表されるように、横揺れが長時間続く地震では津波の危険性が高まります。建物倒壊だけでなく、広範囲に及ぶ二次災害への警戒も必要です。

縦揺れにも横揺れにも強い家を作るには?

ここまで縦揺れと横揺れの危険性について解説してきました。では、これらの脅威から家族を守るためには、どのような対策が必要なのでしょうか。

住宅の地震対策には「耐震」「制震」「免震」という3つの方法があります。それぞれに役割があり、特徴を理解して組み合わせることで、縦揺れにも横揺れにも強い住まいをつくることができます。

とくに重要なのは、対策の土台となる「耐震」です。耐震は建物が自らの力で揺れに耐えるための基本性能であり、すべての住宅で欠かせない要素です。その上で、制震や免震といった追加の仕組みを検討することで、より高い安全性につながります。

縦揺れにも横揺れにも強い家を作るには?

耐震性能を上げるには

「耐震」とは、筋交いや面材を使って建物そのものの強度を高め、地震の力に耐えるための工法です。住宅の品質確保の促進等に関する法律では、数百年に一度程度の地震力に対して建物が倒壊しない水準を耐震等級1と定め、より大きな地震力を想定した耐震等級2、耐震等級3も設けています。

ただし、耐震基準の目的はあくまで人命を守ることであり、家屋の損傷までは十分に考慮されていません。強い揺れを受けるたびに、固定箇所や接合部がわずかに緩み、時間の経過とともに耐震性能が低下していく可能性があります。繰り返しの揺れにさらされると、こうした弱点が表面化しやすくなります。

ここで重要になるのが「構造計算」です。とくに「許容応力度計算」と呼ばれる緻密な計算を行うことで、建物にどの程度の力が加わるのかを正確に把握できます。その結果、縦揺れ・横揺れの両方に耐えられる構造を設計しやすくなり、建物全体の安全性を高めることにつながります。

木造2階建て以下の住宅では許容応力度計算による構造計算が義務ではありません。しかし、地震に強い家を求めるのであれば、緻密な構造計算を実施するかどうかが大きなポイントになります。見た目では分からない強さこそが、暮らしの安心につながるからです。

パナソニックでは、長年にわたり許容応力度計算に基づく構造計算を実施し、建物の耐震性を確保してきました。さらに、高い耐震性を実現した「テクノストラクチャーEX」では、繰り返しの揺れに強く、長く安心して暮らせる住まいづくりをサポートしています。

構造計算によって裏付けられた確かな耐震性能こそが、縦揺れにも横揺れにも負けない家づくりの基盤となります。

出典:内閣府「「関東大震災100年」 特設ページ」
出典:国土交通省「日本住宅性能表示基準 別表1(新築住宅に係る表示すべき事項等)」

制震性能を上げるには

「制震」とは、エネルギー吸収体を住宅に組み込み、建物の変形を抑えてダメージを減らす工法です。超高層ビルや橋にも採用されている技術で、大きな揺れを効果的に吸収する役割を持ちます。

耐震構造の弱点は、地震のたびに固定箇所や接合部が少しずつ損傷し、性能が徐々に低下していく可能性がある点です。制震構造は、この弱点を補う存在であり、揺れを受けても建物に蓄積されるダメージを軽減する「+αの安心」をもたらします。

さらに、耐震構造と制震構造を組み合わせることで、建物が本来備えている「人命を守るための強さ」を維持しやすくなります。導入コストが比較的低く、戸建て住宅でも選びやすい点も魅力です。

とはいえ、制震構造だけで地震対策が完成するわけではありません。制震はあくまでも補助的な役割であり、確かな耐震性能を持つ建物に追加することで、はじめて十分な効果を発揮すると考えましょう。

免震性能を上げるには

「免震」とは、ベアリングや積層ゴムを建物の下に設置し、その免震層によって揺れを受け流す工法です。建物と地面の間にゆとりを作ることで、地震の力が建物に直接伝わりにくくなります。

免震構造は、地震が発生した時に住宅を宙に浮いた状態になり、地面が左右に動くようなイメージです。その結果、建物の損壊や家具の転倒を最小限に抑えて、建物自体の変形も防止する仕組みです。

ただし、免震構造にはいくつかのデメリットもあります。まず、装置や施工にかかるコストが比較的高いことです。さらに、小さな地震や台風でも建物が揺れてしまう可能性があり、周囲に一定のスペースが必要になるといった制約もあります。

免震は効果は高いものの縦揺れに弱いという課題があります。縦揺れ対策や費用対効果を重視する場合は、許容応力度計算に基づき、上下方向の力にも耐えうるよう設計された耐震構造を基盤にすることが重要です。より現実的でバランスの取れた選択肢となるでしょう。

まとめ

地震の縦揺れと横揺れには、それぞれ異なる危険性があります。縦揺れは柱が引き抜かれるような力を生み、突然の衝撃が強い恐怖心を与えます。一方で横揺れは、建物が受ける横方向の力が大きくなり、倒壊リスクを高めます。どちらの揺れも家族の命や財産を脅かす存在であり、適切な対策を講じることが欠かせません。

では、家族を守るために住まいに必要なこととは何でしょうか。その答えが「緻密な構造計算」です。地震に強い家を作るためには、建物にかかる力を正確に把握し、その結果を構造に反映させることが不可欠です。

パナソニックのテクノストラクチャーEXは、長年の実績に基づき、許容応力度計算を駆使して、耐震性の高い建物を提供しています。これにより、さまざまな揺れに強い住まいを実現でき、家族の命を守るための確かな選択となります。

小さなお子さんの笑顔を守りたい、家族が帰ってくる場所を、いつまでも安全で心地よい空間にしたい。そんな想いをお持ちの方は「パナソニックのテクノストラクチャーEX」を、ぜひご検討ください。耐震性と快適性を兼ね備えた住まいづくりを、パナソニックはご提案します。

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