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LANとWANの違いとは?仕組みや特徴について解説

更新日:2024/07/16
LANとWANの違いとは?仕組みや特徴について解説
「LAN」と「WAN」。なんとなくネットワーク関連の用語だという認識は、多くの人にあることでしょう。しかし、これらの違いを説明できる人は少ないのではないでしょうか。そこでこの記事では、LANとWANの違い、仕組み、特徴について解説していきます。
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LAN・WANとは?

LANは小規模な地域内で高速なデータ転送を行うネットワークであり、WANは広範囲にわたる地域での通信を可能にするより遅い速度のネットワークです。LANとWAN。1文字だけ違うこの言葉は、混同しがちです。それぞれどのような意味があるのか解説していきましょう。

LANとは

LANとは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の頭文字をとったものです。日本語に訳すと「構内情報通信網」となり、ローカルエリア(限られた範囲)のネットワークのことを意味します。ネットワークの構築は自分で行います。

WANとは

WAN(Wide Area Network、広域ネットワーク)は、地理的に離れた複数のローカルエリアネットワーク(LAN)を接続するためのネットワークです。
インターネットが典型的な例で、国や大陸をまたぐ広範なエリアをカバーします。
WANは、企業の拠点間通信、データセンター接続、クラウドサービス利用などに使用され、高速で信頼性の高い通信を実現します。
通信回線としては、専用線、光ファイバー、衛星通信などが使われ、ネットワーク機器としてはルーターやスイッチが必要です。
WANの管理には、セキュリティやデータ転送の最適化が重要です。

LANとWANの違いとは

LAN(Local Area Network、ローカルエリアネットワーク)とWAN(Wide Area Network、広域ネットワーク)は、ネットワーク範囲や用途が異なる2つの主要なネットワークタイプです。
それぞれの特徴や違いを詳しく説明します。

ネットワーク範囲の違い

LANは、限られた地理的範囲内でのネットワーク接続を指します。
通常では家庭、オフィス、学校、工場などの比較的小規模なエリアで使用されます。
LANは数メートルから数キロメートル程度の範囲をカバーし、そのネットワーク内のデバイス同士が高速でデータをやり取りできます。
一方のWANは、地理的に離れた複数のLANを接続するためのネットワークです。
WANは都市間、国間、さらには大陸間を接続し、非常に広範なエリアをカバーします。

IPアドレスの違い

LANとWANのIPアドレスの違いは、その用途と割り当て方法にあります。
LAN内ではプライベートIPアドレスが使用され、内部通信に特化しています。
一方のWANではパブリックIPアドレスが使用され、インターネット上でのグローバルな通信を可能にします。
これらのアドレスはそれぞれのネットワーク環境において適切に管理され、デバイスの通信を支えています。

LANのIPアドレス

LAN内では、主にプライベートIPアドレスが使用されます。
これらのアドレスは内部ネットワークでデバイス同士が通信するために使われ、インターネットには直接公開されません。
プライベートIPアドレスの範囲は以下のとおりです。

  • 10.0.0.0 から 10.255.255.255
  • 172.16.0.0 から 172.31.255.255
  • 192.168.0.0 から 192.168.255.255

これらのプライベートIPアドレスは、企業や家庭内で自由に使用できます。
複数のネットワークで同じプライベートIPアドレスが使われることもあり、これによりIPアドレスの枯渇問題を回避しています。
LAN内でのデバイス間通信はルーターやスイッチを通じて行われ、これらのデバイスがプライベートIPアドレスを適切に割り当てて管理します。

WANのIPアドレス

WANでは、主にパブリックIPアドレスが使用されます。
これらのアドレスはグローバルにユニークで、インターネット上で直接アクセス可能です。
パブリックIPアドレスはインターネットサービスプロバイダー(ISP)によって割り当てられ、世界中で一意である必要があります。
パブリックIPアドレスの範囲は、IPv4の場合、0.0.0.0 から 255.255.255.255 までです。
ただし、多くの範囲が予約や特定用途に割り当てられています。
パブリックIPアドレスは、企業や個人がインターネットに接続する際に使用され、ウェブサーバー、メールサーバー、その他のインターネット上でサービスを提供するデバイスに割り当てられます。
ルーターやゲートウェイデバイスが、LAN内のプライベートIPアドレスとWANのパブリックIPアドレスを橋渡しする役割を果たします。
この変換には、NAT(Network Address Translation)という技術が使われます。
NATは、LAN内の複数のデバイスが単一のパブリックIPアドレスを共有してインターネットにアクセスできるようにします。

構成機器の違い

LANとWANは、それぞれ異なるニーズに対応するために特化した機器を使用します。
LANはスイッチやルーター、アクセスポイントなどを使用して、限られた範囲内で高速で効率的な通信を提供します。
一方のWANは、ルーターやモデム、WANスイッチ、ゲートウェイを使用して、広範なエリアにわたる通信を実現します。
これらの機器はそれぞれのネットワーク環境における通信の要件に応じて選定され、最適なネットワーク性能を確保します。

LANの構成機器

LANは比較的小規模なネットワークで、主に以下の機器が使用されます。

スイッチ(Switch)

スイッチはLAN内の複数のデバイスを接続し、データを転送するための機器です。
各デバイスに対して専用のポートを提供し、データを効率的に転送します。
スイッチはデバイス同士の直接通信を可能にし、ネットワークの速度と効率を向上させます。

ルーター(Router)

ルーターは、LANと外部ネットワーク(インターネットなど)を接続するための機器です。
IPアドレスを基にデータの転送先を決定し、異なるネットワーク間でデータをルーティングします。
ルーターは、LAN内のデバイスがインターネットにアクセスするためのゲートウェイとして機能します。

アクセスポイント(Access Point)

アクセスポイントは、ワイヤレスデバイスがLANに接続するための無線通信を提供します。
Wi-Fiネットワークを構築し、モバイルデバイスやラップトップがネットワークに接続できます。
アクセスポイントは、物理的なケーブルを必要とせずにデバイスをネットワークに接続する手段を提供します。

ファイアウォール(Firewall)

ファイアウォールは、LANのセキュリティを強化するために使用されます。
ネットワークトラフィックを監視し、不正なアクセスや攻撃からネットワークを保護します。

WANの構成機器

WANは広範なネットワークを実現するために、主に以下の機器を使用します。

ルーター(Router)

WANでもルーターは重要な役割を果たします。
WANのルーターは異なるLANを接続し、広範な地理的範囲にわたるデータのルーティングを行います。
これらのルーターは、ISPや企業のネットワークインフラの一部として機能します。

WANスイッチ(WAN Switch)

WANスイッチは、広域ネットワーク内のデータ転送を効率化するために設置されます。
これらは、通信プロバイダーのネットワークインフラ内でよく使用されています。

モデム(Modem)

モデムは、デジタル信号をアナログ信号に変換するために使用され、電話回線やケーブル回線を介してデータを送受信します。
DSLモデムやケーブルモデムが一般的です。

ゲートウェイ(Gateway)

ゲートウェイは、異なるネットワークプロトコル間のデータ転送を行うための機器です。
例えば、IPネットワークとPSTN(公衆交換電話網)間のデータ転送をサポートします。

LANとWANでは使用するIPアドレスが違う

LANとWANでは使用するIPアドレスが違う

ネットワーク上の機器にはIPアドレスが割り当てられています。このIPアドレスは、LANとWANでは使用するものが違うのです。ここでは、IPアドレスの基礎知識と、それぞれに使用するIPアドレスを説明していきます。

IPアドレスの基礎知識

IPアドレスとは、PCやスマートフォン、タブレットなどネットワーク上の機器に割り当てられている住所のようなもののことです。これは、パソコン同士が通信するために必要なもので、「192.168.1.1」や「172.16.12.1」のような数字で表されます。

IPアドレスの割り振り方は2種類あります。
1つは「動的(可変)タイプ」です。
インターネットに接続するたびに、ISP(インターネットサービスプロバイダー)から新たなIPアドレスが自動的に割り振られます。一定時間が経過したり、ネットを切断するたびに新しい番号に変わります。個人が使用するパソコンやスマートフォン、家庭用Wi-Fiや公衆のWi-Fiなどは、このタイプです。

もう1つは「固定(不変)タイプ」です。常に同じIPアドレスで接続するタイプで、会社内のシステムなど特定の許可した人(機器)のみ通信ができます。活用されているのは、リモートワークで自宅から会社にアクセスする場合や、遠隔監視するネットワークカメラなどです。自動的に割り振られる動的タイプとは違い、ユーザーが手動で接続設定する必要があります。

プライベートIPとは?グローバルIPとは?

IPアドレスには、おもに2つの種類があります。

1つは「プライベートIPアドレス」。これはLAN内で使用されるIPアドレスで、組織内のネットワークでのみ使えます。プライベートIPアドレスは、家庭内や企業内(社内)などの通信機器に割り振られます。ネットワーク内のみで使えるのですが、同じネットワーク内で重複して使うことはできません。

もう1つは「グローバルIPアドレス」です。WANで使用されるIPアドレスのことで、インターネットを利用するときに割り振られます。プロバイダーと契約することで、グローバルIPアドレスが付与されます。グローバルIPアドレスは、セキュリティを高めるために、プロバイダーによって一定時間の経過や一定サイクルで変更することもあります。

なお、LAN内のPCはグローバルIPアドレスを使いインターネットにつながっています。プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換する技術のことを「NAT(Network Address Translation)」といい、ルーターで変換しています。

LANとWANを構成する機器

LANとWANとでは、構築する機器も異なります。それぞれの機器を見ていきましょう。

LANを構成するネットワーク機器

LANは、家庭内や会社内部のネットワークである「ローカルネットワーク」を構築します。
LANを構築するのに必要な機器には、次のようなものがあります。

  • ルーター:2つ以上の異なるネットワーク間を相互に接続するネットワーク機器。
  • ハブ:イーサネット(Ethernet)LANの敷設に用いられる集線装置。複数のケーブルを接続するためのポート(端子)が並んでおり、ケーブルから流れてきた信号を他のケーブルに流すことで相互に通信ができる。
  • スイッチ:ハブ同様、集線装置の機能を持つ機器。特定のMACアドレスにデータを転送することができる。

WANを構成する機器

WANは、プロバイダーがネットワークを構築します。
WANを構築する機器には、

  • DTE:データ端末装置。データ通信回線の末端に接続され、受信した信号を情報としてユーザーに提示したり、ユーザーが入力した情報を信号に変換して送信する。
  • DCE:データ回線終端装置。通信回線と末端機器(端末やコンピュータなど)間に設置し、機器から送られてきた信号を、通信回線に適した信号に変換したり、その逆を行ったりする。

などがあります。

なお、WANを構成するサービスには、

  • IP-VPN:「IP Virtual Private Network」の略で、プロバイダーなどの閉域IPネットワーク網を使った通信技術。巨大なルーターのようなものと捉えるとよい。現在企業で最も利用されている。
  • 広域イーサネット:プロバイダーなどが独自に用意したイーサネット網に、企業ネットワークのイーサネットLANを直接接続し、広域なLAN間接続を可能にするサービスのこと。企業で多く利用されている。
  • 専用線:企業の複数の拠点間を1本の専用ケーブルで接続しているかのようにできるWANサービス

などがあります。

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LANは狭い範囲、WANは広い範囲のネットワーク

この記事では、LANとWANの違い、特徴を解説しました。LANは狭く、限られた範囲のネットワークのこと、WANはLANのネットワークが集合した広い範囲のネットワークのこと、ということが理解できたと思います。また、用途や使用するIPアドレス、構築機器にも違いがあることをご説明しました。それぞれの意味をしっかり把握し、活用するようにしましょう。

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