くるまの保険のコラム
安全で円滑な交通を確保するために、道路交通法において交差点における車両相互の優先関係が定められています。今回は、交差点の優先関係についてまとめるとともに、優先関係にとらわれず、相手の立場に立った「譲りあい」運転の大切さを取り上げてみました。
交差点での優先関係
右折時に直進車や左折車がある場合
信号機の有無にかかわらず、交差点では、右折車よりも直進車や左折車が優先されます。先に交差点に進入した場合でも、直進車や左折車があるときは、右折車はその進行を妨げてはいけません(環状交差点は除きます)。右折時は一時停止して、直進車や左折車の通過を待ち、安全確認後に徐行して進行しましょう。
道幅が同じような道路の場合
信号機のない道幅が同じような道路の交差点では、左方から進行してくる車のほうが優先されます。左右の見通しの良い交差点であれば、自車が相手に対して右側か左側かで優先関係が判断できますが、左右の見通しのきかない交差点では他車との優先関係の判断はできません。左右の見通しの悪い交差点では、徐行または一時停止して左右の状況を確認したうえで判断する必要があります。
一方の道路の道幅が明らかに広い場合
信号機のない交差点で、一方の道路のほうが明らかに道幅が広い場合には、その道路を通行する車両が優先されます。ただし、道幅が明らかに広い場合であっても、その道路に「優先道路」を示す標識や標示がない場合には、その道路は「優先道路」ではありませんから、左右の見通しのきかない交差点では徐行する義務がありますので、徐行して進行しましょう(図1)。
一方の道路が優先道路である場合
信号機のない交差点で、優先道路を示す標識や標示がある場合は、その標識や標示のある道路を通行している車が優先されます。したがって、交差する側の道路を走行する車は、徐行や一時停止をするなどして優先道路側の車の進行を妨げないようにします(図2)。
なお、優先道路を通行しているときは、左右の見通しのきかない交差点での徐行義務は免除されています。
優先意識を抑えた「譲り合い」運転
合流しようとしている車を入れてあげる
自車が優先だからといって、脇道から合流しようとしている車を無視した運転行動をとると、強引な割り込みなどを招いて、事故につながることがあります。優先意識からは「思いやり」や「譲りあい」の気持ちは生まれにくいものです。相手が自車にどのような運転行動を望んでいるかを読み取り、そのときの交通状況に応じて優先意識を抑え、相手に道を譲り、お互いに気持ちよく通行できるよう配慮した運転を心がけましょう。
対向右折車を先に右折させる
片側1車線の道路で対向車が右折待ちで停止している場合、対向車が右折できないと後続車が先へ行けずに対向車線側が渋滞してしまうことがあります。そのようなときは、自車の左側方や後方から二輪車や自転車が接近していないことを確認したうえで、できるだけ対向車に道を譲り、先に右折させてあげるようにしましょう。
狭路でのすれ違い時は停止して相手を先に行かせる
狭い道路でのすれ違い時については、坂道の場合は下りの車が停止して上りの車に道を譲るようになっていますが、平坦な道路の場合はどちらが譲るかについての定めはありません。この場合、なんとかすれ違うことができるだろうとか相手が停止するだろうと考えて進行するのではなく、自車が停止して相手を先に行かせるようにしましょう。
歩行者優先を忘れずに!
車と歩行者では、「歩行者優先」が鉄則です。横断歩道のある場所はもちろんですが、横断歩道のない場所を歩行者が横断している場合も、徐行や一時停止して歩行者を先に横断させてあげましょう。また、横断中の歩行者との事故は、対向車線側から横断してくる歩行者との事故が多いとされています。自車線側の歩道や路側帯だけでなく、対向車線側の歩道や路側帯にも目を向け、横断してくる歩行者がいないかどうかを早めに確認しましょう。
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〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ