くるまの保険のコラム
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子どもの安全を守るため、6歳未満の子どもを乗せて運転する際に使用が義務付けられているチャイルドシート。実は、国の安全基準が決まっていることをご存じですか?今回はチャイルドシートの安全基準や、年齢に合わせた選び方、取り付け時の注意点などをご紹介します。
「チャイルドシートだから安全」とは限らない
「未認証チャイルドシート」も市場に出回っている
チャイルドシートには国の定めた安全基準が設けられています。しかし、市場には国の安全基準に適合していることを示すマークが表示されていない、いわゆる「未認証チャイルドシート」がインターネット通販などで出回っています。
国土交通省が実際に販売されている未認証チャイルドシートの検証を行ったところ、衝撃で固定金具などが壊れて子どもを模したダミー人形が放り出されたり、腹部が強く圧迫されたりと、国の安全基準に適合しておらず、危険な状況に陥る可能性があることが確認されたといいます。それだけで「すべての未認証製品が安全ではない」とは言い切れませんが、子どもの安全を守るのに十分でないおそれがあることは確かです。
「後付けISOFIX取付金具」も基準を満たしていないおそれあり
未認証チャイルドシートの他に、「後付けISOFIX取付金具」にも注意が必要です。ISOFIXとは、チャイルドシートの固定にシートベルトを使わず、チャイルドシートと自動車に搭載された固定金具(ISOFIXアンカレッジ、ISOFIX金具)を連結する取り付け方法です。固定金具は、強度や取付位置等が道路運送車両の保安基準で定められています。2012年7月以降新たに販売されている乗用車(乗車定員10人未満)には、ISOFIXチャイルドシート対応の固定金具が必ず装備されています。
2012年以前の乗用車にも装備されていることはありますが車種によるため、市場には「後付けISOFIX取付金具」と称する金具も流通しています。しかし国土交通省はこれを「基準に適合していないおそれがある」とし、「ISOFIX取付金具が装備されていない車両にはシートベルトで取り付けするチャイルドシートをご使用ください」としています。
子どもを守る!正しいチャイルドシートの選び方
現行基準を満たす製品の印「Eマーク」とその見方を知ろう
※1 チャイルドシートの種類
○UNIVERSAL(汎用)
○SEMI UNIVERSAL(準汎用)
○RESTRICTED(限定)
○SPECIFIC VEHICLE(特定車両用)
※2 装置を認可した国の番号
例:E1(ドイツ)、E43(日本)等
「国土交通省│チャイルドシートコーナートップ」より引用
現行の安全基準に適合しているチャイルドシートには、画像のような「Eマーク」が添付されています。チャイルドシートの種類や対象の体重範囲など、選ぶ際に重要な情報も見ることができますので、ぜひ覚えておきましょう。ちなみに、○に「自」の字が入った「自マーク」は改正前の古い基準への適合を示すもので、2012年6月30日以前に製作されたチャイルドシートにはこちらが添付されていることもあります。
「子どもの年齢・体格」、「車との適合性」に合わせて
チャイルドシートは体重、身長を目安に「乳児用」、「幼児用」、「学童用」の3種類に大きく分けられています。子どもの成長に合わせ、体格に合ったチャイルドシートを使い分けるようにしましょう。
また、チャイルドシートの使用が義務付けられているのは6歳未満までですが、自動車のシートベルトが着用できるのは身長140cm以上、平均すると10歳程度の体格とされています。無理にシートベルトを使用すると、大きな衝撃を受けた際に首や内臓を損傷する危険性もあるため、身長140cmに達するまでは学童用チャイルドシートを使用することが推奨されています。
なお、自動車の車種によっても取り付けられるチャイルドシートは異なります。購入前にチャイルドシートと自動車の取扱説明書などを確認して、適合するかを確認しておきましょう。
「チャイルドシートアセスメント」も活用を
国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構では、市販のチャイルドシートの前面衝突試験と使用性評価試験を行い、その結果を「国土交通省│チャイルドシートアセスメント」として公表しています。さまざまな種類・メーカーのチャイルドシートと、その安全性能評価をチェック・比較することができるため、ぜひチャイルドシート選びに活用しましょう。
「お下がり」特有のチェックポイントも
子ども用品は成長に伴って不要になるため、チャイルドシートもお下がりをいただくことや、中古品を購入することもあるかもしれません。そういった場合には、事故歴や強い衝撃が加わっていないか、ひび割れや欠損など外観の傷みがないかなどを確認しておきましょう。また、製造からかなり期間が経過した、いわゆる「古すぎる」ものは樹脂などが劣化している可能性もあります。自動車との適合性確認や正しい取り付けのためには取扱説明書に加えて、必要な部品、付属品が全部そろっていることも重要です。
チャイルドシートは「使い方」も重要
取り付け方や着座のさせ方が正しくないケースは意外と多い
区分 | 適切な取付け割合 | 適切な着座割合 |
---|---|---|
乳児用 | 67.3% | 50.7% |
幼児用 | 56.8% | 40.0% |
学童用 | - | 53.3% |
合計 | 61.9% | 47.9% |
「警察庁│子供を守るチャイルドシート」より引用
警察庁と一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)が2022年4月22日~6月30日の間に実施したチャイルドシート使用状況の全国調査の結果によると、取り付けられたチャイルドシートのうち、適切な取り付けができていた割合は65.2%でした。また、チャイルドシートを使用していた幼児のうち、幼児を適切に着座させることができていた割合は49.5%でした。つまり、30%以上はチャイルドシートを正しく取り付けられておらず、半数以上は子どもを正しく着座させられていなかったことになります。
取扱説明書をしっかり読んで取り付け、正しい使い方を習慣づけよう
チャイルドシートで子どもの安全を守るためには、正しい取り付け方・使い方が欠かせません。チャイルドシートを用意しただけで安心せず、取扱説明書をしっかり読んで正しく取り付け、日々自動車に乗る際も正しい使い方を習慣づけておく必要があります。子どもが機嫌を損ねたり、言うことを聞かなかったりする場合もあるかもしれませんが、「命を守るため」と意識して徹底していきましょう。
見るからに危険な様子の製品でなければ、つい「市販されているのだから安全なはずだ」と思い込んでしまうこともあるかもしれません。しかし、国の安全基準を満たさないなど「子どもを守るために必要な性能を持っていない製品」も市場に出回っているのは事実です。自分たちで安全に関する情報を確かめ、基準に適合したチャイルドシートを見極めて正しく使いましょう。
参考
当社の福祉制度や各種サービスをご紹介するものですが、
今回の内容は、普段の生活でのお気づきや、お役に立ちましたか?
※本コラムは三井住友海上火災保険株式会社の「ソナエルラボ(https://www.ms-ins.com/labo/)」より引用しております。