すまいの保険のコラム

災害時における避難は徒歩移動で、避難所などの安全な建物へ入るのが基本とされています。しかし、集団生活が難しいご家族やペットがいる、避難所が空いていないといったやむを得ない事情から、車での移動、車中泊などによる避難も注目されています。今回は、車で避難しなければならない際に気をつけたいことについてご紹介します。

車での避難はどんなときに選択するべき?

避難は「原則徒歩」、車での避難は「やむを得ない場合に限る」

震災において避難する場合の方法は「原則として徒歩」とされています。また、台風や水害の場合も「車での避難は移動中に洪水等に見舞われることや、渋滞による避難の遅れが発生するおそれがあることに留意」とされています。このように、車での避難は渋滞による逃げ遅れや救助活動への影響、車への浸水などといった二次災害も予想されます。徒歩での移動が難しいなど、あくまで「やむを得ない場合に限る」と考えたほうがよいでしょう。

自治体によっては車での避難を想定した取り組みも

地理条件から徒歩避難での危険性が高いなど、車での避難が必要だと思われる地域では、渋滞を回避する避難ルートの策定や、逃げ遅れ防止を兼ねて知り合いの車への分乗(相乗り)を推奨し車の台数を減らすなど、自治体独自の取り組みも見られます。また、平成28年に起こった熊本地震で車中泊避難を実施した方が多かったことから、車中泊避難を想定したハンドブックの配布を行った自治体も。やむを得ない場合に限るとはいえ、車での避難、車中泊避難をせざるを得ない状況はゼロではないのです。
車での避難、車中泊避難が推奨されない理由には、デメリットも大きいことが挙げられます。続いては、車中泊避難のメリットとデメリットそれぞれについて見ていきましょう。

車中泊での避難のメリットは?

雨風をしのげ、エアコンや充電環境を利用できる

雨風をしのげ、エアコンや充電環境を利用できる

車中泊は車の中という限られた空間ではありますが、雨風をしのぐことができます。またエアコンやシガーソケットによるバッテリー充電、ラジオ受信など車載装備を利用できるのもメリットと言えます。

家族のプライバシーを確保し、防犯も

スペースが与えられたとしてもプライバシー確保が難しい避難所に対して、車ではある程度プライバシー空間が確保されます。また施錠できるため、侵入や盗難といった犯罪の防止に有効だというメリットもあります。

集団生活がしづらいケースでも対応できる

集団生活がしづらいケースでも対応できる

避難所は限られたスペースでさまざまな人が集団生活をするため、お互いへの気づかいが重視される場所でもあります。体の不自由な方やマナーを守らせることが難しい小さな子ども、ペットなどのいる家族は周囲と気まずくなりがちです。車中泊であればこうした気づかいの負担をある程度減らすことができます。

移動手段を確保できる

自家用車を持っていても、徒歩で避難したあと、さらに移動が必要になった場合は車を使うことが難しくなります。避難先に車で移動しておくことで、そこから移動するための手段を確保できます。

車中泊での避難のデメリットは?

さまざまな健康リスクがある

キャンピングカーなど、車中泊を前提とした特殊な車両でなければ、車中泊にはある程度の無理が伴うのが一般的です。
例えば、下記のような健康リスクが考えられます。

  • ・長時間座った状態で脚を動かさずにいることで血栓ができ、血管を塞ぐ「エコノミークラス症候群」
  • ・家屋に比べて冬季は車内温度が下がりやすく、夏季は上がりやすいことから起こる「低体温症・熱中症」
  • ・積雪などで排気が室内に入り込んで起こる「一酸化炭素中毒」

就寝のためなどのスペースが限られる

就寝のためなどのスペースが限られる

ある程度動きまわったり、横になったりして休む空間が確保されている家屋と違って、一般的な車内のスペースは生活や就寝などに十分とは言えません。車中泊できる人数は乗用車としての定員よりもずっと少ないと見ておいてよいでしょう。

トイレの確保、支援物資や情報の獲得が難しいことも

車内にトイレの設備がなく、また避難所などトイレに近い場所での車中泊が難しい場合は、避難中に使用するトイレも自分たちで確保しなければなりません。避難所に入らないことで、支援物資や情報が届きにくくなるといったデメリットも懸念されます。

車中泊での避難のために備えておきたいこと

状況判断できるようにあらかじめ情報収集を

徒歩避難や避難所への入所が難しいと思われるケースであっても、「車中泊前提」の避難計画ではリスクが大きくなります。自治体の車中泊避難に対する取り組み状況、家族の状況、自家用車の仕様が車中泊にどれくらい対応できるか、車中泊に適した避難先(駐車場所)は確保できるか、といったことをあらかじめ把握しておきましょう。いざというとき、車中泊が望ましいか、徒歩で避難所へ向かうべきかといった判断材料になります。

いざというときのため「燃料満タン」を習慣に

車中泊避難を決断したとしても、燃料が不足しているとエアコンやバッテリー充電といった車ならではの機能を活用できません。燃料はギリギリまで使い切ってから補給するのではなく、基本的に満タンにしておく習慣をつけておきたいところです。

カー用品、アウトドア用品、防災用品を把握・補充しておく

サンシェードなどのカー用品、エアマットや寝袋、まくら、ランタンなどのアウトドア用品、また携帯トイレ、非常食、防寒アイテムなどの防災用品には車中泊で役立つものが多々あります。車中泊避難を踏まえた目線で避難袋などの現状を把握しておき、必要なものは補充しておくと安心です。

エコノミークラス症候群の予防法を覚えておく

エコノミークラス症候群の予防は「避難してからの過ごし方」にかかっています。日ごろの備えとして、次のような予防法をあらかじめ覚えておきましょう。

  • ・起きている間は4~5時間ごとに車外へ出て体を動かす
  • ・暴風雨などで車外へ出られない場合も、座ったままできる脚の屈伸運動や上下運動などに取り組む
  • ・血行を妨げない姿勢やゆったりした服装を心がける
  • ・こまめに水分をとる(カフェインを含むものやアルコール以外)
  • ・睡眠薬の服用を避ける(不自然な姿勢のまま眠ってしまう可能性があるため)
  • ・就寝の際は荷物なども活用して、足元に段差のない寝床を作る
  • ・脚の血行を促す着圧ソックスなどを着用する

気候に合わせた環境作りを意識しておく

車内は家屋よりも外気温の影響を受けやすいため、エアコンの適切な利用も重要ですが、その一方で一酸化炭素中毒を防ぐため車のエンジンをかけっぱなしにするのは避けたいところです。冬は冬季用の寝袋や使い捨てカイロ、衣類の重ね着などで急な車内温度の低下に備えましょう。夏はこまめな水分摂取を意識し、直射日光を避けられる場所へ駐車してください。また、年間通してこまめな換気を意識するのも重要なポイントです。

電源を確保し、バッテリー上がりを防ぐ

車載バッテリーはエンジンをかけることで充電されます。エンジンをかけないまま室内灯やラジオなどの電装品を利用し続けると、充電せずに電気を使い続けるため、バッテリー上がりの原因になります。また、エンジンをかけていても、エアコンやカーオーディオなど複数の電装品を長時間使用すると、バッテリーへの負担が大きくなり、トラブルの原因になりかねません。エンジン停止中の電力源として、ポータブル電源などを用意しておけると安心です。
また、バッテリーが劣化しているとバッテリー上がりを起こしやすくなりますから、液量は足りているか、本体が膨らんでいないかなど日ごろの点検も欠かさないようにしましょう。

車中泊での旅行を趣味にする人なども多いですから、「しばらくの間であればうちも車中泊で問題ないだろう」と考えてしまうかもしれません。しかし、趣味の車中泊では装備や車載品を車中泊用に工夫したり、寝床の作り方を事前にシミュレートしたりすることなども趣味の一部として楽しんでいるケースが珍しくありません。つまり、環境作りの備えは万全なのです。いざというとき、車中泊を選択肢に加えるためには、あらかじめノウハウ情報の収集や準備をきちんとしておきたいところです。

上記の内容は、パナソニックグループの従業員の皆さまに、
当社の福祉制度や各種サービスをご紹介するものですが、
今回の内容は、普段の生活でのお気づきや、お役に立ちましたか?
  • このホームページは、概要を掲載したものです。詳細は、商品パンフレット等をご覧ください。なお、ご契約等の際には、パンフレット・重要事項のご説明・ご契約のしおり等にて必ず内容をご確認ください。また、ご不明な点は、パナソニック保険サービスまたは引受保険会社にお問い合わせください。
  • パナソニック保険サービスは、複数保険会社の商品を取扱う保険会社の募集代理店です。保険商品のご案内に際し、当社の比較説明・推奨販売方針「保険商品のご案内について」に基づき適正に保険募集を行います。

※本コラムは三井住友海上火災保険株式会社の「ソナエルラボ(https://www.ms-ins.com/labo/)」より引用しております。

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