くるまの保険のコラム
「交通の方法に関する教則」の「危険な場所などでの運転」の項目のなかに、カーブや坂道が取り上げられています。カーブや坂道では、速度のコントロールを誤ったり、ハンドル操作などが不適切だと、重大な事故につながる恐れがあります。そこで今回は、カーブと坂道の安全走行のポイントをまとめてみました。
カーブの安全走行
カーブの手前で十分に速度を落とす
カーブでは、車を外側へ引っ張ろうとする遠心力が働きます。遠心力は、スピードが速いほど、カーブの半径が小さいほど(カーブがきついほど)大きくなりますから、速度の判断を誤るとカーブを曲がりきれずに、ガードレールなどに衝突したり路外へ転落するなど、事故の危険が高まります。カーブに接近したときは、その手前の直線部分で 十分に速度を落としましょう。特に夜間は、暗いためにカーブのきつさが正しく把握できないケースがありますから、 より一層の注意が必要です。
また、カーブの手前で急な減速をする車もありますから、先行車があるときは十分な車間距離をとっておくようにし ましょう。
急なハンドル操作をしない
カーブを曲がるときに急ハンドルを切ったり、ハンドル を切りながらブレーキを掛けたりすると、横転や横滑りを起こしやすくなりますから、ハンドルは緩やかに操作しま しょう。
センターラインをはみ出さない
センターラインをはみ出すと対向車と正面衝突する危険性が高まりますから、必ず車線を守って走行しましょう。特に、センターラインのないカーブでは道路の中央に寄り がちになりますから注意しましょう。
夜間のカーブではヘッドライトが
照らさない部分に注意
夜間のカーブでは、ヘッドライトが照らさない部分があり、道路を横断しようとしている歩行者や逆走してくる無灯火の自転車などの発見が遅れることがあります(図1)。 ヘッドライトが照らさない部分にも目を配り、歩行者等の早期発見に努めましょう。
坂道の安全走行
坂道における安全走行の基本を知る
① 長い下り坂でフットブレーキを使い過ぎると、ブレ
ーキが効かなくなることがあります。低速ギアにしてエ
ンジンブレーキを活用しましょう。
② 下り坂では加速がつくため停止距離も長くなります。
前車との車間距離を十分にとって、前車の減速や停止
にも余裕をもって対応できるようにしておきましょう。
③ 上り坂の頂上付近はその先が死角となります。その
ため上り坂の先に横断歩行者がいても発見が遅れてしま
う危険があります。坂道の頂上付近は徐行が義務づけら
れていますから、必ず徐行して上り坂の先の状況をしっ
かり確認しましょう。なお、上り下りを問わず、坂の頂
上付近の駐停車は禁止されていますから、駐車も停車も
できません。勾配の急な坂道も同様です。
④ 上り坂で前車に続いて停止するとき、あまり接近し過
ぎると、発進時に後退した前車と接触する危険がありま
す。上り坂で前車に続いて停止するときは、前車の後退
を予測し十分な車間距離をとっておきましょう。
⑤ 狭い坂道で対向車とすれ違う場合は、下りの車が停止
して上りの車に道を譲りましょう。ただし、上りの車の
近くに待避所がある場合は、上りの車でも待避所に入
って下りの車の通過を待ちましょう。
⑥ 片側が崖になっていて、安全な行き違いができない
場合は、崖側の車が一時停止して道を譲りましょう。
連続した下り坂や登り坂では
勾配の錯覚に注意する
道路標示は、図2の「横断歩道や自転車横断帯あり」のように予告機能のあるものもあります。見通しの悪いカーブなどでは前方に横断歩道があっても、それに気づくのが遅れがちになりますが、この道路標示によってドライバーはカーブの先に横断歩道があることを把握でき、十分減速するなどの横断歩行者や自転車に備えた早めの対応をとることができます。道路標示に気づくか気づかないかで運転に大きな差ができてしまうことがありますから、道路標示にもよく目を向けて運転しましょう。
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〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ