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社内ネットワークにVPNを導入する際のメリット・注意点を徹底解説
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そもそもVPNとは?
VPNとは、仮想的なLAN(専用線)のことです。正式名称である「Virtual Private Network」の頭文字をとった略語であり、既存ネットワークの中に、仮想のプライベートなネットワークを構築する仕組みとなっています。具体的には、送信側と受信側の間に仮想のトンネルを作り、それを利用して通信をおこなうため、認証や暗号化を用いて通信内容を第三者の目から保護し、まるで自分専用のネットワークのように通信をおこなえる点が大きな特徴です。以前までのプライベート通信には、通信事業者が提供する専用線を利用する方法が主流でしたが、物理的な回線工事の手間がかかるうえに、利用料金が非常に高額でした。しかしVPNを用いることで、この専用線に近いものを仮想的に作り出すことが可能となっています。
VPNを用いて社内ネットワークに接続ができる!
先述したように、インターネット上に仮想の専用線を作り、安全性を確保した経路(仮想トンネル)を使う情報通信技術がVPNです。通常、外出先や自宅から社内ネットワークに接続する場合、インターネット経由でアクセスしなければなりません。しかしこのアクセス方法は、悪意ある第三者による社内情報の盗聴や改ざんといったリスクがつきものです。これに対し、VPNの仕組みである特定のユーザだけが通信することのできる仮想トンネルならば、悪意ある第三者の目を気にすることなく安全に外出先や自宅から社内ネットワークへ接続ができます。
VPN接続について
VPN接続とは、ネットワーク上に仮想専用線を設定し、特定のユーザだけが利用できる通信方法のことです。クライアント側とユーザ側の通信で成立する接続方法のため、実際にVPN接続するときは、それぞれの設定などについて確認が不可欠になります。クライアント側は、VPN接続の対応可能なルータなどのネットワーク機器の準備や設定をおこなわなければなりません。ユーザ側は、VPN接続に必要な認証ソフトのインストールや設定をおこないます。OSのデフォルト機能を設定する場合、WindowsOSはコントロールパネル、MacOSはシステム環境設定で、それぞれのネットワーク設定をおこなってください。
VPNを社内ネットワークに導入する際のメリット
仮想の専用線を使い、プライベート通信をおこなえるVPNですが、実際どのような利点や恩恵があるのでしょうか?ここからは、VPNを社内ネットワークへ導入した際に得られる具体的なメリットをご紹介します。
メリット①安全な通信が可能
VPNを社内ネットワークに導入すれば、安全な通信が可能となります。これは、通信内容の暗号化や安全なアクセス経路を確保するトンネリング機能などが備わっているためです。このセキュリティ面を重視した安全なネットワーク構造が、VPNの大きなメリットに挙げられます。
メリット②コストを抑えられる
コストを削減できる点も、VPNを社内ネットワークに導入する際のメリットです。通信事業者が提供する専用線は、初期費用や維持費などがかかってしまいます。それに比べて仮想ネットワークのVPNであれば、初期費用や維持費を安価に抑えることが可能です。
メリット③モバイル端末でもアクセスできる
PCのみならず、モバイル端末でもアクセスできる点がVPNのメリットです。会社から離れていても、スピーディーで安全なプライベートのネットワーク通信を利用できるため、場所や時間にとらわれないフレキシブルな働き方が実現できます。
メリット④拠点間や遠隔地との接続が可能
一般的な専用線の場合、本社と拠点間でしか通信できません。それに対してVPNの場合、本社と拠点はもちろんのこと、拠点同士や海外にある拠点のような遠隔地であっても接続が可能です。その距離を問わずに、安全な環境下で通信がおこなえる点もVPNのメリットになります。
VPN接続時に注意すべきこと
通信の安全性やコスト削減など、メリットの多いVPN接続なのですが、利用の際に配慮すべきポイントもあります。ここからは、VPN接続時のおもな注意点を解説します。
注意点①自動切断
VPN接続をおこなう場合、自動切断に注意が必要です。一定時間利用しなければ、情報漏えいといった安全性の観点から、基本的にVPN接続が自動切断される仕組みになっています。自動切断された場合、その都度接続の手間がかかることを覚えておきましょう。
注意点②SSLサーバ証明書のインストール
SSLサーバ証明書のインストールもVPN接続の絶対条件です。暗号化通信は、SSLサーバ証明書がサーバにインストールされている場合に限り、クライアントとサーバが暗号化通信できるようになっています。そのため、SSLサーバ証明書のインストールをしっかりと確認するように注意してください。
注意点③接続機器の性能
VPN接続する際に必要な接続機器にも注意が必要となります。これは、クライアント側が接続しているルータなどの性能によってVPN接続が大きく影響を受けるためです。サーバ側の接続機器がVPN接続非対応のルータであれば、VPN接続ができません。
VPN回線のメカニズム
ここからは、VPN回線のメカニズムに関する概要を解説します。
メカニズム①VPN回線の仕組み
VPN回線は「インターネットVPN」と「IP-VPN」の2種類に分かれます。インターネットVPNとは、インターネットを接続方法として仮想的なLANを構築する仕組みです。一方のIP-VPNとは、通信事業者が独自に構成した閉域IPを利用する仕組みになります。閉域IPは、インターネットに似たコンピューターネットワークのことです。
メカニズム②OSI参照モデルの関連性
OSI参照モデルとは、ネットワークを7つの階層に分け、その層ごとに定められた規格で通信をおこなうためのネットワークにおける理想的な基盤です。たとえば暗号通信をおこなうインターネットVPNは、5層などに分類されるSSL-VPNの方法で多く接続される点が特徴となります。
メカニズム③VLANやVPSとの違い
VLAN(Virtual Local Area Network)とは、物理的な接続状態と異なり、仮想的な接続状態(仮想LAN)を構成する技術のことです。LANスイッチの内部でLANセグメントを分割するために使われます。VPS(Virtual Private Server)とは、仮想的な専用サーバのことです。独自のデータベースやWebアプリを構築・使用することができます。
メリットの多いVPNを社内ネットワークに導入すべき
VPNとは仮想的なLANのことであり、インターネット上に仮想の専用線を設定し、特定のユーザだけが利用できる専用ネットワークです。セキュリティ面に優れたVPNは、情報漏えいをはじめ、悪意ある第三者の盗聴や改ざんなどから社内の重要なデータを守ってくれます。また複数の拠点間やモバイル端末とも通信が可能であり、コストも大幅に削減可能です。VPN接続時の注意点やメカニズムを考慮し、社内ネットワークにVPNの導入を検討してみてはいかがでしょうか。