パナソニック・ホーム パナソニックEWネットワークス > Solutions > コラム一覧 > AIカメラとは?特徴や実現可能なこと、事例を紹介

映像システム

AIカメラとは?特徴や実現可能なこと、事例を紹介

更新日:2024/10/21
AIカメラとは?特徴や実現可能なこと、事例を紹介
AIカメラとは、人工知能(AI)を活用して映像・画像を自動分析するカメラです。AIカメラを活用することで、対象物の認識や情報データ分析を自動で行えます。この記事では、AIを活用した「AIカメラ」がどのような特徴を持ち、従来のネットワークカメラと比べてどのような業務効率化を実現できるかについて解説します。さらに具体的な活用例やメリット・デメリット、導入事例も交え、どのような分野で役立つのかを紹介します。
法人のお客様向け

スイッチングハブをはじめとしたネットワークシステム、入退室管理システム、カメラシステム構築に関するお問い合わせはこちら

AIカメラとは何か

AIカメラとは、人工知能(AI)を活用して映像・画像を自動分析するカメラです。
映像や画像の記録はもちろんのこと、指定した対象物の認識や情報データ分析を行えます。
AIカメラで対象物の認識や情報データの分析を自動で行うことで、業務効率化を実現可能です。
勤怠管理や防犯、顧客分析などの幅広い分野でAIカメラが活用されています。

ネットワークカメラとAIカメラは何が違うのか

ネットワークカメラは、映像・画像の記録が主な使用目的です。映像の確認、情報整理・分析は人の手で行わなければなりません。
これに対してAIカメラは映像・画像分析を自動で行えるため、人の手で映像確認、情報整理・分析を行わなくて済みます。人の手で行っていた作業を、AIが代わりに行ってくれるイメージです。

AIカメラの2つの種類

AIカメラは「エッジAIカメラ」と「クラウドAIカメラ」の2種類に分かれています。
それぞれどのような特徴があるか、確認していきましょう。

エッジAIカメラ

エッジAIカメラは、AIの処理をカメラ自体、またはエッジデバイスで行うAIカメラです。
エッジデバイスとは、ネットワークに接続された端末装置です。
カメラ本体、エッジデバイスにAIのプロセッサやアルゴリズムが組み込まれているため、映像データの解析をそのまま現場で実施可能です。

メリット

エッジAIカメラのメリットとして、ネットワークやクラウドに依存せずに、カメラ本体またはエッジデバイス上でAI処理を行える点が挙げられます。
ネットワークやクラウドに依存しない分、高速な応答やセキュリティの向上を実現可能です。

デメリット

エッジAIカメラは、カメラ本体またはエッジデバイスでデータ処理を行うため、大規模なデータ処理は難しいです。
またAIの学習と推論が異なる場所で実施される分、複雑で高度な処理を行うのも得意ではありません。

クラウドAIカメラ

クラウドAIカメラとは、AIによるデータ処理をクラウドサーバー上で実施するAIカメラです。
カメラの映像データがインターネットを通じてクラウドサーバーへ送信され、クラウド上のAIプラットフォームで解析・処理が実施されます。

メリット

クラウドAIカメラは、映像解析用の端末を使わずにデータの解析を行えます。
このため、設置場所を柔軟に決めやすいという特徴があります。
またクラウドサーバー上でデータ処理を実施するため、大量のデータ分析にも強いです。
複雑な分析を行ってもAIカメラ本体には負荷がかからないため、カメラの稼働面でも安心して利用できます。

デメリット

クラウドAIカメラを利用するためには、インターネット環境が必須です。
特にクラウドAIカメラでは大量の映像データをクラウドサーバー上に送るため、高速で快適なインターネット環境を必要とします。
またクラウドAIカメラの映像はインターネット環境を通じで送受信されるため、エッジAIカメラと比べると情報漏えいのリスクが高くなります。
情報漏えいを防ぐためにも、AIカメラの技術的な問題やトラブルが発生していないか、常に確認しなければなりません。

AIカメラで実現可能なこと

AIカメラで実現可能なこと

AIカメラで実現可能なこととして、以下の内容が挙げられます。

  • 顔の検知
  • オブジェクトの検知
  • パターン検知
  • バーコード検知
  • 文字検知
  • 姿勢検知
  • 領域検知

顔の検知

AIカメラでは、カメラ上に映った人の顔を認知し、人物を識別できます。
この技術を「顔検知」「顔認証」「顔認識」などと呼びます。

事前に人の顔をAIカメラに登録することで、登録した人の顔を検知することも可能です。
このため、顔検知の機能はオフィスや工場の入退室管理で活用されることが多いです。

オブジェクトの検知

AIカメラでは、オブジェクト(モノ)の検知もできます。
人と同様にさまざまな物体を認識することが可能で、カメラに映ったオブジェクトの中から特定のオブジェクトを検知できます。
商品の検品や工場でのピッキング作業など、さまざまな工程・分野で活用できる機能です。

パターン検知

パターン検知とは、設定した特徴をもとにして同じパターンを検知、認識する機能です。
カメラに映った大勢の人物の中から、特徴と合致する人物を見つけることができます。

バーコード検知

AIカメラでは、複数のバーコードを同時に検知可能です。
スマートフォンのカメラだと1つのバーコードしか基本的に検知できませんが、AIカメラであれば複数のバーコードを同時に、効率よく検知できます。

文字検知

AIカメラでは、カメラに映った文字の検知も行えます。
高い精度で文字を検知できるため、従来の文字検知のツールよりも正確に文字検知が可能です。
文章の文字起こしを行う際に、AIカメラの文字検知機能は最適といえるでしょう。

姿勢検知

姿勢検知とは、人の関節をもとにして姿勢を検知する機能です。
主に、スポーツ選手のフォームチェックや医療分野で活用されています。
AIカメラは姿勢検知の機能にも優れており、人の姿勢を高精度に検知できます。

領域検知

領域検知とは、カメラに映った人物や建物などの境界線を識別する機能であり「セグメンテーション」とも呼ばれます。
領域検知は自動運転の車が歩行者を検知したり、ロボット掃除機が障害物を検知したりする際などに活用されます。

AIカメラを導入するメリット・デメリット

AIカメラの導入には、さまざまなメリット・デメリットがあります。
具体的にどのようなものか確認していきましょう。

メリット

AIカメラを導入するメリットとして、以下の内容が挙げられます。

  • 顔検知による正確な勤怠管理が可能になる
  • 店舗・オフィスの混雑度を把握できる
  • 施設のセキュリティを向上できる
  • 人物の追跡、動線を把握できる

顔検知による正確な勤怠管理が可能になる

AIカメラを導入することで、顔検知による正確な勤怠管理が可能になります。
オフィスの出入口にAIカメラを設置することで、カメラの映像を通じて従業員の出勤・退勤を記録できます。
IDカードや勤怠入力ツールによる管理が不要になるため、手動での勤怠管理を省くことも可能です。
事務手続きの削減、オフィスのDX化にもAIカメラは非常に有用といえるでしょう。

店舗・オフィスの混雑度を把握できる

AIカメラを導入することで、店舗・オフィスの混雑度を自動で把握できます。
映像に映った人の数を検知して、店舗・オフィスにいる人数を自動でカウントします。
混雑緩和や感染症対策による人数制限を図りたい際に非常に便利です。
また人の目視による人数カウントを行う必要がなくなるため、現場社員の負担軽減にも繋がるでしょう。

施設のセキュリティを向上できる

AIカメラを導入することで、施設のセキュリティを向上できます。
暗い場所でも人を正確に認識できますから、夜間の侵入もすぐに検知できます。
また人物のみならず、車のナンバーの検知も可能です。
警備員による目視でのセキュリティ対策ではカバーしきれない部分も、AIカメラでカバーできます。
24時間高精度の監視を実現したい際に、AIカメラは最適といえるでしょう。

人物の追跡、動線を把握できる

AIカメラを活用することで、人物の動きを追跡できます。
人がどのように動いているか把握することで、顧客の視点に立った売り場作りやレイアウト設定を実現可能です。
現場社員の感覚的、属人的な売り場作り・レイアウト設定に頼らず、客観的かつデータに沿った設定ができます。

デメリット

AIカメラを導入するデメリットとして、以下の内容が挙げられます。

  • 導入コストがかかる
  • AIカメラの運用方法を学ぶ必要がある
  • 用途に合うAIカメラの選定が必要になる

導入コストがかかる

AIカメラを導入する際にはコストがかかります。
AIカメラの種類、設置台数、追加オプションなどによって導入コストは変動しますが、数万円~数十万円ほどのコストが発生すると考えた方がよいでしょう。
ただし導入コストがかかる点は、AIカメラのみならず従来のネットワークカメラも同様です。
どれくらいの費用であれば無理なく負担できるか、あらかじめ社内で検討しておきましょう。

AIカメラの運用方法を学ぶ必要がある

AIカメラを運用・管理していく際に、AIカメラの運用方法を学んでおく必要があります。
AIカメラは高性能な検知機能が備わっている分、従来のネットワークカメラよりも設定や操作が複雑となっています。
機種によっては、専門的なプログラミング知識が必要になることもあります。
ただし一度運用方法を学んで社内で共有できれば、初期導入以降の運用では学習コストを抑えやすくなります。
AIカメラの運用を行う中で、自社独自の運用・操作マニュアルの作成を行うなど、学習コストを抑えるための施策を並行して進めていくことが肝要です。

用途に合うAIカメラの選定が必要になる

AIカメラを使用する際は、用途に合うAIカメラの選定が必要になります。
一口にAIカメラといっても、メーカーや機種によって機能はさまざまです。
自社の用途に合うAIカメラを適切に選定できるよう、AIカメラを導入する目的や利用したい機能をあらかじめ明確にまとめておきましょう。

AIカメラの選び方のポイント

AIカメラを選ぶ際には、以下のようなポイントに着目しましょう。

・用途を明確にする

まず、AIカメラを何に使いたいのかを明確にしましょう。防犯目的、見守り、ドライブレコーダーなど、用途によって必要な機能が異なります。

・画質と解像度

高画質で高解像度のカメラは、鮮明な映像を提供します。特に防犯目的で使用する場合は、顔やナンバープレートをはっきりと認識できる解像度が必要です。

・AI機能の種類

AIカメラには、顔認識、動体検知、音声認識などさまざまなAI機能があります。用途に合ったAI機能を持つカメラを選びましょう。

・操作が簡便か

操作が簡単で直感的に使えるカメラを選ぶと、設定や日常の使用がスムーズになります。AIカメラには、アプリで操作できるものもあります。

・価格とコストパフォーマンス

予算内でもっともコストパフォーマンスのいいAIカメラを選びましょう。高価なカメラが必ずしもいいとは限りません。必要な機能が揃っているかを確認しましょう。

AIカメラの活用場面

AIカメラは、さまざまな業界での活用が期待されています。ここでは製造業、建築業、医療・介護、小売業の4つの分野におけるAIカメラの具体的な活用場面について見てみましょう。

製造業

製造業では、AIカメラが品質管理や生産効率の向上に役立っています。例えば製品の外観検査にAIカメラを使用することで、微細な欠陥や異常を迅速に検出できます。これにより不良品の出荷を防ぎ、顧客満足度を向上させられます。 また製造ラインの監視にもAIカメラが活用されており、異常が発生した際には即座にアラートを発することで、迅速な対応が可能です。さらに作業員の安全確保にも役立ち、危険な作業環境をリアルタイムで監視し、事故を未然に防ぐこともできます。
またAIカメラは、設備の予知保全にも利用されています。機械の動作を常時監視し、異常な振動や温度変化を検出することで故障の兆候を早期に発見し、計画的なメンテナンスを実施することが可能です。これにより突発的な機械の故障を防ぎ、生産ラインのダウンタイムを最小限に抑えることができます。

建築業

建築業においても、AIカメラは多岐にわたる用途で活用されています。例えば建設現場の監視にAIカメラを導入することで、作業の進捗状況をリアルタイムで把握できます。これにより工期の遅れを防ぎ、効率的なプロジェクト管理が可能となります。 またAIカメラは、安全管理にも貢献します。作業員の動きを監視し、危険な行動や不適切な装備を検出することで、事故のリスクを低減することが可能です。さらに建設現場の資材管理にも役立ち、盗難や紛失を防ぐためのセキュリティ対策としても利用されています。
加えて、AIカメラは建設現場の環境モニタリングにも使用されます。例えば粉塵や騒音のレベルをリアルタイムで監視し、基準値を超えた場合にはアラートを発することで、作業環境の改善に役立てることができます。これにより作業員の健康を守り、環境への影響を最小限に抑えられるでしょう。

医療・介護

医療・介護分野では、AIカメラが患者の見守りや診断支援に活用されています。例えば病室に設置されたAIカメラは、患者の動きを監視して異常な行動や転倒のリスクを検出できます。これにより迅速な対応が可能となり、患者の安全を確保することが可能です。 またAIカメラは、診断支援にも役立ちます。例えば皮膚科では、AIカメラを使用して皮膚の状態を撮影し、AIが画像を解析することで早期の病変発見や診断の精度向上が期待されています。さらに介護施設では、AIカメラが入居者の見守りに活用され、夜間の見守り業務を効率化できます。
さらに、AIカメラはリハビリテーションの分野でも活用されています。患者の動作を詳細に記録し、AIがそのデータを解析することで、リハビリの進捗状況を正確に把握できます。これにより個々の患者に最適なリハビリプランを提供することが可能となり、回復のスピードを向上させることが可能です。

小売業

小売業においても、AIカメラはさまざまな場面で活用されています。例えば店舗内の監視カメラとしてAIカメラを導入することで、万引きや不正行為を検出可能です。AIがリアルタイムで異常行動を検出して警報を発することで、迅速な対応が可能となります。 また顧客の行動分析にもAIカメラが役立ちます。店舗内の顧客の動線や滞在時間を解析することで、商品の配置やプロモーションの効果を最適化できます。さらにレジの混雑状況を監視し、適切なタイミングでスタッフを配置することで、顧客満足度の向上も可能です。
AIカメラは、在庫管理にも活用されています。棚の在庫状況をリアルタイムで監視し、商品が不足している場合には自動で補充を指示することができます。これにより在庫切れを防ぎ、常に適切な商品を提供することが可能です。また顧客の購買行動を分析することで、需要予測を行い効率的な在庫管理を実現できます。

AIカメラの導入成功事例

次に、AIカメラの導入成功事例を紹介します。
今回紹介する事例は以下の3つです。

  • 某ビル管理会社へのクラウドカメラシステムの導入
  • 某精密機械メーカーへのネットワークカメラ、入退室管理システムの導入
  • 某アミューズメントパーク運営会社へのAIカメラシステムの導入

某ビル管理会社へのクラウドカメラシステムの導入

某ビル管理会社では、以下の課題を抱えていました。

  • 喫煙禁止の場所で喫煙が見られたため、対策を行いたい
  • 人が溜まっているところを把握して、流れをスムーズにしたい
  • 人員配置等の見直しを行いたい

上記の課題を解決するために、クラウドカメラシステムを導入しました。
クラウドカメラシステムの導入により、進入禁止区域等への立ち入りや滞留に関する対応をスピーディーに行う体制を確立することに成功しました。
また初回のカメラシステム導入時から長期修繕計画の提示も行い、機器の故障リスク把握、並びにリスク上昇の防止も併せて実現しています。

某精密機械メーカーのネットワークカメラ、入退室管理システムの導入

某精密機械メーカーは、技術開発センターの運営において以下の要望をもっていました。

  • サーバールームにアクセスする前室を設けて、厳格な個人認証と共連れ防止を行いたい
  • 出入口やラック列の間など、人の動きがあるところは死角なく、高画質で監視・録画を行いたい
  • 機器の安定稼働を行うために、動作環境を一元管理して、さらに省エネ効果も実現したい

これらを実現するために「生体認証(虹彩)」「共連れ禁止センサー」「ネットワークカメラ」を提案しました。
虹彩認証の際に、共連れ検知センサーが「1人」と判断した場合にのみ、前室の自動ドアが作動して、不正侵入を防止する環境となっています。
また動体検知機能がついた高画質監視カメラ設備の導入により、映像内の人・モノが動いた場合にのみ録画を行うため、動画容量の削減につながります。

某アミューズメントパーク運営会社へのAIカメラシステムの導入

某アミューズメントパーク運営会社は、施設運営において以下の課題を認知していました。

  • 来店者数や来店者層を感覚で把握していたため、データに基づいた正確な来店者把握を行いたい
  • 集客数を正しく把握して、来店状況を踏まえて売り場作りを実施したい

上記の課題を解決するために、弊社よりAIカメラシステムを提供しました。
AIカメラシステムの導入により、来店者数や来店者の年齢・性別など属性別のデータを正確に把握できる体制を構築することに成功しました。
取得したデータは来店者の把握のみならず、マーケティング資料の作成やシフト調整、掃除開始時間の設定などのオペレーション改善にも活用しています。

監視カメラを整備するならパナソニックEWネットワークス

AIカメラによる監視体制の整備を検討しているなら、パナソニックEWネットワークスにお任せください。
弊社ではネットワークカメラやクラウド録画サービス、AI画像解析サービスなど、さまざまな監視カメラ機種、システムをご提供しています。
お客様のご要望に沿って、最適な監視体制を構築いたします。
また弊社では監視カメラに加えて、生体認証や入退室管理システムなど、他のセキュリティ対策システムのご提供も可能です。
オフィスや工場、倉庫などのセキュリティを全面的に高めていきたい際にも、パナソニックEWネットワークスにてワンストップで対応いたします。

まとめ

AIカメラは人工知能(AI)を活用して映像・画像を自動分析するカメラです。
AIカメラを活用することで、対象物の認識や情報データの分析など、これまで人が手動で行っていた業務を自動化、効率化することが可能です。
またAIカメラの機能を活用して、入退室管理や勤怠管理、防犯対策、顧客分析なども行えます。
従来のネットワークカメラと比較して、機能が充実している点がAIカメラの大きな強みといえるでしょう。

関連製品はこちら

関連記事はこちら