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自治体の監視カメラ導入の注意点 成功事例、3つの種類、機能も紹介

更新日:2024/07/16
自治体の監視カメラ導入の注意点 成功事例、3つの種類、機能も紹介
現在、公共の場における安全性の確保や犯罪抑止のために、多くの自治体が監視カメラを導入しています。しかし監視カメラにはさまざまな種類や機能があり、設置場所や目的に応じて選ぶべきカメラが異なります。この記事では、自治体が設置する監視カメラの種類や機能について詳しく説明し、実際の導入事例や注意点についてもご紹介します。街頭用防犯カメラ、公民館用防犯カメラ、公園用防犯カメラの3種類を中心に解説します。
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自治体の監視カメラの種類と機能

現在、多くの自治体が公共の場に監視カメラを設置し、犯罪抑止や迅速な対応を図っています。しかし監視カメラにもさまざまな種類と機能があり、設置場所や目的に応じて選ばれるべきものが異なります。
ここでは、自治体が設置する下記の防犯カメラについて詳しく見ていきましょう。

  • 街頭用防犯カメラ
  • 公民館用防犯カメラ
  • 公園用防犯カメラ

街頭用防犯カメラ

自治体カメラとして、重要なもののひとつが「街頭用防犯カメラ」です。商店街や駅前、自治体庁舎に隣接する道路などの街頭に設置します。

街頭用防犯カメラの機能

街頭用防犯カメラに必要とされる機能としては、屋外設置型という制約があるため防水性能が必須となります。また防犯上、夜間の撮影にも対応する必要があります。カメラ性能も200万画素以上の性能を有していなければ、いざというときの解析ができません。

公民館用防犯カメラ

自治体関連として、次に重要な場所が「公民館」などの地域拠点となります。災害時などでの対応が必要なだけでなく、毎日のように地域住民の出入りがある場合もあります。

公民館用防犯カメラの機能

公民館用防犯カメラのポイントは、プライバシーに配慮した運用が可能かどうかです。従って管理者以外に当該画像が見えることなく、パスワード等により適切な管理ができる必要があります。なお、特定の人物を監視するような運用は法令によりできません。

公園用防犯カメラ

もうひとつ、地域において重要なカメラ設置場所が公園です。公園は、不特定多数の人が集まる場所です。また小さい子どもや家族連れなど、社会的にも配慮が必要な住民が憩いの場所として利用します。

公園用防犯カメラの機能

公園用防犯カメラの機能としては、街頭用に準じた取扱いができることも大切です。防水性や夜間対応が求められる場合があります。公園の場合、園内の街灯や電柱、場合によっては公園内の時計などに設置します。
ただし公園内の木などが撮影を妨げる場合もあり、計画時および、実際の設置時の点検が重要です。

自治体の監視カメラの導入事例

次に、自治体監視カメラにおける実際の導入事例についてみてみましょう。ここでは、千葉県市川市、大阪府箕面市、群馬県高崎市の事例について解説します。

千葉県市川市の事例

市川市では、平成17年施行の「市川市防犯カメラの適正な設置および利用に関する条例」を制定しています。これは、市内全域に設置された街頭防犯カメラの管理・運用を行うことを目的としたものです。設置を開始した平成18年時点の防犯カメラ台数は138台でしたが、平成30年12月末段階では328ヵ所の防犯対象区域に、861台を設置するまでに増加しました。自治体が率先して監視カメラの導入に動くことにより、市内全域でのリスク管理の低減に役立っています。

導入による効果

市川市における年間の犯罪認知件数は、監視カメラ設置前後の10年間で3分の1になりました。防犯カメラの設置を開始した平成18年は9,835件でしたが、平成29年には3.823件へと約3分の1に減少しました。同市は「第2次 市川市防犯まちづくり基本計画」において「女性や高齢者が一人でも安心して夜道を歩けるよう、街頭防犯カメラの運用等、防犯に配慮した道路等の環境整備を推進する」としており、今後も防犯カメラを積極運用していくとしています。

大阪府箕面市の事例

箕面市では、安全・安心なまちづくりを積極的にすすめています。箕面警察署の全面協力を得て、市立小中学校の通学路に750台の防犯カメラを平成27年3月末に設置し、同年4月から運用を開始しました。

導入による効果

箕面市の犯罪認知率は、防犯カメラを活用する前の平成27年に比べて、運用を開始した平成28年には半分以下となりました。これは大阪府内平均の約半分となるレベルとなり、大幅な効果があったといえます。同市の監視カメラでは、内蔵されるSDカードに映像が7日間録画され、古いデータから自動的に消去されます。なお、データを閲覧する時は1台ごとにカメラとパソコンをLANケーブルで繋ぎ、専用ソフトでダウンロードするなどの慎重な運用を行っています。

群馬県高崎市の事例

高崎市では、通信会社との回線契約が不要な光無線通信を活用した通信網を構築しています。このため、回線使用料がかからないシステムで監視カメラを運用することが可能となりました。同市では市民体育館「高崎アリーナ」の開館にともない、約500m離れた野球場の近くに立体駐車場と公衆トイレを設置し、それぞれに監視カメラを設置しました。公衆トイレのカメラ映像を約100m離れた立体駐車場に送る必要があったことから、さまざまな通信手段を検討しました。Wi-Fiによる電波無線で接続するなどの案も検討されましたが、最終的に光無線通信による通信網を構築することになりました。

導入による効果

同市のシステムでは、光無線通信を活用した通信網を構築しています。回線使用料などの通信料が不要で、かつ安定的にハイビジョン画質の映像を通信できることから、自治体にとっての強い味方となっています。

さらに同市では、多くの施設間の通信に光無線通信を活用することで通信コストを削減し、住民サービスの充実につなげていける可能性を見出しています。

自治体が監視カメラを設置する際の注意点

自治体が監視カメラを設置する際の注意点

自治体が監視カメラを設置する場合の注意点について見ていきましょう。また実際の設置例を通して、どのような施策が役に立つかについても考えます。

撮影された画像の利用

効果の高い監視カメラですが、撮影された画像に関する取扱いにも配慮が必要となります。公共の場で撮影された映像については、個人が特定できない状態での保存が求められています。モニター監視やインターネット経由で映像を閲覧する機能は設置しないことも有効です。
大阪府箕面市では、防犯カメラにより撮影された画像は、以下の7項目以外での利用はできないとしています。

  1. 防犯・防災・交通安全に必要な場合
  2. 災害現場検証に必要な場合
  3. 行方不明者や子どもの家出などの捜索に必要な場合
  4. 不法投棄の防止に必要な場合
  5. 個人の生命・身体または財産の安全を守るために必要な場合
  6. その他市長が特に必要と認めた場合
  7. 1から6までの啓発を目的として画像を公開する場合(個人が特定できないように必要な措置を行い、または特定される個人の同意を得た場合に限定)

運用コストの低減

監視カメラの運用に関するコスト低減も、重要な課題です。群馬県高崎市では、通信会社との回線契約が不要な光無線通信を活用した通信網を構築し、回線使用料がかからないシステムで監視カメラを運用しています。同市では、道路を隔てた立体駐車場と公衆トイレの監視カメラを有線接続する案を検討しましたが、手間や費用の面から現実的ではありませんでした。またWi-Fiでは安定した通信の維持に不安があるほか、約100m程度の通信でも、回線使用料を毎月支払う必要もありました。光無線通信を活用した通信網を構築すれば、回線使用料などの通信料が不要で、かつ安定的にハイビジョン画質の映像を通信できることが判明しました。
この結果、長期的なコスト面でのメリットなどから光無線通信方式で接続することにしました。

運用のための条例制定

自治体全域に設置された街頭防犯カメラの管理・運用を行うためにも、できれば全域をカバーするような条例の制定が求められます。条例を制定しなくても監視カメラの運用自体は可能ですが、議会や市民などの協力も重要です。
千葉県市川市では、平成17年施行の「市川市防犯カメラの適正な設置および利用に関する条例」を制定しました。条例制定により、監視カメラの運用に関する市民の意識の向上が見込まれ、実際の犯罪件数の大幅な減少が達成できました。

カメラ設置に関する補助金

補助金などを出して、監視カメラの設置を促進することも有効です。大阪府箕面市では、防犯カメラを設置する自治会へ費用の9割を助成する制度を平成27年度に創設し、現在までに750台が設置済みです。平成28年度には市内のすべての公園、200カ所に300台を設置するなど、防犯カメラを安全・安心なまちづくりに積極的に活用しています。

自治体の監視カメラを整備するなら"パナソニックEWネットワークス"へご相談ください

監視カメラの設置にあたっては、以上のようにカメラ自体の性能に加えて、設置場所や運用方法など総合的な検討が必要です。またカメラ単体ではなく、システム全体としてのソリューションが大切です。
パナソニックEWネットワークス株式会社では、小規模から大規模、公共施設から民間施設まで、ニーズに応じたさまざまなソリューションを提供しています。セキュリティ対策や無線LANなどの高速通信対策、最終的に課題となるネットワーク運用管理ソフトウェアなど、トータルに対応しています。さらに、導入後のアフターサポートも充実しており、問題発生時の迅速な対応や定期的なメンテナンスなど、長期的な運用面でも安心してご利用いただけます。監視カメラの導入をご検討の際は、ぜひご相談ください。

まとめ

自治体監視カメラについて、カメラの種類と機能から始め、全国自治体における導入事例や、実際に設置する際の注意点まで説明しました。取り上げた自治体の導入事例では、犯罪認知件数などの大幅な低下など、大きな効果を得ています。
首都圏にあり、なかなか対策が難しいと思われるような自治体(市川市)でも、監視カメラ設置前後で犯罪認知件数が3分の1となるなど、大きな効果を得ています。また特に問題となりやすいカメラ導入コストについても、高崎市の事例のように光通信をうまく利用してコストの大幅削減が可能となります。
最近では、自治体の監視カメラがついていない地区を選んで凶悪な犯行に及ぶなどの犯罪リスクが高まっています。事例を参考に、自治体における具体的な導入対策をしていきましょう。

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