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10GBASE-SRとは|意味や選ぶときのポイントについて解説

更新日:2023/1/24
10GBASE-SRとは|意味や選ぶときのポイントについて解説
10GBASE-SRは、10Gigabit Ethernetの規格のひとつであり、LAN構築に適した伝送距離の短い仕様です。Ethernetの推移と用途を踏まえた上で、R、W、X、T の4つの違い、規格を選択するときのポイントを解説します。
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10 Gigabit Ethernetとは

10GBASE-SRは、10Gigabit Ethernetの通信規格のひとつです。10Gigabit Ethernetは最高で10Gbpsの伝送速度を実現します。「10G(テンジー)」「10ギガ(テンギガ)(ジュウギガ)」と呼ばれ、「10GbE」と省略されて表記されることもあります。

最初にEthernetの推移と10Gigabit Ethernetの用途について解説します。

Ethernetの推移

通信の需要拡大にしたがって、Ethernetの通信速度は上がってきました。第1世代から第4世代までのEthernetの推移は以下のようになります。

  • 第1世代:10Mbps
  • 第2世代:100MbpsによるFast Ethernet
  • 第3世代:1GbpsによるGigabit Ethernet
  • 第4世代:10Gigabit Ethernet

第1世代の10Mbps のEthernetは1980年代に登場し、2000年代以降にその10倍の100Mbpsによる第2世代、100倍のGigabit Ethernetに伝送容量を拡大してきました。Gigabit Ethernet以降では、1998年にIEEE 802.3abが定められたことにより、1000BASE-Tが登場します。その後、10Gigabit Ethernetの仕様が2006年のIEEE 802.3an、10GBASE-Tに固まりました。

現在では、10 Gigabitから25Gigabit、100Gigabitへの移行が進められ、将来的には800Gigabitの導入が模索されています。

10Gbit Ethernetの用途

10Gigabit Ethernetは以下のような用途で使われます。

  • LAN(Local Area Network)
  • MAN(Metropolitan Area Network)
  • WAN(Wide Area Network)
  • SAN(Storage Area Network) など

LANは企業内などの限られた範囲におけるネットワークであり、MANは通信事業者のバックボーンとして都市をつなぐ通信網です。WANはさらに広域を網羅します。SANは業務用の大規模ネットワークでデータなどを保存するストレージをつなぐネットワークです。

このように10Gbit Ethernetは、企業内における大容量かつ快適な通信環境を構築するだけでなく、都市や地域の通信におけるインフラ構築の用途としても使われています。

10GBASE、R、W、X、T の4つの違い

Ethernet機器の規格に使われる10GBASE-SRのハイフン以下は、機器に使われるメディアの違いと用途を示しています。違いを解説していきましょう。

10GBASE-R

10GBASE-R はLAN/MAN向けの規格であり、「R」は「range」の頭文字です。伝送速度は10.3124Gbpsですが、伝送時のデータの誤りを検出して訂正できるように、64B/66Bの符号化方式を採用しています。したがって実効速度は10Gbpsです。

データの通信距離と組み合わせて「Short Range」の頭文字「S」を加えた10GBASE-SR、「Long Range」の頭文字「L」を加えた10GBASE-LRがあります。10GBASE-SRはマルチモードの光ファイバー(MMF)を使用して60~300mの通信距離で使うことができます。10GBASE-LRは、シングルモードの光ファイバー(SMF)を使用して10kmまでの通信が可能になります。

通信距離を延長するために、最長40kmまでの通信を実現する10GBASE-ERも登場しています。ERは「Extended range」の略です。公式な規格ではありませんが、80 kmまでの距離で通信を行える10GBASE-ZRという製品もあります。

10GBASE-W

10GBASE-Wの「W」は、WANで標準化されている「WAN PHY(ワン・ファイ)」に適応していることを示します。WAN PHYは10Gigabit Ethernetで初めて登場し、WANのネットワークで最も普及しているSONET/SDHの仕様に適応させるための規格です。ただし、SONET/SDH準拠というわけではありません。

10GBASE-Wで使用する波長は10GBASE-Rと同様に3つあり、それぞれ波長の短いものから10GBASE-SW、10GBASE-LW、10GBASE-EWです。

10GBASE-X

10GBASE-Xは他と比べて低速の規格で主にLANで使われます。光ファイバのケーブルを用いる10GBASE-LX4では、信号を4重に多重化して送信します。末尾の「4」はその意味です。Gigabit Ethernet では一般的に64B/66Bの符号化が使われますが、8b/10bの符号化を使っていることが特徴です。光ファイバのマルチモードの伝送距離は300mまで、シングルモードでは10kmまで伝送が可能です。

ケーブルの素材の違いによって、銅のケーブルを使用する10GBASE-CX4もあります。伝送距離は最長で15mのため、スタック構成のスイッチングハブなどに使われています。

10GBASE-T

10GBASE-Tは、光ファイバではなく銅など金属製のケーブルを使います。「T」は「Twisted pair cable」の頭文字です。電磁波の干渉や漏えいを防ぐシールド付きケーブルと、UTP(Unshielded Twist-Pair)と呼ばれるシールドのないケーブルがあります。10GBASE-Tは通信関連の業務用機器での使用が多くを占めています。

10GBASE-T

10Gbps Ethernetの規格を選択するときのポイント

10Gbps Ethernet の規格を選択するには、主に汎用性と配線距離に注意します。

汎用性

まず汎用性です。IEEEで定められた規格のほかにメーカ独自の規格があります。たとえば10GBASE-ZRなどです。10GBASE-ZRは伝送距離を拡張できるメリットがありますが、独自の仕様のため汎用性の面では注意が必要です。また、技術の進歩や新たな標準化によって汎用的であるかどうか変化します。メタルケーブルから光ファイバのケーブルのように、通信ネットワークの需要にしたがって主として使われるケーブルも変わってきました。汎用的な技術かどうか着目する必要があります。

配線距離

次に配線距離です。既に述べましたが、規格によって最大の伝送距離が異なります。したがってLANを構築するときには、配線距離に合わせて規格を選択するとよいでしょう。規格によってコストも変わってくるため、最適化が必要です。

SFP+の選択

汎用性と配線距離に付け加えると、通信機器の送受信する電気信号と光ファイバのケーブルの光信号は、光トランシーバという装置で変換します。この光トランシーバの規格にSFPがあり、SFP+では小型化と省電力化を実現しています。Gigabit Ethernetから10 Gigabit Ethernetに移行する際も役立ちます。

以下のページでは、SFPモジュールを紹介しています。ぜひ参考にしてください。

10GBASE-SRの特徴とは

さまざまな解説をしましたが、端的に述べるとIEEE 802.3aeで標準化された10GBASE-Rのうち、最も通信可能距離が短い仕様が10GBASE-SRです。光ファイバのケーブルによって機器をLANでつなぐ場合に適しています。10GBASE-SRを選択する際の目安にするとよいでしょう。

関連情報はこちら

まとめ:最適な仕様と規格を選ぶ

IoTの登場など、あらゆる機器がネットワークにつながれる時代になりました。さまざまな規格と仕様によって標準化され、メーカ独自の規格や仕様も登場しています。10GBASE-SRを選択する際には汎用性や配線距離、SFP+などについて確認することをおすすめします。

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