パナソニックの社史 |
ここから本文です。 組織 英知を結集して毎日新聞社、松下電器産業(株)の両主催者は、自社の総力を傾注するとともに、現代一流の学者や専門家の英知を結集して、それぞれの得意とする分野で十分な討議を重ね、現代文化を5,000年後の人類に残すという目標に向かって挑戦した。 本体(容器)の開発、収納品の保存技術の開発、そして埋設技術の開発などをテーマとして催した技術委員会は4回、膨大な現代文化の中から収納品を選定するために開催した選定委員会は3回を数えている。そして分科会をはじめ技術委員や選定委員が、それぞれの専門分野で専門家を集めて開いた小委員会は、かなりの数に及んでいる。 また、事業推進の実施部門として活動した実行委員会や開発本部関係の会合は小委員会以上に回を重ねた。 一方タイム・カプセルEXPO'70の組織外でも、それぞれの分野で重要な役割を果たした多くの協力先があった。日本や外国の政府機関をはじめ、各種の団体、企業等である。個人としても、さまざまな分野の専門家が、協力を惜しまなかった。 ちなみに、知名人アンケートを実施した際、ベルギーのピエール神父は自著「平和と建設」を1冊収納してもらいたいと、英・仏語による長文の手紙を同封してきた。また、フランスのトゥールーズ大学のエスカンド教授は若き日の情熱を傾けて書きあげた水力学の論文を、タイム・カプセルに入れてほしいと送ってきた。 その他、「これを収納記録として検討してもらえれば幸いである」と実物を添付してくる知名人も少なくなかった。いずれも、この計画に対して深い理解を示し、「成功を析る」という激励文が同封されていた。 この意味からも、タイム・カプセルEXPO'70は、人類の永遠の繁栄を念願する現代人が、ロマンチックな夢を実現するために英知を結集して作った“現代文化のカン詰め”といえる。 組織の役割タイム・カプセルEXPO'70委員会タイム・カプセルEXPO'70委員会は、この事業の最高統括機関で、主催者である毎日新聞社および松下電器産業株式会社の代表(社長)を委員長、副委員長としこの2名を含む計10名の委員、それに学識、経験ともに日本を代表する人びと、および日本万国博覧会会場の地元大阪の知事、市長などからなる9名の顧問によって構成された。その主たる役割は、
技術委員会タイム・カプセルEXPO'70の技術的諸問題については、タイム・カプセルEXPO'70委員会が委嘱した技術委員会が中心になって行った。 技術委員会は、1968年当時において、日本の科学技術分野を代表する23名の権威者によって構成された。技術委員会は、それぞれの分野の深い専門知識に基づき、広い科学的視野から、
などをタイム・カプセルEXPO'70事業の推進にあたる実行委員会および開発本部に対して行うことを主目的とした。このほか選定委員会に対しても、一部の収納品の選定方法について、技術的見地から助言し、提案することもあった。 選定委員会タイム・カプセルEXPO'70の収納品の選定に関するすべてのことは、タイム・カプセルEXPO'70委員会から委嘱された選定委員会が中心となって行った。選定委員会は、1968年当時において、日本の各分野を代表する27名の有識者からなる選定委員と2名の主催者側幹事で構成された。 選定委員は、みずからの専門領域または広い社会常識に基づいて、
にあたり、収納品最終案を作って、タイム・カプセルEXPO'70委員会に提出した。 実行委員会実行委員会は、主催両社内の本事業に関係深い部署から選ばれた人びとによって構成され、両社に事務局をおき、各組織の活動を助成するとともに、事業全般の運営推進の役割を果たした。主な活動を挙げると
開発本部タイム・カプセル開発本部は、本事業の技術面、すなわち本体の設計・製作、選定品の収納および埋設を技術委員会の指導と助言のもとに直接担当する実行機関であった。松下電器産業株式会社の社内に組織され、4部1室がおかれた。
小委員会事業の細部にわたる専門的立場からの助言を得たり、計画の実行機関として、技術委員会、選定委員会、実行委員会のもとに、必要に応じて、それぞれを補佐するいくつかの小委員会がもたれた。 委員会リスト
組織図記録写真技術委員会第4回技術委員会で松下電器開発本部員の説明を聞く技術委員 技術委員会事業の成功を期して堅く握手する毎日新聞社梅島貞社長(右)と松下電器産業株式会社松下正治社長(左) 技術委員会第1回技術委員会開催とともにカプセル事業が本格的にスタートした。 技術委員会第3回技術委員会で挨拶する茅誠司技術委員長 タイム・カプセル鋳造方案図 |
※本ページの内容は、タイム・カプセルEXPO'70記録書(1975年3月発行)を引用して掲載しています。社名や組織名など現在とは異なる場合がありますのでご了承ください。
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