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ICカードの入退室管理システムを解説!メリット・デメリット・カードの種類は?

更新日:2024/02/26
ICカードの入退室管理システムを解説!メリット・デメリット・カードの種類は?
多くの企業で導入されている入退室管理システム。今回はICカードを使用した入退室管理システムについて、目的や種類、メリット・デメリット、注意点などを解説します。入退室管理システム導入にあたっては、ICカードの管理方法やセキュリティの課題などもあるため、どのように課題を解決していけばよいかを理解しましょう。
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入退室管理の目的

入退室管理の主な目的は、特定の社員の入室を管理し、部外者の侵入を未然に防止するとともに、オフィスの入退室を記録することでセキュリティ性を高めることです。
同時に、入退室管理は単なるセキュリティや管理の観点だけでなく、実際に使用する社員にとっての使いやすさも大切です。
使いやすい入退室管理とはどのようなものか見ていきましょう。

使いやすい入退室管理の手順を整えることが重要

社員にとって使いやすい入退室管理にするには、利用の手順・方法を整えることが重要です。
利用の手順・方法とは、入退室の際にどのような方法でロックを解除し、履歴を残すかということです。
代表的な入退室管理の手順には、暗証番号方式やICカード、スマホアプリなどの方法があります。
その中でもセキュリティ性が高く、不正侵入防止対策になる点でおすすめなのがICカードです。
ICカード方式にはFelica(フェリカ)、Mifare(マイフェア)、EMカードなどさまざまなカードがあります。
FelicaはPasmoやSuicaなどの交通系ICカードにも利用されており、非常に信頼度の高いICカードです。
ICカード方式なら紛失などの人為的なミスがない限り、第三者からの不正侵入を防ぎやすく、広く利用されていることから導入しやすいです。

ICカードを利用した入退室管理とは何か

ICカードを利用した入退室管理とは、ICカード内部にチップが埋め込まれており、カードをかざすことで個人の認証を行って入退室する方法です。
ICカードを利用すれば非接触で解錠できるため、人の出入りが多い場所でもスムーズかつ安全に入退室管理ができます。
またICカードはそれぞれにIDが割り振られており、誰がどの時間にどの部屋に入退室したかも履歴が残ります。
部外者や権限のない人物の入退室を制限したい場合、ICカードは信頼性の高い方法です。

病院の関係者出入口への活用

ICカード方式の入退室管理システムは、病院で多く利用されています。
病院には患者が出入りする玄関以外にも、職員専用の出入口が設けられています。
職員専用の出入口やロッカールームに入る際、ICカードで入退室管理を行っている病院が多いです。
また病棟の一部の部屋を出入りするために、ICカードを用いるケースもあります。
病院は重要な個人情報が多い場所ですから、不正侵入対策に必須レベルの対策といえます。

入退室管理で使用可能なICカードの規格

入退室管理はICカードの規格によって、対応・非対応が分かれます。
入退室管理に使用されるICカードの規格は主に3つです。

  • Felica(フェリカ)
  • Mifare(マイフェア)
  • EMカード

Felica(フェリカ)

Felicaはソニーが開発し、かざすだけで電子マネーや乗車券、ポイントカード、クーポンとしても利用できるICカードです。
交通系ICカードや入退室のIDカード、電子申請にも活用されています。
Felicaの特徴は以下の点です。

  • 高速でデータの送受信が可能
  • 用途が幅広い
  • セキュリティ性能が高い
  • カード以外の形状にも対応

交通系ICカードのSuica、電子マネーの楽天Edy、確定申告のe-Taxでも利用可能です。
用途の広さと高速で情報のやりとりが可能なことから、導入しやすいICカードといえます。

また、Felicaは大きく分けて2種類あります。

  • Felica Standard
  • Felica Lite-S

Felica Standardはセキュリティ性と拡張性が高く、どのようなシーンでも利用しやすいタイプです。
Felica Lite-Sはコストを抑えられる反面、セキュリティ性や機能性を一部制限されます。
用途に応じて最適なタイプを選択してください。

Mifare(マイフェア)

Mifareは国際規格に標準化されたICカードで、Felicaに比べて低コストで利用できるカードです。
日本では主に社員証や成人識別ICカードとして利用されています。
Mifareの特徴は以下の点です。

  • Felicaに比べて安価
  • 最低限のセキュリティ性がある
  • 拡張性が高い

国際的にも広く利用されるICカードであり、安価で大量生産に向いています。
またFelicaほどではないものの、セキュリティ性も十分に備わっているため、入退室管理システムへの利用にも問題ありません。

次に、Mifareには以下の5種類があります。

  • Mifare Classic EV1 1K(Mifare Standard 1K)
  • Mifare Classic EV1 4K(Mifare Standard 4K)
  • Mifare UltraLight
  • Mifare DESfire
  • Mifare Plus

Mifareには5つの種類がありますが、セキュリティ性はMifare Classicが一段劣る点に注意しましょう。
Mifare Plusは高度なセキュリティを備えた新しい規格ですが、日本ではあまり流通していません。
そのため、選ぶならMifare UltraLightかMifare DESfireがおすすめです。

EMカード

EMカードはEMマリーン社が開発した周波数125kHz帯のチップを搭載したLF帯カードです。
国際規格のISO7816に準拠しており、日本のオフィスでも入退室管理システムに広く活用されています。
EMカードの特徴は以下の2点です。

  • 水と金属の影響を受けにくい
  • 以前から入退室管理システムに利用されている

現在はFelicaやMifareを使用するオフィスが増えていますが、EMカードも入退室管理が目的なら使用することがあります。
ただし、高度なセキュリティ性能を求めるなら、別のICカードを選ぶのがよいでしょう。

入退室管理で使用可能なICカードの種類

入退室管理で使用可能なICカードの種類

入退室管理システムを導入する際は、すでに持っているICカードをそのまま利用する方法もあります。
次の3種類に当てはまるカードについては、入退室管理に使用可能です。

  • 交通系ICカード
  • 社員証
  • セキュリティカード

3種類のICカードの特徴について紹介します。

交通系ICカード

交通系ICカードはSuicaやPasmoなど、電車・バスなどの公共交通機関でも利用されているカードです。
使われている規格はFelicaで、普段から公共交通機関を利用する方の多くが携帯されています。
またスマホにインストールされている場合もあり、データ連携することもできます。
利用する際は、以下の点に注意が必要です。

  • カードの磁気が弱くなると再登録が必要になる
  • 紛失のリスクがある
  • カードの規格が変更になる可能性がある
  • 他人に貸してもわからない

ICカードは他人との貸し借りが可能な点、紛失のリスクがある点から不正利用には注意を払う必要があります。

社員証

社員証がICカードになっており、オフィスの入退室や自動販売機の利用に使用するケースもあります。
この場合の社員証はMifareやFelicaを利用するのが一般的です。
交通機関の利用者が多く、Felicaを保有する社員が多い場合は、Felicaをそのまま社員証にすることも可能です。
コスト面も考慮するならMifareが優れているため、どの点を重視するかで利用するICカードを決定しましょう。

セキュリティカード

ビルにオフィスがある場合は、入館カードやセキュリティカードが作成されていることもあります。
基本的な扱いは社員証と同じであり、入退室の鍵として利用できます。
ただし、部屋の入退室に使用できるだけであり、交通系ICカードや他の用途で利用することはできません。
ビルによって管理方法も異なるため、事前に取り扱いや注意事項を確認しておくことが大切です。

ICカードを使用した入退室管理システムを活用するメリット

ICカードで入退室管理システムを導入すると、簡便さやセキュリティなどさまざまなメリットがあります。
主なメリットは次の5つです。

  • 既存のICカードを転用すると低コストで導入できる
  • 誰でも利用できる
  • 非接触で衛生面に優れている
  • 偽造されにくい
  • 働き方改革に活用できる

それぞれのメリットの詳しい内容を紹介します。

既存のICカードを転用すると低コストで導入できる

ICカードは交通機関や電子マネー、電子申請など生活のさまざまな場面でも利用されています。
そのため、社員が持つICカードをそのまま入退室管理システムに転用すれば、新しいICカードを用意するコストを抑えられます。
この方法は、特にFelicaなどの交通系ICカードの保有者が多い会社で有効です。
Felicaは1枚あたりの導入コストが高いことから、既存のカードを利用すればコストを抑えられます。
また、ICカードには個人情報と紐づいていることも多く、そのまま活用すればセキュリティ性も高いです。

誰でも利用できる

ICカードの利点は、発行すれば誰でも気軽に利用できる点にもあります。
通常の鍵とは異なり、カードリーダーにかざすだけで解錠でき、個人がそれぞれ鍵を持つことになります。
鍵としての機能以外にも、乗車券や電子マネーとしての使い道もあるため、日常生活でも利用可能です。
また暗証番号方式のように誰かに番号が覗き見られ、勝手に入室されるリスクもありません。
利用者にとって手軽に利用しやすく、入室もスムーズにできる運用のしやすさが大きなメリットです。

非接触で衛生面に優れている

ICカードはカードリーダーにかざすだけで、すぐに解錠して入退室できます。
暗証番号方式のようにパスワードを入力することがなく、非接触で衛生的です。
また、ICカードは小型で持ち運びやすい点もメリットの1つです。
社員証の裏側にICカードを入れておけば、すぐに取り出してかざすこともできます。
カードケースが汚れても、簡単に洗浄・消毒できるので衛生的です。
人の出入りが多く、感染対策にも配慮したい場合にもICカードを利用しましょう。

偽造されにくい

ICカードを使用するメリットには、偽造のされにくさもあります。
ICカードは内部にチップが埋め込まれており、チップ内に情報が暗号化された状態で保存されています。
高度な暗号化処理がされているため、簡単には偽造できない点がセキュリティ上の大きなメリットです。
物理的な鍵はマスターキーでも複製されやすいですが、ICカードならそのような心配がほとんどありません。
カードに固有のIDや権限を付与すれば、カードごとに入退室可能な部屋を設定することも可能です。

働き方改革に活用できる

ICカードをタイムカードとしても活用すれば、働き方改革の施策としても活用できます。
入退室管理システムだけでなく、勤怠管理システムともICカードを連携させれば、紙ベースよりも正確な勤怠時間の管理が可能です。
紙ベースではタイムカードを押してから、再度オフィスに戻って残業をさせる企業もあります。
一方、ICカードを利用した勤怠管理を行えば、タイムカードを押してからオフィスに入退室した履歴が残ります。
サービス残業を減らすためにも、ICカードを活用するメリットはあります。
給与計算も効率化できるため、経理部門の負担も軽減できるでしょう。

ICカードを使用した入退室管理システムを活用するデメリット

ICカードを使用するにあたっては、どのようなデメリットがあるのか知ることも大切です。
ICカードのデメリットは次の5つです。

  • ICカードを貸し借りされやすい
  • 紛失や置き忘れのリスクがある
  • 発行数が多く管理が大変になる
  • データの漏洩リスクがある
  • カードの破損・磁気が弱くなる

ICカードを貸し借りされやすい

ICカードを使用するデメリットは、カードの貸し借りが横行しやすいことです。
ICカードは別の人のものを借りていたとしても、カードをかざせば誰でも利用できてしまいます。
後になって別人が使用したことがわかり、問題になった事例もあります。
このデメリットを解決するには、入退室管理システムや勤怠管理システムと連動させるのがおすすめです。
入退室管理システムで特定の人物しか入退室管理できないようにすれば、他人が勝手にカードを使用することはできません。
また勤怠管理システムと連動させておけば、なりすましでの出勤・退勤も防止できます。
ICカードは手軽さがメリットですが、人間が貸し借りするリスクを考慮した対策を取ることも重要です。

紛失や置き忘れのリスクがある

ICカードをポケットに入れたままで外出したり、自宅に置き忘れたりする問題もあります。
ICカードをバッグやコートのポケットに入れて、そのままどこかに置き忘れてしまうケースは珍しくありません。
自宅に忘れただけならすぐ回収できますが、道端に落とした場合は拾った第三者に悪用される危険があります。
ICカードを紛失した場合の対応について、会社全体に周知しておくことが大切です。
また紛失した場合は個人に賠償してもらうなど、ペナルティを設けると社員の意識付けにもなります。
ICカードがない場合でも入退室を可能にするため、暗証番号方式と併用するのがおすすめです。

発行数が多く管理が大変になる

ICカードは基本的に社員一人ひとりに割り当てられるため、発行数が多く、管理の大変さもデメリットになります。
ICカードはオフィスで働くすべての人に割り当てられるため、正社員以外にもパート・アルバイト、外部委託した清掃業者などにも発行します。
また入れ替わりの激しいパート・アルバイトでも、新しい人が入る度にカードを発行しなければなりません。
社員の権限によって入退室の制限を設けることも考慮すれば、管理を行う担当部署の負担は大きいです。
誰にどのICカードを発行したのか、一つひとつの管理がしやすい入退室管理システムを選ぶことが重要です。

データの漏洩リスクがある

ICカードの使用にあたっては、管理上の漏洩リスクも懸念材料です。
ICカードでの入退室記録はネットワークを通じてサーバに保存され、管理用PCから管理・閲覧できるようになっています。
しかし何らかの理由でPCが破損したり、ネットワークの不正アクセスが起こったりすると、社員の個人情報が漏洩する危険もあります。
情報漏洩のリスクを軽減するためには、定期的なOSとソフトウェアのアップデート、クラウドサーバーへのデータバックアップが必須です。
他にも、最新のウイルス対策ソフトをインストールし、リスクを減らす対策を行いましょう。

カードの破損・磁気が弱くなる

ICカードのデメリットには、継続使用によるカードの破損や磁気の弱化もあります。
ICカードの材質はプラスチック製が主流で、ちょっとした衝撃で破損、湾曲することが多いです。
また内部のICチップは電気や磁気に弱く、医療機関のMRIのように強い磁気を浴びる場所では破損の危険性が高いです。
継続使用によって内部の磁気が弱くなり、カードリーダーで読み込みにくくなる点もデメリットといえます。
丁寧に扱っていても破損することはありますから、社員全員にICカードの正しい取り扱いを周知することが大切です。

ICカードの2つの登録方法

オフィスでICカードを使用する際、登録方法には2種類あります。

  • 一括登録
  • 個人登録

2つの登録方法の詳細について紹介します。

一括登録

一括登録は、CSVデータなどを用いて社員の情報を一括してアップロード、登録する方法です。
手順は次の通りです。

  1. カードの登録する情報の用意
  2. カード使用者とIDの決定
  3. カード情報をまとめる
  4. 情報のインポート

一括登録はICカードを導入する際、在籍している社員の情報を登録する際に行います。

個人登録

個人登録は、社員を1人ずつ手作業で登録していく方法です。
手順としては次の通りです。

  1. 管理用PCに社員情報を登録
  2. 管理用PCとカード登録端末を接続
  3. ICカードの社員情報を登録機で読み込ませて保存

社員の人数がそれほど多くない中小企業や中途採用の社員がいる場合、個人登録で行うことがあります。

ICカードを使用した入退室管理システムの運用の注意点

ICカードで入退室管理システムを利用する場合、運用上の注意点も理解する必要があります。

  • ICカードの取り扱いを周知する
  • 管理システムの情報の取り扱いに注意する

2つの注意点について、詳しく紹介します。

ICカードの取り扱いを周知する

社員全員にICカードを配布する場合は、カードの取り扱いについて周知する必要があります。
ICカードを利用する際の注意点、管理方法、破損のリスク要因などを理解してもらうことが大切です。
破損のリスク要因としては、次のものが考えられます。

  • 電子レンジの磁気やマイクロ波を当てる
  • 重い物の下敷きにする
  • 高温多湿の部屋に放置する
  • 強い電流を加える

この他にも紛失のリスクを避けるため、オフィス外には持ち出さないこと、紛失時の届け出方法についても共有することが重要です。
また破損や紛失を繰り返す場合には、何らかのペナルティを設けることも安定した運用をしていく上では必要になるでしょう。

管理システムの情報の取り扱いに注意する

日本のICカードは、FelicaとMifareが主流になっています。
社員の持つFelicaをそのまま入退室管理システムに転用する場合、導入予定のシステムが規格に合っているか確認しましょう。

またすでに社員証にICカードを使用している場合は、入退室管理システムが対応できるカードになっているかどうかの確認も必須です。
ICカードの種類によっては、セキュリティ面の脆弱性が指摘されているものもあります。
重要情報を取り扱う場合には、セキュリティ性能の優れたICカードと管理システムを選ぶ必要があります。
さらに、入退室管理システムの規格だけでなく、サービスを提供するメーカーのサポート、データのバックアップ体制も把握してください。
大規模災害が発生した際、データのバックアップが1箇所だけだと、災害時にデータをすべて失う危険性があります。
あらゆる状況を想定して、管理システムの取り扱いを決定することが重要です。

ICカード以外の入退室管理の方法とは

オフィスの入退室管理には、ICカード以外にもさまざまな方法があります。

  • 暗証番号(テンキー方式)
  • スマートフォン認証
  • 生体認証・バイオメトリクス認証

ICカードとスマホを連動させたり、指紋・光彩・静脈で認証したりするなど、方法の選択は自由です。
会社に要求されるセキュリティレベルやコスト面を考慮しながら、最適な入退室管理システムを導入しましょう。

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企業の入退室管理システムなら、豊富な実績を持つパナソニックEWネットワークスにおまかせください。
入退室管理システムは社員の入退室だけでなく、セキュリティ、マーケティング、作業の効率化などさまざまな活用方法があります。
企業のニーズに合わせて最適なシステムを導入することで、生産性の向上にもつながります。
まずは社内でどのようなニーズがあるのか、入退室管理システムの導入で実現したいことを考えてみましょう。
パナソニックEWネットワークスが、御社の業務に合わせた入退室管理システムを提案していきます。

まとめ:ICカードなら他のサービスとの連携も可能

ICカードを使用した入退室管理システムについて解説しました。
入退室管理システムは多くの企業で取り入れられており、ICカードや暗証番号、生体認証までさまざまな方法が利用されています。
その中でもICカードは比較的低コストで、運用・管理しやすいことから需要の高いシステムです。
またICカードはスマホアプリやIPカメラ、勤怠管理システムなどとも連携しやすく、拡張性が高い点でも優れています。
コストとセキュリティ、ユーザビリティのバランスを考慮するなら、ICカードでの入退室管理システム導入がおすすめです。