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プライベートLTEとは何か?

プライベートLTEとは、携帯電話/スマートフォンの通信回線として使われているモバイル通信方式「LTE」を、企業などが自前で基地局を設置し、自社専用のネットワークとして利用することを言います。

LTEは、一般的には「4G」と呼ばれています。キャリアのテレビCMなどでは「5G」が登場していますが、今、最も普及しているモバイル通信方式は「4G」です。その4Gを使って、自前の専用ネットワークを構築すること、あるいは構築するための技術やシステムが「プライベートLTE」です。

「ローカル5G」との違いとは?

プライベートLTEは、一般的には「4G」と呼ばれるモバイル通信方式を使って自営の専用ネットワークを構築することをいいます。一方、今新たに登場している「5G」にも同様のものがあります。「ローカル5G」です。どちらも企業や自治体などが独自ネットワークを構築し、モバイル通信を利用することをいいますが、モバイル通信技術として「4G」を使うものは「プライベートLTE」、5Gを使うものは「ローカル5G」と呼ばれます。プライベートLTEとローカル5Gの違いは、文字どおり、使用するモバイル通信方式の違いです。「4G」は今、最も広く使われている技術です。LTE(Long Term Evolution)は3Gを進化させた技術で、当初は「3.9G」と呼ばれていましたが、今では「4G」と呼ばれています。「4G」の次の世代のモバイル通信技術が「5G」です。「5G」は「4G」をはるかに上回る高速・大容量通信を実現します。

なお「5G」には「ローカル5G」のほかに「プライベート5G」と呼ばれるものもあります。自営ではなく、キャリアのネットワークを使って専用ネットワークを構築するもので、キャリアがサービスとして提供しています。

プライベートLTEの2種類の方式

プライベートLTEには、使用する周波数の違いによって2種類の方式があります。免許が必要な2.5GHz帯を使用する「自営等BWA」と、免許が不要な1.9GHz帯を使用する「sXGP」です。それぞれ見ていきましょう。

広範囲をカバーできる「自営等BWA」

「自営等BWA」は、免許が必要な2.5GHz帯を使用し、1台の基地局で半径約1〜2kmをカバーすることができます。BWAは、Broadband Wireless Accessの頭文字で、日本語では「広帯域移動無線アクセス」となります。もともとはデジタルディバイドの解消や地域の公共の福祉の増進などを目的に「地域BWA」の制度が定められ、さらに地域BWAが利用されていないエリアの「自己の建物内」または「自己の土地内」を対象に「自営等BWA」が導入されました。

通信エリアが広く、広い敷地を持つ工場や研究所、大学のキャンパスなどに、安全な独自の無線ネットワークを構築できるメリットがありますが、免許が必要なことは導入のハードルといえます。

手軽に導入できる「sXGP」が登場

「sXGP」は2017年、病院などで使われてきた「自営PHS」に代わる後継サービスとして登場しました。使用する周波数は1.9GHz帯、免許は不要で、手軽に導入できるというメリットがあります。利用は屋内が中心になりますが、sXGPなら自営PHSとは違い、音声通信はもちろん、動画やビデオも手軽に利用でき、スマートフォンやタブレットを端末として利用できます。

無線LANでも同じようなネットワークを構築することは可能ですが、1.9GHzの周波数帯は無線LANと比べると外部の影響を受けにくいうえ、クローズドな通信網となるため、安定した、高いセキュリティの通信を実現します。

プライベートLTEのメリット

プライベートLTEにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット①高品質な専用ネットワーク

プライベートLTEは、別の言い方をすると、自身がキャリアとなり、専用ネットワークを構築することです。今はWi-Fiの利用も進んでいますが、Wi-Fiは屋外での使用が難しかったり、通信が不安定になることがあったり、外部からの攻撃といったセキュリティ面の不安もあります。プライベートLTEなら、キャリアがモバイル通信サービスに使っている技術を使い、高品質な専用ネットワークを構築できます。

メリット②外部からの干渉を受けにくい

キャリアが提供している4Gサービスを使って、業務に使用するネットワークを構築することも可能ですが、キャリアのサービスはアクセス集中時などに不安定になったり、つながりにくくなることがあります。また不特定多数が利用するサービスであり、セキュリティ面でも注意が必要です。プライベートLTEは、キャリアのサービスから切り離された独自のネットワークなので、そうした外部からの干渉を受ける可能性は小さくなります。

メリット③専用SIMでセキュリティを確保

プライベートLTEでは、アクセス可能な端末は専用SIMを備えた端末のみです。SIMによる認証で、高いセキュリティを実現します。またWi-Fiでは、移動してアクセスポイントが変わると接続は一旦、切れてしまいますが、プライベートLTEは携帯電話/スマートフォンと同じ通信方式ですので、基地局をまたいで移動しても接続が切れることはありません。

プライベートLTEを導入する上での課題

Wi-Fiにはないメリットを持つプライベートLTE。導入の上での課題や問題点を見ていきましょう。

課題①技術者不足

LTE、すなわち4Gは主にはキャリア(通信事業者)が使用する技術です。プライベートLTEは、その技術の転用・応用と言えますが、技術者がまだ少ないのが現状です。

課題②基地局等のコスト/設置場所

プライベートLTEは、自前で基地局を設置します。特に自営等BWAの基地局は、1台で広範囲をカバーできるため、コストも高額になります。また基地局を設置するための場所や設備も必要です。

課題③免許が必要

自営等BWAは、免許申請が必要になります。また運用のために、資格を持った人員も必要になります。

プライベートLTEの今後の普及率は?

プライベートLTEには、メリット/デメリットがあります。今後、どのように普及していくかは、機器メーカやサービスベンダがどのような機器やサービスを開発・提供していくか次第ですが、一般的に新しい技術は時間とともにコストが下がり、新しいサービスが登場して、使い勝手は向上していきます。

プライゲートLTEも、従来は自前で基地局を設置することが必要でしたが、基地局の機能をサービスとして提供する、いわゆるSaaS(Software as a Service)型サービス提供の動きも見られます。ITシステムのクラウド化と同じような流れです。

クラウド化・SaaS化で、より手軽に、簡単に、プライベートLTEが導入できるようになり、また技術面でもLTE(4G)が5Gに進化して、より高速・大容量なネットワークが構築できるようになれば、その用途も自ずと広がっていくでしょう。

プライベートLTEがおすすめな環境

プライベートLTEがおすすめな環境は、自営等BWAでは、大規模な工場、農地や牧場、大学などです。使用例としては、広い工場内での内線システムとなるほか、「広い敷地を持つ工場のさまざまな設備にセンサを設置し、稼働状況をリアルタイムで把握する」「農場にセンサを設置して、温度や土壌の水分量を把握し、栽培管理を行う」などが想定されます。

sXGPは、自営PHSの後継サービスといわれるように、医療機関で音声通話はもちろん、電子カルテを閲覧したり、各種の医療機器のIoT化を促進することが期待されています。

どれくらいの敷地に何台必要?

プライベートLTEを導入する際、基地局はどれくらいの数が必要になるでしょうか。当然ながら、必要な台数はカバーするエリアの広さや条件によって変わってきます。自営等BWAでは、小型の基地局であれば半径1km程度まで、大型の基地局なら10km程度までカバーできます。

一方、sXGPは1台の基地局で数十mから数百m程度をカバーできます。医療機関や工場などでも、レイアウトに応じて基地局を設置することで、高品質な環境を柔軟に構築できます。

プライベートLTEの活用例

プライベートLTEの活用例

プライベートLTEはどのような場所で使われているのでしょうか。活用例を見ていきましょう。

活用例①病院

病院では従来、病院内の連絡用にPHSが使われてきました。携帯電話は医療機器への影響が懸念されたため、電波出力の小さなPHSが活躍していたのです。しかしPHSは登場から時間も経過し、一般向けのサービス提供も終了しています。プライベートLTEのうち、免許が不要なsXGPは、この「院内PHS」の後継システムとして期待されています。

PHSの時は、端末はほぼ音声端末に限られていましたが、プライベートLTEなら端末にはスマートフォンやタブレットも使用可能。音声通話だけでなく、電子カルテの閲覧や記入など、利用方法も広がります。

活用例②製造業

「インダストリー4.0」「第4次産業革命」というようなキーワードが登場しているように、製造業では、製造プロセスのデジタル化による省力化・効率化、さらには新しいビジネスモデルの構築が急務となっています。具体的にはセンサ類のIoT化によるデータ活用、AGV(無人搬送車)の活用などが進められています。プライベートLTEは、大規模な工場をカバーする、高品質な無線ネットワークを構築できます。従来、有線では配線が難しかった場所もネットワーク化が可能で、センサ類や機器類のレイアウトの自由度を高めることができます。

またプライベートLTEは、自前のクローズドネットワークなので、開発途中の製品情報など、機密情報も安心してやり取りすることができます。

活用例③農業・水産業

農業や水産業など一次産業のデジタル化・DX(デジタルトランスフォーメーション)は、大きなインパクトをもたらすと期待されています。例えば、センサを使って土壌や生育状況をチェックし、水やりや肥料の投入などを自動化した「スマート農業」は、これまでの農業の概念を大きく変えます。屋内で作物を垂直に並べて育てる「垂直農法」も登場しています。プライベートLTEは、そうした農業・水産業のスマート化に欠かせないインフラとなります。

活用例④教育機関

教育現場のIT化は急速に進んでいます。児童・生徒一人ひとりがタブレットを持ち、授業の理解度・進捗度に合わせて、カスタマイズされた教材が提供されるなど、従来の教科書とノートを使った授業の姿が変わっています。その一方で、児童・生徒一人ひとりの学習状況や成績はきわめてデリケートな個人情報であり、厳重な取り扱いが必要です。高いセキュリティを実現するプライベートLTEは、教育機関での活用も期待されています。

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