3月の和風月名
弥生(やよい)
語源には諸説ありますが、「木草(きくさ)弥(い)や生ひ茂る月(おいしげるつき)」という言葉が短くなり「弥生」になったという説が有力のようです。「弥」は「ますます、いよいよ」、「生」は「草木の芽吹き」を意味しています。つまり草花が芽吹き、春を象徴する桜も咲き始める頃という意味です。
3月の花
桃
ピンク色の可憐で華やかな花を咲かせる桃の木。原産地・中国では、古来より厄払いや魔除け、長寿をもたらすと言われており、現在でも祝い事の際には桃の形をした饅頭を食べる風習があります。日本でも「古事記」にイザナギが黄泉の国から逃げる際に魔物に桃を投げつけ追い払う様子が書かれていることから、魔よけの力があると考えられていました。諸説ありますが、桃太郎が桃から生まれる由来となったのも、この古事記のお話が元となっているそう。
ジンチョウゲ
名前の由来は、香木(心地よい芳香をもつ木材)の一種・沈香(じんこう)のような香りと、丁子(ちょうじ)に似た花をつけることから名付けられました。ジンチョウゲの学名の「Daphneodora」の「Daphne」はギリシャ神話の女神ダフネにちなんでいるようです。また、花言葉もこのギリシャ神話が由来になっており、「実らぬ恋」「歓楽」「青春の喜び」「楽しみ」「甘美な思い出」などがあります。
3月の食べ物
ちらし寿司
ちらし寿司の起源は諸説あるなかで特に有力なのが、魚の中に米を入れて発酵させる「なれ寿司」だそう。それが江戸時代に入ると「ばら寿司」に変わり、現在のちらし寿司に変化していったようです。お正月のおせち料理と同様に、ちらし寿司に使われる具材にも意味があります。エビは「腰が曲がるまで長生きできるように」、レンコンは「先まで見通せるように」、豆は「健康にまめに働き、仕事がうまくいくように」との願いが込められています。
ヨモギ
この時期、柔らかい新芽を出すヨモギは、「飲んで良し、付けて良し、浸かって良し、嗅いで良し、燃やして良し」の五拍子揃った、「ハーブの女王」と言われています。漢方では、艾葉(がいよう)といい、止血薬として用いられます。葉を湯船に入れて体をあたためるなど、冷えにも良いとされています。また、デトックス効果による利尿作用があり、ダイエットやむくみに効果的。老化防止やシワ・シミ対策にも期待ができます。ぜひお料理やお菓子、お茶に活用してみましょう。
3月の行事
ひなまつり
3月3日は桃の節句・ひなまつり。「上巳(じょうし)の節句」とも言い、中国から伝来したと言われています。古代中国では紙などで作った「ひとがた」で体を撫でて川に流し、無病息災を願うお祓(はら)いの行事があります。それが日本に伝来し、平安時代に貴族の子ども達の間で流行った「ひいな遊び」という人形遊びと結びつき、現在のようなひなまつりになったと言われています(諸説あり)。ちなみにひな壇に飾られる菱餅の色にはそれぞれ意味があり、赤は「魔除け」・白は「子孫繁栄」・緑は「健康」とされています。
春分の日
春分の日は、自然をたたえ、生物をいつくしむ日として、国が定めた祝日です。戦前は、宮中祭祀の「春季皇霊祭(しゅんきこうりょうさい)」が行われることから同名の祭日でしたが、戦後の祝日法で「春分の日」となりました。また、春分の日は「お彼岸の中日」でもあります。ご先祖様を供養するためお墓参りをし、草木や花など、暖かくなって活発になりはじめた生き物の気配を感じながら春の訪れを楽しむのもいいかもしれません。
3月7日
消防記念日
1948年(昭和23年)3月7日に、消防責任を市町村が負うことなどを規定した「消防組織法」が施行されました。そして同法が施行されて2周年を迎えた1950年(昭和25年)に、消防関係職員及び住民の方々に「自らの地域を自らの手で火災その他の災害から守る」ということへの理解と認識を深めていただくため「消防記念日」が制定されました。この日は、春の火災予防運動(3月1日~3月7日)の最終日でもあり、消防訓練や消防防災功労者に対する表彰、消防のPR活動など、様々な消防関係行事が行われています。
3月25日
電気記念日
1878年(明治11年)3月25日に、東京虎ノ門の工部大学校(現東京大学工学部)で中央電信局の開業祝賀会が開催されました。この日、会場に電気灯を使用するように工部卿・伊藤博文から命じられていた工部大学校エアトン教授が、講堂の天井に設置したアーク灯を点灯させ、これが日本で初めて公の場で電灯の点灯に成功した日となりました。これを記念して1927年(昭和2年)に日本電気協会が3月25日を「電気記念日」と定め、偉業をたたえるとともに、今後の新たな発展を誓う日としています。
出典:暮らしの歳時記
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