くるまの保険のコラム

くるまの保険のコラム 2023年11月号

 交通場面には「見える危険」だけでなく、さまざまな「見えない危険」があります。「見えない危険」は発見が遅れやすいため事故につながる可能性が大きくなります。そこで今回は、特に単路と交差点における主な「見えない危険」についてまとめてみました。

単路における「見えない危険」

駐停車車両が作る「見えない危険」

 駐停車車両は路上に死角を作り、歩行者や自転車の急な飛び出しなどを招く要因となりますが、特に注意したいのは、次の2つのケースです。
①信号機のない横断歩道の手前に駐停車車両があるとき  信号機のない横断歩道の手前に駐停車車両があると、横断歩道を渡ろうとしている歩行者や自転車の有無が確認できないことがあります。そのため横断歩道の前後5メートル以内は駐停車が禁止されていますが、現実には駐停車する車も少なくありません。横断歩道手前の駐停車車両の側方を通過してその前方へ出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止し、横断歩行者等の有無を確認しなければなりません。
 また、信号機のない横断歩道は、病院や学校、役場などの施設がある場所に設けられていることが多く、こうした場所にはバス停も多く見られます。バス停の先に横断歩道がある場所で、停車中のバスを追い越しや追い抜いていくときは横断歩道の手前で停止できるよう徐行しましょう。

①信号機のない横断歩道の手前に駐停車車両があるとき

②比較的狭い道路で対向車線側に駐停車車両があるとき  片側1車線の歩車道の区別がない道路やセンターラインがない道路で、対向車線側にトラックなどの車体の大きい車両が駐停車しているときは、その後方が死角となって見えないことがあります。こうしたときに、駐停車車両を追い越そうとして、その後方から自転車やバイクが自車線側にはみ出してくることがありますから、このような場合も、駐停車車両の側方を通過するまでは徐行して進行しましょう。

②比較的狭い道路で対向車線側に駐停車車両があるとき

駐車場の塀などが作る「見えない危険」

 道路沿いには多くの駐車場があります。見通しの良い駐車場もあれば塀や植込みなどにより見通しの悪い駐車場もあります。特に注意したいのは、コンビニエンスストアなどの不特定多数の車や自転車が利用する見通しの悪い駐車場です。こうした場所は、見通しの悪い交差点と同じだと考えて、速度を落とし、駐車場から出てくる車や自転車がいないかどうかをしっかり確認しましょう。

駐車場の塀などが作る「見えない危険」

交差点における「見えない危険」

交差点接近時に先行車が作る「見えない危険」

 交差点接近時にバスやトラックなどの大型車に追従して走行すると、前方の見通しが悪くなり、交差点の信号が確認できないことがあります。その状態で走行すると、赤信号で交差点に進入してしまうおそれがあります。できるだけ大型車に追従して走行するのは避けるのが望ましいのですが、やむを得ず大型車に追従して走行する場合は、前方の信号が確認できるくらいの車間距離をとり、前方の視界の確保するようにしましょう。

交差点における「見えない危険」

右折時に対向車が作る「見えない危険」

対向右折車が作る「見えない危険」  右折時に対向右折車がいると、その後方が死角となり、対向車線の状況が確認しにくい状況となります。特に対向右折車が大型車の場合には死角が大きくなり、死角部分から直進してくる二輪車などを見落とす危険が高まります。対向車線の状況が確認しにくいときは、一気に右折するのではなく、徐々に進行して対向車線の状況が見えるところで一時停止して、対向車の有無を確認しましょう。
対向直進車が作る「見えない危険」  対向直進車が大型車の場合は、その後方を走行している後続車の有無が確認できないことがあります。そのため対向直進車の通過直後にいきなり右折を開始すると、後続車と衝突する危険があります。対向直進車の通過後は一呼吸置いて、必ず後続車の有無を確認するようにしましょう。

右折時に対向車が作る「見えない危険」

左折時にドアミラーの死角が作る「見えない危険」

 右図に示してあるように、左折時に車道の左端を進行してくる自転車Aはドアミラーで確認できますが、歩道の自転車Bはドアミラーの死角に入って確認できないことがあります。また、交差道路の左側から走行してくる自転車Cも建物等の死角に入って確認できないことがあります。このような状態で交差点を左折しようとすると、横断歩道を走行してきた自転車と衝突する危険が高まります。したがって、左折するときは徐行するとともに、同一方向の歩道や交差道路の左側の歩道から交差点へ進入しようとする自転車やキックボードがいないかどうかを必ず確認しましょう。

左折時にドアミラーの死角が作る「見えない危険」

※イラストの二次利用はご遠慮願います

〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ

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