くるまの保険のコラム
警察庁の発表によると、令和4年の交通事故による死者数は2,610人で、警察庁が保有する昭和23年以降の統計で、6年連続で最少を更新しました。今回は、令和4年の交通死亡事故の主な特徴をまとめてみました。(資料は、警察庁「令和4年中の交通死亡事故の発生 状況及び道路交通法違反取締り状況等について」による)
交通事故死者の6割近くは65歳以上の高齢者
年齢層別に死者数をみると、65歳以上の高齢者が1,471人で(図2)、全死者数に占める割合は56.4%と6割近くを占めています。
65歳以上高齢者の死者数を状態別にみると、歩行中が706人(48.0%)、自動車乗車中が458人(31.1%)、自転車乗用中が220人(15.0%)、二輪車乗車中が78人(5.3%)で(図3)、歩行中と自転車乗用中を合わせると3分の2近くを占めています。
歩行中や自転車乗用中の高齢者を見かけたときは、スピードを落として、その動向に十分注意しましょう。
「人対車両」の「横断中」が最も多い
死亡事故を事故類型別にみると、車両相互が899件(35.3%)で最も多く、次いで人対車両が898件(35.2%)、車両単独が714件(28.0%)となっています(図4)。
事故類型の内容をみると、最も多いのは人対車両の「横断中」610件(23.9%)で全体の4分の1近くを占め、次いで車両単独の「工作物衝突」403件(15.8%)、車両相互の「出会い頭衝突」の281件(11.0%)となっています。
横断歩道に接近した時は、横断歩行者の有無を確認し、横断中や横断しそうな歩行者がいる時は必ず手前で一時停止する、横断歩行者がいるかいないか明らかでない時は手前で停止できるよう速度を落として進行する、という歩行者保護の基本を守った運転を実践しましょう。
道路形状別では、交差点内とその付近が死亡事故のほぼ半数を占める
死亡事故件数を道路形状別にみると、交差点内が909件(35.6%)、交差点付近が292件(11.5%)を占め、交差点内と交差点付近を合わせると47.1%と全体のほぼ半数を占めています。交差点内について信号機の有無別でみると、信号機無が信号機有より多くなっています(図5)。
信号機が無い場合、小さな交差点に気が付かないことがありますので、路面の「」や「」の標示にしっかり目を向け、見落とさないようにしましょう。
法令違反別では、「歩行者妨害等」、「運転操作不適」が前年より増加している
原付以上の運転者が第1当事者となった死亡事故を法令違反別にみると、「漫然運転」が326件(14.4%)で最も多く、次いで「運転操作不適」308件(13.6%)、「安全不確認」246件(10.9%)、「歩行者妨害」243件(10.7%)となっています(図6)。
前年に比べ特に増加しているのは、「歩行者妨害」(27件増)と「運転操作不適」(26件増)です。歩行者保護に関しては、前述した通りです。「運転操作不適」とは、急ハンドルや急ブレーキ、ペダルの踏み間違いなど不適切な運転操作を言いますが、特にペダルの踏み間違いはあわてているときや新車など慣れない車に乗ったときに起こりやすいと言われていますので注意しましょう。
昼夜別※の死者数では、夜間の歩行中の死者数が4分の1近くを占める
死者数を昼夜別にみると、昼間が1,374人(52.6%)、夜間は1,236人(47.4%)で、昼間ほうが多くなっています。
昼夜別・状態別でみると、昼間は自動車乗車中が543人(20.8%)で最も多いのに対して、夜間は歩行中が612人(23.4%)で最も多く、全死者数の4分の1近くを占めています(図7)。
薄暮時は早目にヘッドライトを点灯するとともに、対向車と行き違うときや先行車の直後、交通量の多い市街地の道路を走行するときを除いて、ヘッドライトを上向きにするなどして、できるだけ早く歩行者を発見するよう努めましょう。
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〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ