くるまの保険のコラム
2021年
1月号
運転に必要な情報の多くは目から得られるといわれています。また、運転時には遠心力などの様々な 自然の力が働きますが、これらの力は運転テクニックだけではカバーできません。そこで今回は、「交 通の方法に関する教則」に基づいて、安全運転に必要な知識とされる「視覚の特性」と「自動車に働く 自然の力」をまとめてみました。
視覚の特性
一点注視やぼんやり運転は見落としが増える
一点だけを注視すると、それ以外の運転に必要な情報 を見落としやすくなります。また、「心ここに在らざれ ば視えども見えず」という言葉があるように、ぼんやり 見ているだけでは、目でみていても正しくものを見るこ とができないことがあります。運転中は、絶えず前方に 注意するとともに、ルームミラーやドアミラーなどによ って、周囲の状況にまんべんなく目を配りましょう。
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高速走行時は視力が低下する
高速になると視力が低下し、特に近くのものが見えに くくなります。運転時のように、動きながらものを見る ときや動いているものを見るときの視力を「動体視力」 といいますが、動体視力は静止視力(止まった状態で止 まったものを見るときの視力)よりも低下します。スピ ードを抑えた運転を心がけるとともに、高速走行時は近 くの状況にもしっかり目を配りましょう。
疲労の影響は目に最も強く現れる
運転時に疲労の影響が最も強く現れるのは、目だとい
われています。目が疲れると、見落としや見間違いが増
える危険性があります。疲労時の運転は控えるとともに、
長距離走行時にはこまめに休憩をとって疲れを防止しま
しょう。
明るさが急に変わると視力が低下する
昼間に暗いトンネルに入ったときなどのように、明る さが急に変わると、視力は一時急激に低下します。昼間 にトンネルに入るときや、トンネルから出るときなどは、 十分注意しましょう。
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自動車に働く自然の力
タイヤと路面の
摩擦抵抗によって停止距離は変わる
車が停止するのは、ブレーキを踏んでタイヤの回転を止め
ることで、タイヤと路面の間に摩擦抵抗が生じるからです。
この摩擦抵抗が小さいほど、ブレーキを踏んでから車が停止
するまでの距離(これを「制動距離」といいます。)は長く
なります。濡れた路面や積雪や凍結した路面は摩擦抵抗が小
さくなりますから、乾燥路面に比べて停止距離が長くなりま
す。そのような路面を走行するときは、スピードを落とし、
十分な車間距離をとるとともに、前方の交差点が赤信号であ
る場合など停止することがわかっているときは、早めの減速
を心がけましょう。
また、タイヤの溝がすり減っていると摩擦抵抗が小さくな
りますから、スリップサインの出たタイヤはただちに交換し
ましょう。
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カーブでは遠心力が働く
カーブを曲がろうとするときには、自動車の重心に遠心力 が働き、車はカーブの外側に滑り出そうとします。遠心力は、 カーブの半径が小さいほど、スピードが速いほど(スピード の2乗に比例)大きく作用しますから、カーブを曲がるとき にスピードを出し過ぎていると、曲がり切れずにガードレー ルに衝突したり、路外に逸脱するといった事故を招いてしま います。安全にカーブを曲がるためには、カーブに入る前の 直線部分で早目にブレーキを踏んで、十分速度を落としてお く必要がありますが、急な減速は追突される危険があります から、徐々に減速していくようにしましょう。
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スピードが速いほど車が重いほど
衝撃力は大きくなる
車が衝突したときの衝撃力は、スピードと車の重量に応じ
て大きくなり、固い物にぶつかるときのように、衝撃の作用
が短時間に行われるほどその力は大きくなります。たとえば、
時速60キロメートルでコンクリートの壁に激突した場合は、
約14メートルの高さから落ちた場合と同じ程度の衝撃力を受
けますから、高速走行するときには、特に注意しましよう。
また、一人で運転しているときより、同乗者がいるときの
ほうが車の重量が重くなり、そのぶん車が衝突したときの衝
撃力も大きくなりますから、同乗者がいるときはより一層ス
ピードを抑えた運転を心がけましょう。
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〔制作〕MS&ADインターリスク総研株式会社 リクマネジメント第二部 交通リスク第一グループ