くるまの保険のコラム
事故事例から学ぶ、「自動車保険」のキホン
自動車を保有する場合には、もしもに備えて保険に加入する必要があります。自動車保険には、加入義務のある「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」と任意加入の「任意自動車保険」があることをご存知でしょうか。知っているようで知らない自動車保険について「キホン」をお伝えします。カーライフを楽しむためにも、ぜひ参考にしてください。 ★この記事は約5分で読めます。
「自賠責保険」と「任意自動車保険」
バイクを含むすべての自動車のドライバーは、「自賠責保険」に加入することが義務付けられています。違反した場合には罰則(50万円以下の罰金または1年以下の懲役)があり、取り扱いのあるどの保険会社で加入しても保険料、保険金支払いの基準や限度額は一律で決まっています。自賠責保険が義務化されているのは、自動車事故における被害者を救済するための補償を確保するためです。
一方、任意加入の「任意自動車保険」は、自賠責保険の上乗せとして備えておきたい保険です。
自賠責保険の支払額は、被害者1名につき傷害(治療費、休業損害、慰謝料等)120万円、後遺障害4,000万円、死亡3,000万円までと限度があります。相手を死亡させてしまった場合には、治療費や葬儀費用等のほか、その方が将来にわたって受け取れるはずだった収入、遺族に対する慰謝料等も含めると3,000万円以上、場合により億単位になることも想定されます。
加えて、あくまでも自賠責保険は「他人」を負傷または死亡させた場合の補償であるため、対物(相手のモノに損害を与えてしまった場合)や事故を起こしたドライバー本人が怪我をした場合、自分の車に対する補償を考慮するならば、任意自動車保険の加入は必須ともいえます。
事故事例「加入していてよかった任意自動車保険」
【事例1】注意不足で相手にケガを負わせてしまった
信号のない交差点を直進する際に、自転車と衝突し、骨折させてしまったケースです。
被害者から入院6か月の治療費、休業補償および慰謝料として400万円を請求されましたが、加入していた任意保険の保険会社の示談交渉により被害者にも一部過失(不注意)が認められ、損害賠償金は280万円に。傷害の場合の自賠責保険の限度額は120万円ですが、任意自動車保険(対人賠償責任保険)の保険金で不足分の160万円を補填することができました。
【事例2】駐車場で壁面を損壊してしまった
ショッピングセンターの駐車場に車を入れようとした際、壁にぶつかり破損させてしまったケースです。
加害者の方は、被害者から修理費用として50万円を請求されましたが、任意自動車保険(対物賠償責任保険)に加入していたため保険金が支払われました。なお、自賠責保険にしか加入していなかった場合、モノに対する損害の補償はないため全額自己負担する必要があります。
【事例3】もらい事故で被害者となってしまった
信号待ちをしていたところ、わき見運転をしていた車に追突されてしまったケースです。ケガはなかったものの、車の修理代が30万円に。「自分に非はないので相手に修理代を補償してほしい」と思っても、100%相手の過失となる「もらい事故」の場合、保険会社では示談交渉が行えず相手との交渉に困ることがあります。ですが、この事例では任意保険に弁護士費用特約をセットしていたため、弁護士による相手との交渉の結果、相手から修理費用30万円を受け取ることができました。
被害者の方は、自分の車両保険で修理することも検討しましたが、自分の保険で保険金の支払いを受けることで等級が下がり、更新後の保険料が上がることは避けたかったので助かりました。
過失による事故の場合、損害賠償金は、加害者と被害者のそれぞれの過失割合(責任の割合)に応じて決定します。被害者に過失がある(損害賠償金を支払う必要のある)事故であれば、基本的に保険会社が示談交渉の代行をしますが、被害者に一切の過失がない場合は弁護士法により保険会社は示談交渉を代行することができません。その場合は、自ら示談交渉を行うか、弁護士に示談交渉をしてもらう必要があります。
また加害者となった場合、特に相手が歩行者や自転車の事故は、相手の理解が得られず解決までに時間がかかるケースも多くあります。こうした場合のサポートとして、基本契約に加えて、弁護士費用特約をセットしておくと安心です。
任意自動車保険で、より安心のカーライフを
日常生活、レジャー、仕事等、自動車を利用する目的はさまざまかもしれません。便利な移動手段であると同時に、思わぬ事故やトラブルが発生する可能性も潜んでいます。安心なカーライフを送るためのリスク対策として任意自動車保険への加入を検討しましょう。
そうは言っても、任意自動車保険は基本的な補償に加え、選べる特約等、保険会社によってもさまざま。選び方がわからないという方は、任意自動車保険の検討にあたって以下の3つにわけて必要な補償内容を考えるとよいでしょう。
1. 相手への補償(対人賠償・対物賠償)※同乗者も含む
2. 自身や同乗者の補償(ケガ・クルマ)
3. その他のトラブルサポート(ロードサービス・弁護士費用・賠償責任)
保険金額の設定、特約の有無、負担する保険料とのバランスについては、保険会社や代理店の担当者に相談の上、納得のいく補償を持つことが安心へと繋がります。なお、対人賠償・対物賠償の補償額は任意で金額を設定できますが、備えを万全にしたいのなら「無制限」を選ぶことをおすすめします。