日本:タイの健康問題を学ぶ、一日完結の新興国ワークショップを開催しました
昨年12月17日(土)、当社オープンイノベーションハブ「Wonder LAB Osaka」で、パナソニックイノベーションワークショップ(PIWS)1day第3期を開催しました。
「タイの健康問題」をテーマに取り上げた今回のワークショップには、さまざまな事業部から14名の社員が集まりました。そして、急激な経済成長を遂げた東南アジアの新興国のひとつであるタイの、ヘルスケアにまつわる現状と課題を学び、当社の事業機会やビジネスアイデアを考えました。前回のベトナムワークショップに引き続き、コーディネーターは、NPO法人ミラツクにお願いしています。
まず、職種も所属も異なるメンバーが、数名一組で自己紹介を行います。普段の仕事では関わることのない人たち同士が、ネットワークを広げます。
続いて、この日のために来日してくださった、Sunit Shrestaさんに、タイのヘルスケアに関する状況をご講義いただきました。Sunitさんは、2001年にタイ・バンコクに設立された社会起業家育成の草分け的な機関であるChange Fusionの創設者で、タイにおける社会起業家の成長を通じたクリエイティブで持続的な社会の変化に対して、特に社会起業家への投資と、タイやアジアにおけるより良い生態系の構築に焦点を置いて取り組んでおられます。
アジア各国を比較した場合、タイは、もう感染症が死因にはなり得ないほど、社会が発展していることがわかります。一方で、先進国で大きな課題となっている高齢化やメンタル疾患などが増加しているようです。また、都市部と地方、収入などの格差が大きく、適切な医療にアクセスできない人々も多いのです。
Sunitさんは、事業の事例もいくつかご紹介くださいました。Change Fusionの投資先である社会的企業のひとつは、体の部位をクリックすると、可能性のある病気がわかるアプリを開発し、遠隔地であっても、病院に頼らずに自分の健康状態を把握できるようなアプリを開発しました。また、別の企業は、家畜や野生動物の死亡や病気に関するデータを収集できるアプリを開発し、鳥インフルエンザのような感染症などの異常発生をいち早く見つけることに貢献しています。
次に、ミラツクでヘルスケア領域を担当されている島村実希さんから、ヘルスケア分野での事業開発のポイントをご講義いただきました。
まず、ヘルスケア事業においては、ターゲットの年齢や「健康」に対する意識や意欲の有無によって、異なるアプローチが必要であること。そして、「健康意識」は何かのきっかけがあって生まれるということと、その意欲が継続し生活習慣にまで定着するためには、いろいろな手立てが必要であることをご説明いただきました。また、そのしかけをビジネスにした携帯ゲームやイベントなどの事例、また、他社の健康促進の取り組みなどもご紹介いただきました。
モデルディスカッションでは、新興国での福祉やヘルスケアの事業立ち上げに携わってこられた一般社団法人「re:terra」の渡辺さやかさんにもご参加いただき、2つの講義の質疑応答を中心に、それぞれの観点から新興国や国内のヘルスケアの現状をお話いただきました。
以上の情報を元に、最後は、当社の新規事業を考えるグループワークを行いました。参加者で数名のグループを作り、15字以内で表現できる事業コンセプトと、その解決に活用できる当社のリソースを考え、マトリクスを作ります。そして、マトリクスを埋めるようにさまざまなアイデアを出していきました。
【発表された事業アイデア】
①持病の気付きと健康をサポート
②こころの余裕をつくるサービス
③10代の妊娠とHIVの感染を防ぐ
今回も、さまざまな職種・事業部の社員と交流しながら、タイの現状を学び、フレームワーク等を使って新規事業を考える、充実した1日となりました。
【参加者の感想より(抜粋)】
・ 業務外で新規事業を考えられるよい経験になった。
・ 新規事業を考える際に留意すべきことを、実践を通じて身に付けられた。
・ どのように社会に貢献するかということを、実際の仕事を通じて、パナソニックとして、という観点で深く考えられた。
また、フレームワークもロジカルでわかりやすく、よい学びになった。
・ カンパニー・事業部を超えた人とのつながりができた。普段知ることの難しい現場の声が聞けてよかった。
【参考リンク】
新興国の社会課題を学び、その解決につながるビジネスアイデアを考えるワークショップ(PIWS)
新興国のNGOの課題を、専門性を活かして解決するボランティア(PIVoT)
新興国・途上国の社会課題解決