日本:ケニアの貧困層の課題を学ぶ、3ヶ月間の新興国ワークショップがスタートしました
昨年12月18日(日)、オープンイノベーションハブ「Wonder LAB Osaka」に有志社員11名が集い、パナソニックイノベーションワークショップ(PIWS)第10期がスタートしました。 今期は、「ケニアのBOPの課題」をテーマに取り上げました。BOPは、Base Of Pyramidの略で、貧困層のことを指します。この層の課題を知り、その課題解決につながる当社のビジネスアイデアの検討を、3ヶ月間のワークショップを通じて行います。事業戦略上もアフリカに注目が集まる中、社員のアフリカへの関心は高く、技術・商品企画・SEなど、さまざまな職種の社員が集まりました。 はじめに、所属も職種もバラバラで緊張気味の参加者は、自己紹介と簡単なゲームでアイスブレイクを行いました。
少しほぐれたところで、今回も全体のコーディネートとファシリテーションをしてくださるNPO法人クロスフィールズ副代表の松島さんから、社会課題を自分ごととして捉える大切さについてご講義いただきました。続けて、参加者それぞれのものの見方や価値観などに気づくためのワークも行いました。
つづいて、本日のメイン、講師の坂田泉さんによるご講義です。坂田さんは、ケニアの農工大学で建築教育に従事された後、一般社団法人OSAジャパンを設立され、現在はケニアと日本を往復されながら、日本企業の技術や商品アイデアをケニアで事業にするお仕事をされています。 坂田さんは、新興国の課題解決のための事業を起こすには、すでに最終的な「かたち」になっている商品やサービスなどをどのように届けるか考えるのではなく、誰と一緒に誰に届けるのかを考えることが大切だ、という講義をしてくださいました。現場で、その人たちの使い方、考え方、やり方など、「かた」を知りそこから考えることが重要だそうです。
また、お話や写真、動画を通じて、ケニアの住環境・トイレ事情など、建築家ならではの視点も交えて詳しくご紹介いただきました。ケニアへの渡航経験のある参加者もない参加者も、ケニアのイメージをつかむことができました。
続いて、アフリカ駐在のご経験をお持ちの原田悠子さん(クロスフィールズ)のファシリテーションで、ワークを行いました。まず、坂田さんのご講義を通じて学んだ課題の中から、個人で印象に残ったものを取り上げ、なぜそれを選んだのかを考えます。そして、その課題に着目した理由をグループのメンバーに説明しました。ここでも大切にしたのは、各自の価値観。バックグラウンドが違えば、当然気になる課題も異なり、そのことを人に説明することで、課題をより自分ごととして捉えていくからです。
そしてブレスト形式で、各自が取り上げた課題を深掘りし、解決のアイデアを出しました。
たとえば、「女性や子どもたちが安心して使えるトイレがない」という課題に対して、「資金がない」という課題にとどまらず、「女性の地位が低く、発言力が制限されているのでは?」「文化的に、排泄にまつわることがタブー視されているのでは?」など、より深く検討しました。そして、たくさんの仮説に対する解決策として、「押し付けではない自発的な教育や啓発活動の推進」、「小額でも使用料を徴収し、オーナーシップを高める」など、いろいろなアイデアを出していきました。
今後、グループワークから抽出したアイデアを元に、各自で調査を進め、2月11日(土)の第2回では、ブラッシュアップされたアイデアの発表と投票を行い、継続検討するものを選定します。
この日初対面だったメンバーも、さまざまなワークを通じて一体感を持ち、好調なスタートとなりました。今後、坂田さんのご指導とクロスフィールズのファシリテーションを通じて、当社の新しい社会課題解決型事業のタネが生まれることを目指して、意欲あふれる11名が3ヶ月間を駆け抜けます!最終レポートをお楽しみに・・・!!
【参考リンク】
新興国の社会課題を学び、その解決につながるビジネスアイデアを考えるワークショップ(PIWS)
新興国のNGOの課題を、専門性を活かして解決するボランティア(PIVoT)
新興国・途上国の社会課題解決