「耐震等級」にこだわろう。日本で地震に強い家づくりをすべき3つの理由

耐震等級という言葉を聞いたことはありますか?地震に対して建物がどのくらい強いかを示す指標ですが、実は9割の人が正しく理解していないという調査結果があります。

日本は、世界で発生するマグニチュード6以上の地震のうち 2割弱が起こる地震大国です。小さな揺れから、東日本大震災や熊本地震のような大地震まで、いつどこで起きてもおかしくありません。

せっかくのマイホームも、地震で住めなくなれば資産も暮らしも一瞬で失われます。だからこそ、地震に強い家を選ぶためには、耐震等級を正しく理解することが不可欠です。

この記事では、地震で倒壊しやすい家の特徴や地震のメカニズム、そして耐震等級1〜3の違いをわかりやすく解説します。命と資産を守るために、今こそ耐震性能に目を向けましょう。

「耐震等級」にこだわろう。日本で地震に強い家づくりをすべき3つの理由

地震で倒壊しやすい家とは

地震で家が倒壊する原因の多くは、建物自体の構造的な弱点にあります。まず押さえておきたいのが旧耐震基準(1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物)です。

旧基準の住宅は、現在の新耐震基準に比べて耐力壁(横揺れに耐える壁)の量が少なく、強い揺れに耐えにくい構造でした。1981年6月以降の新耐震基準では、建物の条件により旧基準と比べて約2倍の耐力壁を設けることが義務づけられるなど、建物はより地震に強くなりました。

とくに木造住宅で注意すべきなのが、柱と梁をつなぐ接合部です。地震のエネルギーは建物全体だけではなく、こうしたつなぎ目に集中します。

接合部は人の体でいえば関節のようなものです。ひとつ壊れると骨組み全体がバランスを失い、連鎖的に倒壊する危険があります。2016年の熊本地震の調査では、柱や梁の固定強度が高い建物ほど倒壊を免れたという結果も出ています。

さらに、震源が浅く上下に大きく揺れる直下型地震では、建物の土台や接合部に大きな 力が加わります。揺れに備えるためには、構造計算による耐力壁の最適配置や接合部の補強設計が欠かせません。

高い耐震性を求めるなら、構造に強い住宅メーカーを選ぶことが重要です。

こちらの記事では、地震に強い家について解説しています。
6つの特徴や構造・地盤などから見える共通点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

耐震等級とは

耐震等級とは、建物が地震にどれだけ強いかを数値で表した指標です。柱や梁、壁などの骨組み(構造躯体)が、地震の揺れにどの程度耐えられるかを評価するものです。

「新築住宅の住宅性能表示制度」にもとづき、等級1〜3の3段階でランク付けされています。数字が大きいほど、より強い地震にも耐えられる構造です。

大まかに言うと、耐震等級1とはこのような基準です。

  • 倒壊防止:数百年に一度の大地震(震度6強〜7)でも建物が倒れないこと
  • 損傷防止:数十年に一度の中規模地震(震度5強程度)でも、柱や壁に大きな損傷が起きないこと

ところが、株式会社NEXERとパナソニック アーキスケルトンデザイン株式会社による2025年10月の合同調査では、有効回答数986件のうち「耐震等級1〜3の違いまで理解している」と答えた人はわずか2.1%でした。「言葉だけ知っている」という人を含めても、約半数が正確に理解していません。

地震大国の日本で暮らす以上、耐震等級の知識は命を守る基礎知識といえます。家族と住まいを守るためにも、ここでしっかり理解しておきましょう。

出典:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要

耐震等級1

ひとことでいうと、命を守る最低ラインです。耐震等級1は、建築基準法で定められた最低限の耐震性能を持つ建物です。現在の新築住宅は、原則としてすべてこの等級以上で設計されています。

耐震等級1の基準は、

  • 数百年に一度の大地震(震度6強〜7)でも倒壊・崩壊しないこと
  • 数十年に一度の中規模地震(震度5強)では損傷しないこと

という内容です。

つまり倒れないことが目的であり、無傷ですむとは限りません。実際の地震では、壁にひびが入ったり、屋根がずれたり、家具が倒れたりといった被害が起こる可能性があります。

命は守れても、住めなくなる家になる可能性があるのが等級1の現実です。より確実な安心を求めるなら、さらに上の等級を検討しましょう。

耐震等級2

暮らしを守る家を目指し検討されるのが、耐震等級2以上です。耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の地震力に対する強度を持つ建物です。学校や避難所など、災害時にも人が集まる公共施設に求められるレベルと同等で、地震後も建物の機能を維持できることを想定しています。

震度6強〜7の地震でも主要構造が壊れにくく、補修で住み続けられるケースが多いのが特徴です。多少コストは上がりますが、修繕費用や生活の中断リスクを減らせるため、長期的には経済的な選択でもあります。

命だけでなく、生活を守る安心感を求める方が検討されています。

耐震等級3

耐震等級の3つのランクの中で最高等級の強さです。耐震等級3は、等級1の1.5倍の地震力に耐えられる強度をのち、現行制度で最も高いランクです。警察署や消防署といった防災拠点と同レベルの耐震性能を持ちます。

倒壊を防ぐのはもちろん、地震後も構造に影響を与えるような損傷をしないことを目指して設計されているのが特徴です。熊本地震の調査では、耐震等級3の木造住宅は倒壊などの被害はなかったという結果も出ています。

強い家を建てることは、家族の未来を守ることです。耐震等級にぜひこだわりましょう。

こちらの記事では、耐震等級3の家について解説しています。
メリット・デメリットや証明書の取得方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

耐震性能が日本の住宅に必要な理由

耐震性能が日本の住宅に必要な理由

いまや日本の住宅に「耐震性能」「耐震設計」は不可欠なものです。
一方で、「そんなに大きな地震が頻繁に起こるものなの?」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

日本は世界的に見ても有数の地震大国であり、いつどこで大地震に襲われるか、なかなか予測できるものではありません。
そのため、「近々起こるであろう大地震を予知し、その時に住まいの耐震性能を強化する」というのは現実的に不可能です。

そこで、いつ、どこで、どんな場所に家を建てるにしても、日本の住宅に耐震性能は必要です。その理由をご紹介します。

  • 日本は小さな地震が多い
  • 日本全国どこでも地震が起こる
  • 近い将来、大地震が起こると予測されている

理由1.日本は小さな地震が多い

日本はよく“地震大国”と言われます。
それだけ地震が多い国であると世界的にも知られているわけです。巨大地震は数年に一度、数十年に一度の割合で発生しています。
数十年に一度なら、「そんなに地震が起こっていないのでは?」と思うかもしれませんがそうではありません。

実は、日本は世界的に見て小~中規模の地震が、とても多い国なのです。
内閣府や気象庁が発表した、地震に関する以下のデータをご覧ください。

■マグニチュード6.0以上の地震回数

マグニチュード6.0以上の地震回数

出典:アメリカ地質調査所(世界) 気象庁(日本)/国土交通省「河川データブック2022」より

世界で発生しているマグニチュード6以上の地震のうち、11.9%が日本で起こっています。

また、マグニチュード8.0以上の地震は2001年~2010年の10年間で2回発生しましたが、2011年に入ってすぐ東日本大震災が発生しました。 その5年後の2016年の熊本地震もマグニチュード7.3という巨大地震で、震度7が2回連続して発生した地震でした。

巨大地震だけでなくさらに数多くの小~中規模地震も発生している日本。これだけ見ても、住宅に耐震性能が必要な理由が分かります。

理由2.日本全国どこでも地震が起こる

世界的に見ても、日本は地震が多い国であることが分かりました。
ただし、怖いのは回数だけではありません。日本が地震大国と言われるもう一つの理由――それは、日本全国で地震が発生しているということです。

21世紀に入り日本国内で発生した、大規模地震の一部を見てみましょう。

発生日 発生場所 マグニチュード 名称
2001 3月24日 広島県 M6.7 芸予地震
12月18日 沖縄県・与那国島近海 M7.3
2002 3月26日 沖縄県・石垣島近海 M7.0
2003 5月26日 宮城県沖 M7.1
7月26日〜27日 宮城県中部・北部、日本海北部 M5.5~7.1
9月26日 北海道・十勝沖 M8.0
2004 9月5日 三重県・紀伊半島 M7.1 紀伊半島南東沖地震
10月23日 新潟県・中越地方 M5.7~6.8 新潟県中越地震
11月29日 北海道・釧路沖 M7.1
2005 3月20日 福岡県・佐賀県 M7.0
8月16日 宮城県沖 M7.1
11月15日 北海道~関東・三陸沖 M7.2
2006 4月21日 伊豆半島沖 M5.8
2007 3月25日 石川県・能登半島 M6.9
7月16日 新潟県・長野県 M6.8 新潟県中越沖地震
2008 5月8日 茨城県沖 M7.0
6月14日 岩手県・宮城内陸 M7.2
7月24日 岩手県北部 M6.8
9月11日 北海道・十勝沖 M7.1
2009 8月9日 関東~東北地方南部 M6.8
8月11日 静岡県・駿河湾 M6.5
2010 2月27日 沖縄本島近海 M7.2
11月30日 東京都・小笠原諸島西方沖 M7.1
12月22日 東京都・父島近海 M7.4
2011 3月11日 東北地方 M9.0~9.1 東日本大震災
3月12日 長野県北部 M6.7
3月15日 静岡県東部 M6.4
4月7日 宮城県沖 M7.2
4月11~12日 福島県 M7.0
6月30日 長野県中部 M5.4
7月10日 三陸沖 M7.3
10月3日~12日 富山県・長野県 M5.4
11月8日 沖縄県本島北西沖 M7.0
日本全国どこでも地震が起こる
発生日 発生場所 マグニチュード 名称
2012 1月1日 鳥島近海 M7.0
3月14日 三陸沖 M6.9
3月14日 千葉県東方沖 M6.1
12月7日 三陸沖 M7.3
2013 2月2日 北海道十勝地方南部 M6.5
4月13日 淡路島付近 M6.3
10月26日 福島県沖 M7.1
2014 7月12日 福島県沖 M7.0
11月12日 長野県北部 M6.7
2015 5月30日 東京都・小笠原諸島西方沖 M8.1
11月14日 鹿児島県・薩摩半島西方沖 M7.1
2016 4月14~16日 熊本県 M7.3 熊本地震
6月16日 北海道・内浦湾 M5.3
10月21日 鳥取県中部 M6.6
11月22日 福島県沖 M7.4
12月28日 茨城県北部 M6.3

このように日本全国で、被害を及ぼした地震が発生していることが分かります。
気象庁の公式サイトにも次のように明記されています。

日本で地震が発生しないところはありません。小さな規模の地震は日本中どこでも発生しています。また、ある場所で過去に大きな規模の地震が発生していたとしても、地表に痕跡(活断層など)が残らないことがあります。このため「この場所は大きな規模の地震が絶対ありません」と言えるところはありません。

理由3.近い将来、大地震が起こる?

理由3.近い将来、大地震が起こる?

さらに、日本では近い将来、再び巨大地震が発生するのでは?と予測されています。
それは「東海地震」(南海トラフ地震)です。

駿河湾から静岡県の内陸部を震源域とする、マグニチュード8クラスの巨大地震になると予測されている東海地震(南海トラフ地震)。
その被害範囲(予測)は東海地域から近畿、四国、九州にまで及んでいます。
気象庁公式サイトでも、東海地震(南海トラフ地震)に関するニュース・お知らせは頻繁に掲載されていることからも、その危険度が分かるでしょう。

この東海地震(南海トラフ地震)以外にも、日本で多くの地震が発生する可能性は高く、これから家を建てようと考えている方にとって、耐震は絶対に考えておかなくてはいけないものと言えます。

■30年 震度5弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図

30年 震度5弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図

※引用:国立研究開発法人 防災科学技術研究所J-SHIS 地震ハザードステーション「確率論的地震動予測地図」より

耐震性能の高い家で、末永く家族が幸せに暮らす

耐震性能の高い家で、末永く家族が幸せに暮らす

ここまで、日本の住宅建築において耐震性能が必要な理由をご紹介してきました。
地震が発生すると何より怖いのは、揺れによる家屋の倒壊です。それは、大切な家族の命や大事な財産に関わる問題でもあります。

地震大国の日本だからこそ、耐震等級にこだわり、家族で末永く安心した暮らしをしたいものです。

だからこそ、マイホームを建てるときには、耐震や地震について、しっかりとした知識を持ちたいですね。

まとめ

日本は、世界でも有数の地震多発国です。実際に、マグニチュード6以上の地震の約2割が日本で発生しています。気象庁も「地震が起こらない地域はない」と公表しており、今後30年以内には南海トラフ地震などの大規模地震が発生する可能性が高まっています。

住宅の「耐震等級」は、建物の強さを示す基準で、等級1(最低基準)、等級2(避難所レベル)、等級3(最高レベル)の3段階に分かれています。家族や資産を守るためには、地震に強い=高い耐震等級の家を選ぶことがとても重要です。

地震そのものを防ぐことはできませんが、地震に強い家をつくることはできます。パナソニックのテクノストラクチャー工法は、国が定める最高基準である耐震等級3をも上回る耐震性能に対応可能です。

パナソニック独自の制震システムと、地震の揺れを受けた建物の変形状態を解析する4D災害シミュレーションにより、震度7クラスの地震にも3回連続で耐えられる強さを実現しました。木と鉄を融合した独自の複合梁「テクノビーム」により、木の温もりに、鉄の強さをプラスしています。

地震に強い家づくりをお考えの方は、確かな技術と実証データに支えられた「パナソニックの テクノストラクチャーEX」を、ぜひご検討ください。

テクノストラクチャー工法は、1棟1棟構造計算をして建築する工法です。
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