電気代が高い…。使うエネルギーを自宅で創る太陽光発電とは?
電気代の値上がりや東京都が新築住宅の太陽光パネル設置を義務付ける方針を発表して、注目されている「太陽光発電システム」。発電時に二酸化炭素などを出さない、環境にやさしい発電方法です。
自宅に太陽光発電を設置すれば、光熱費の削減や、災害時の非常用電源なるなど、メリットがあります。
太陽光発電の普及率は?
太陽の光を使って電気をつくる「太陽光発電」が、注目を浴びたのは2010年頃からです。「太陽光発電の歴史は短いの?」と思われがちですが、決してそうではありません。
実は、日本ではもう40年以上前から太陽光発電は実用化されています。
日本で太陽光発電が開発され、1970年代に発生したオイルショック以降に普及したと言われています。2009年には太陽光発電の余剰電力の買い取りが、電力会社に義務付けられました。
2012年からは、「固定価格買取(FIT)制度」がスタート。太陽光発電のような再生可能エネルギー(再エネ)で発電した電気を、国が決めた価格で買い取るよう、電力会社に義務づけた制度です。これらの制度が、太陽光発電が普及したきっかけのひとつです。
2016年以降に建てられた住宅に住む世帯では37.5%が太陽光発電システムを使用するなど、新しい住宅に住む世帯ほど、太陽光発電システムを使用しています。
引用:資源エネルギー庁 2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)「主要国の一次エネルギー自給率比較(2018年)」より
日本で、太陽光発電などの再生可能エネルギーが求められるのには、いくつか理由があります。
エネルギー対策が必要な理由
現在、日本でエネルギー対策が求められている理由としては、主に以下の23つが挙げられます。
- エネルギー自給率の低さ
- 電気料金の値上がり
- 地球温暖化などの環境破壊対策
エネルギー自給率の低さ
我々の生活には「エネルギー」が欠かせません。電気もエネルギーの一つですが、その電気を生み出すにもエネルギーが必要です。
しかし、日本はエネルギー自給率がとても低い国です。
発電方法は「水力発電」「風力発電」「火力発電」「原子力発電」がよく知られていますが、火力発電の主力燃料は石油や石炭です。その石油や石炭、液化天然ガス(LNG)などの化石燃料は、海外からの輸入に大きく依存しています。
■主要国の中で、日本の一次エネルギー自給率は34位(2018年)
出典:IEA「 World Energy Balances 2019」の2018年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2018年度確報値。※表内の順位はOECD35カ国中の順位
引用:資源エネルギー庁 2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)「主要国の一次エネルギー自給率比較(2018年)」より
資源を他国に依存すると、国際情勢などに影響されて、石油や石炭、液化天然ガス(LNG)を安定的に確保できないことが考えられます。
電気料金の値上がり
最近、電気代が高いと感じることはないですか?節電・節約を心がけている方も多いかもしれません。
2011年の東日本大震災以降、電気料金は上がっています。原子力発電が停止・減少し、化石燃料を使う火力発電が増加したことなどが要因です。火力電力は、化石燃料の多くを海外からの輸入に頼っているため、どうしても燃料価格が高くなります。
さらに、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻の影響で、液化天然ガス(LNG)価格や石炭の価格が高騰しています。政府は新たに「節電ポイント」の支援を始めるなど、電気代の負担軽減策を打ち出しました。
地球温暖化など環境破壊対策
台風や洪水、干ばつなど、異常気象というキーワードをよく聞くようになりました。気候変動の要因はさまざまですが、近年は地球温暖化に対する懸念が強まっています。
そこで、温室効果ガスの排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す動きが広がっています。日本を含め123か国と1地域が、2050年までのカーボンニュートラルを表明。日本は7年連続で、温室効果ガスの排出量を削減しています。※
※出典:環境庁「温室効果ガス排出・吸収量等の算出と報告」(2022年4月発表)
家庭でも温室効果ガスの削減に貢献できる、太陽光発電
日本では、エネルギー自給率の低さや環境対策などから、エネルギー対策が進められています。
そんな中、エネルギー自給率を改善し、温室効果ガスを排出しないエネルギー源が、再生可能エネルギー(再エネ)です。 しかし、現状は発電の電力量に占める再エネの比率は、主要国と比べると割合が低く、18%です※。
※資源エネルギー庁 2021−日本が抱えているエネルギー問題(後編)「主要国の発電電力量に占める再エネ比率の比較( 発電電力量に占める割合)」より
再エネの中でも、注目されているのが太陽光発電です。住宅に太陽光パネルを設置することで、家庭でも地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減に貢献でき、電気の自給自足が目指せるからです。 東京都はハウスメーカー等の事業者に対して、新築住宅への太陽光パネル設置を義務付ける方針を固めました。
太陽光発電4つの特長
経済産業省・資源エネルギー庁の公式サイトでは、再生可能エネルギーとしての太陽光発電の特長として、以下の4点を挙げています。
1.エネルギー源は太陽光
エネルギー源が太陽光であるため、基本的には設置する地域に制限がなく、導入しやすいシステムといえます。2.用地を占有しな
屋根、壁などの未利用スペースに設置できるため、新たに用地を用意する必要がありません。3.遠隔地の電源
送電設備のない遠隔地(山岳部、農地など)の電源として活用することができます。4.非常用電源として
災害時などには、貴重な非常用電源として使うことができます。
太陽光は自然エネルギーですので、途切れることがありません。
もちろん日照量によって、太陽光発電によって生み出される電気には差が生まれます。
ただし、太陽光は自然エネルギーなので、日本では1年を通じて降り注いでいるものです。
もし災害などによって停電=電力会社からの電気の供給がストップしても、太陽光発電があれば非常時をしのぐぐらいの電気を確保しておくことも可能になります。
もうひとつ、太陽光発電には大きな効果があります。それは家庭における電気料金です。
太陽光発電による電気料金比較
太陽光発電を我が家に導入すると、どれだけの電気をつくってくれるのでしょうか?
まず一世帯当たりの年間電気消費量は、平均で約4,047kw(キロワット)と言われています。
と言っても、この数字がどれぐらいのものなのか、なかなか想像しにくいですよね。
そこで、この電気消費量に対する電気料金を見てみましょう。
電気料金は、次の計算式で算出されます。
年間消費電力量 × 電気力量単価 = 年間の電気代
東京電力の電気料金単価は、契約内容によって異なりますが、最も多い「従量電灯B」対応の第2段階料金(120kWhをこえ300kWh)だと、1kWhあたり26円です。
※kWhは、1時間あたりの電力消費量の単位です。
つまり一般家庭の年間電気料金は、この計算式に当てはめると
4,047 × 26 =105,222円
ということになります。
太陽光発電は設置する地域や条件、パネルの性能によって発電量が変わるので一概には言えませんが、1kwシステムごとに年間1000kWh発電できると仮定すると4kw設置すれば4000kwの電力を生み出す、つまり1年分の平均的な電気使用量と同じくらいの電気をつくれる計算になります。
まとめると、
1年で使う電気は平均で約4,047kw、金額にすると10万円強、4kwの太陽光発電を設置した場合の発電量は約4,000kw
これは計算上の数字なので、使う電気と同じ量だけ電気をつくったら、電気料金が全くかからなくなる、4kwの太陽光発電で10万円が浮く、とは一概には言えませんが、家計で気になる電気代を削減する効果は大きいとわかります。
どのくらいお得になる?光熱費をシミュレーション
太陽光発電で節約できる電気料金は、お住まいの地域や、契約している電気料金プランなどによって変わります。
マイホームをエコキュートなどの省エネ設備にして、太陽光発電を設置した場合の光熱費を、シミュレーションで計算してみるのもおすすめです。太陽光パネルの設置枚数や、設置する方角などの条件も変えられます。建物の影の影響や積雪量等を含めて算出することはできませんが、光熱費がどのくらい削減できるか、目安が分かりますよ。
シミュレーションはこちら。Panasonic「エネピタ」
太陽光発電を利用した「ZEH」(ゼッチ)とは?
家づくりを検討していると、「ZEH」(ゼッチ)という言葉を聞きませんか?
「ZEH」(ゼッチ)とは、エネルギー収支をゼロ以下にする家のこと。太陽光発電システムなどで、住宅でエネルギーを創り、1年間で消費するエネルギーの量を実質ゼロ以下にします。
政府は2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指しています。2016年以降、ZEH基準の家を建てる人が増えています。
ZEH基準の家を建てる場合、国や自治体からの補助金が使えることもあります。利用して、ZEHの家を検討してもいいかもしれませんね。