長期優良住宅とは?費用に関する3つのメリットと9つの認定基準

「家づくりは人生で最大の買い物」と言われます。
一軒、家を建てると何千万円という費用が掛かるからです。

そこで新築の住まいを建てるには住宅ローンや、固定資産税をはじめとする税金が心配になりませんか?

実は、そうした不安にこたえてくれる制度が存在します。
それは「長期優良住宅」という、政府が法律で定めた制度です。
この「長期優良住宅」とはどんな制度なのかご説明します。

長期優良住宅とは?費用に関する3つのメリットと9つの認定基準

長期優良住宅とは?

国土交通省の公式サイトには、長期優良住宅制度について、次のように書かれています。

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備に講じられた優良な住宅のことです。長期優良住宅の建築および維持保全の計画を作成して所管行政庁に申請することで、基準に適合する場合には認定を受けることができます。

2008年12月5日、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(長期優良住宅法)が公布、翌2009年6月4日に施行されました。

それまでの“つくっては壊す”という「スクラップ&ビルド型」の社会から、“いいものをつくって、きちんと手入れをして、長く大切に使う”ストック型の社会に転換するため、長期的に住み続けられる住宅づくり普及に重点を置いた政策です。

この「長期優良住宅法」に基づき、家の構造や設備などが一定の基準を満たし、長期にわたって維持保存ができる、つまり長期的に住み続けられる住宅であることが認められると、税金面などにおいて優遇措置を受けることができるのです。

長期優良住宅で受けられる税制上の優遇措置とは?

住まいが長期優良住宅に認定されると、税制上でどんな優遇措置を受けることができるのでしょうか?

  • 住宅ローン控除の最大控除額の優遇
  • 住宅資金贈与の非課税枠拡大
  • リフォームに対する補助金

住宅ローン控除の最大控除額の優遇

「住宅ローン控除」「住宅ローン減税」という制度をご存じですか? これは家を建てるために住宅ローンを利用する際、返済期間が10年以上のローンを組んだ場合は入居後10年間、住宅ローンの年末残高に応じて、所得税などの控除が受けられる制度です。

住宅ローン控除の最大控除額の優遇

その期間、ローン残高の1.0%が所得税額から控除されます。その金額は、年間で最大40万円、10年間だと最大400万円が所得税から戻ってくることになります。

これが「長期優良住宅」に認定された家だと、1年で最大50万円、10年間で最大500万円が所得税から戻ってきます。
つまり、通常の住宅ローン控除(住宅ローン減税)より、10年間で最大100万円も多く戻ってくるわけですね。

住宅資金贈与の非課税枠拡大

家を建てる際に、両親や祖父母から資金を提供してもらうケースは多いでしょう。それを「住宅購入資金の贈与」と言い、この「住宅購入資金の贈与」には贈与税が掛かります。
贈与を受ける金額が大きい場合は、それだけ支払う贈与税も高額になるので、注意したほうがよいでしょう。

ただし、一定の基準を満たせば、以下の限度額まで贈与税が非課税となります。
その非課税額は、住宅購入の契約締結日や消費税率によって違うのですが、なんと長期優良住宅とそうでないかによっても、大きく異なるのです。

1. 消費税率が10%以外の場合の非課税限度額

契約締結日 長期優良住宅の場合 長期優良住宅でない場合
平成28年1月1日~平成32年3月31日 1,200万円 700万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日 1,000万円 500万円
平成33年4月1日~12月31日 800万円 300万円

2. 消費税率が10%の場合の非課税限度額

契約締結日 長期優良住宅の場合 長期優良住宅でない場合
平成28年1月1日~平成32年3月31日 3,000万円 2,500万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日 1,500万円 1,000万円
平成33年4月1日~12月31日 1,200万円 700万円

このように、長期優良住宅の場合は非課税枠が500万円も拡大されるのです。

長期優良住宅の認定基準は?

では、どのような家が長期優良住宅として認定されるのでしょうか?
その認定基準の概要をご紹介します。

  • 劣化対策
  • 耐震性
  • 維持管理・更新の容易性
  • 可変性
  • バリアフリー性
  • 省エネルギー性
  • 居住環境
  • 住戸面積
  • 維持保全計画

劣化対策

数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
通常想定される維持管理条件下で、構造躯体の使用継続期間が少なくとも100年程度となる措置。

耐震性

極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
大規模地震力に対する変形を一定以下に抑制する措置を講じる。

耐震性

維持管理・更新の容易性

構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。

可変性

居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。

バリアフリー性

将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。

バリアフリー性

省エネルギー性

必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。

居住環境

良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。

住戸面積

良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。

維持保全計画

建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。

維持保全計画

長期優良住宅に対応している住宅会社を選ぶ

ここまでご紹介してきたとおり、家を建てる時に、「長期優良住宅」に認定されると、様々な優遇措置を受けることができます。

もちろん、長期優良住宅に認定されると、税金面などでメリットはありますがそれ以上に安心で安全な家に住むことができる、という点が重要です。

長期優良住宅に対応している住宅会社を選ぶ

ただし、全ての住宅会社が、この長期優良住宅に対応しているわけではありません。
長期優良住宅を希望する場合は、必ず住宅会社に長期優良住宅に対応しているかどうか確認してください。