長持ちする家を建てるためにチェックしたい長期優良住宅の基準
2009年(平成21年)に制定された『長期優良住宅の普及の促進に関する法律』(長期優良住宅普及促進法)によって、日本の住宅事情は大きく変わることとなりました。
これまでの「つくっては壊す」という形から、「いいものを長く大切に使う」という形への転換期を迎えた日本の住宅事情。
そこで、長持ちする家を建てるためのチェックポイントについてご紹介します。
日本の住宅と世界の住宅の違い
日本古来の住宅工法である木造住宅は、建物自体の寿命が約27年と言われています。
世界水準でみると、日本の木造住宅は短命で、アメリカでは建物の寿命が66年、イギリスは80年と日本よりも長くなっています。
気候や風土の違いはあるにしろ、地球環境を守る活動が活発になるなかで、「建てては壊す」を繰り返してきた日本の家づくりの文化や社会背景が見直される時期に来た、ということでしょうか。
そもそも日本の気候は高温多湿ということもあって、諸外国のような石造りやレンガ作りのような密閉型の住宅は適さない、という特徴があります。
そのため、風通しの良い木造住宅のほうが日本の四季には適しているということなのですが、湿度の高い日本の住宅では、結露やシロアリという不安も生まれます。
日本で長持ちする家を建てるためには、日本の風土に適した木造建築で、かつ結露やシロアリへの対策も必要となるでしょう。
長持ちする家を建てるためのチェックポイント
国土交通省の機関である国土技術政策総合研究所では、2011年から2015年までの5年間、24もの各機関の参加を得て、『木造住宅の耐久性向上に関わる建物外皮・構造・使用とその評価に関する研究』を実施しました。
緊急性が高い課題としては、雨水の侵入や結露、また、これらに伴う劣化リスクなどが挙げられています。
長持ちする家を建てるためには、こうした資料をもとに施工前から十分な情報を集め必要な知識を身につけておくのも一つの手段ではありますが、そこまでの時間を割くことが難しいという人も多いでしょう。
そこで、もっと簡潔にわかりやすく“長持ちする家”を建てるためのチェックポイントを知るなら、長期優良住宅の認定基準を目安にするのがおすすめです。
全部で9つある項目は、ひとつひとつがすべて住宅性能に関わる事項になっています。
それでは、長期優良住宅の認定基準について、その代表的なものを見てみましょう。
長期優良住宅の認定基準
劣化対策
長期優良住宅の認定基準の中の劣化対策の概要では、「数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること」が必要であると言われています。
つまり、リフォームなどの改修工事は行っても、柱や梁といった住宅の構造を支える主要な躯体部分が100年程度にわたって使い続けることができることという点が、大きなポイントです。
維持管理・更新の容易性
維持管理・更新の容易性に関する基準のひとつに、「構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備の維持管理がしやすいこと」があります。
同じ家に長く住み続けるためには、定期的な点検や改修などのメンテナンスも必要となりますよね。
維持管理・更新の容易性とは、内装設備などのメンテナンスに対応するための項目です。
水道管などの配管の補修工事などが必要になった場合、建物に影響を与える必要がなければ、その分コスト面の負担も少なくなります。
耐震性
日本は、世界的に見ても有数の地震大国です。
そのため、地震が起きても継続して住み続けることができるだけの耐震性を持つ家づくりが求められています。
この「耐震性」にかかわる項目について、もう少し詳しく基準を見てみましょう。
地盤
家を建てる土地はしっかりと安定した地盤でなくてはなりません。
大きな地震などに見舞われた際、軟弱な土地に立てられた建物は倒壊や地盤沈下などの可能性が高くなります。
長持ちする家を建てるなら、まずは家を建てる前の地盤調査から入念に行う必要があります。
建物の形
注文住宅で家を建てる際に、なるべく単純な形のほうが強いといわれており、凸凹の多い建物は、雨風の影響を受けやすく、建物の一部に負担をかけてしまう可能性も指摘されます。
壁・柱の位置と量
注文住宅を建てる際、気をつけておきたいのが間取りです。
柱や壁が多ければ多いほど、建物は地震に対して強くなります。
しかし、間取りによっては不必要な柱や壁はなるべく作りたくないという人も多いでしょう。
部屋の配置などによって重要な柱や壁はそれぞれ異なるので、施工業者と入念な打ち合わせをしておくのがよいでしょう。
金物
柱や梁、土台といった主要な躯体は、地震で建物が揺れてもバラバラにならないようにしておかなければなりません。
アンカーボルトと呼ばれる木材をつなぎ合わせる金属の部品を使い、必要箇所にしっかりと取り付ける必要があります。
基礎・土台
建物を支える基礎や土台部分は、住宅建築の中でもかなり重要視するべき点です。
地盤に合わせて必要な太さの鉄筋コンクリートをしいた布基礎の場合、床下の通気性を向上させるための換気口を5m間隔であけるようにしておきます。
これらのほかにも長期優良住宅には、省エネルギー性、居住環境や住戸面積などがあります。
一つひとつが、長期優良住宅として認定されるのに必要な基準であり、長く住み続けるために大切なポイントといえるでしょう。
大切な家づくり、大きな費用をかけて家を建てるなら、長持ちする家のほうがよいですよね。
長持ちする家にするなら、ぜひ長期優良住宅制度の利用を検討してみてください。