家の資産価値とは? 長期優良住宅だと資産価値が高まるって本当?
「資産」と聞くと、どんなことを思い浮かべますか?
資産とは、「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3種類に区分されます。
住宅や土地などの不動産は、このうち「固定資産」に属します。
近年は、住まいの新築や購入の際に「資産価値の高い家を・・・」という広告・宣伝を見かけることはないですか?
では、家の資産価値とは、どういったものでしょう?
また、家の資産価値を上げるにはどうすればよいのでしょうか。
家の資産価値とは?
「家の資産価値」とは、家を財産として評価した額である、と言われています。
それは、家を売買するときの価格とほぼ同等とされています。
気をつけておきたいのは、これが「売買する時点での価格」という点です。
たとえば、購入時の価格が5000万円であっても、売りに出そうとした時の査定額が3000万円であったら、その家の資産価値は5000万円ではなく3000万円ということになります。
不動産の資産価値は、主に建物と土地の価格を分けて算出します。
土地は地価や路線価といった立地に関わるものを基に、その資産価値が計算されています。
対して、建物は立地のほかに、デザインそのものや管理状態によって資産価値を算定しています。
不動産の資産価値について、もう一つ注意しておかなければいけないのは、土地よりも建物のほうが、建てたり購入したりした時点よりも資産価値が落ちやすい、ということ。
土地は、過去に土地価格の高騰や大幅な下落などはあるものの、一般的にはそれほど大きな変動は見られません。
一方、建物はどうしても経年劣化があります。建物自体が古くなってしまうことは避けられないので、土地と比べて資産価値が落ちやすくなっているほか、建物の価値は評価されづらいという社会的な背景もあります。
では、家の資産価値を落とさないようにするためには、どうすればよいのでしょうか?
そんな住まいの資産価値を考えるうえで知っておきたいのが、「長期優良住宅」という制度です。
長期優良住宅とは
長期優良住宅とは、「長く住み続けることができる、質の良い家づくり」を普及するために設けられた制度です。
もともと一般住宅では、古くなった家は壊して新しく建て直す「スクラップ&ビルド型」の家づくりが行われていました。
しかし、そんなスクラップ&ビルド型の家づくりを繰り返していると、住宅を解体する際に発生する廃棄物が減らず、環境問題にも発展してしまいます。
対して、長期優良住宅=長く住み続けられる、質の良い家づくりは「ストック型」と呼ばれます。
2009年(平成21年)6月、『長期優良住宅の普及の促進に関する法律』(長期優良住宅法)が施行され、長期優良住宅に認定されると、税制上の優遇措置などが受けられるようになりました。
その長期優良住宅の認定基準は、以下の9項目です。
- 劣化対策
- 耐震性
- 維持管理・更新の容易性
- 可変性
- バリアフリー性
- 省エネルギー性
- 居住環境
- 住戸面積
- 維持保全計画
まとめると、家に劣化対策や地震対策が施されていたり、子供が成長したり親が高齢者になっても変わらず住み続けることができたり、エネルギー消費量を減らすことができたり・・・そんな住まいが、長期優良住宅に認定されるということになります。
ここで、家の資産価値の話に戻りましょう。
不動産のうち、土地に対して建物の資産価値は落ちやすいことをご説明しました。
その理由の1つは、建物には経年劣化があることです。
一方で、人が長く住み続けられるほど劣化対策が施されていれば、それだけ資産価値を維持できるか、あるいは資産価値を高めることができる可能性があります。
長期優良住宅に認定されているから資産価値が高い、ということではなく、長期優良住宅に認定されるための条件をそろえると、家の資産価値が維持できやすくなる、ということです。
次に、どんな家づくりが資産価値を上げることができるのか、新築住宅とリフォーム、それぞれのケースをご紹介します。
新築住宅で資産価値を上げるポイント
まず新築住宅で、家の資産価値を維持するためには、どうすればよいのでしょうか?
そのポイントの一つとして、設計段階で将来を見越した間取りを取り入れることが挙げられます。
家の間取りを考える時の基準は、家族構成やライフスタイルです。
家族が増えたり、子供が成長したり、同居している親が高齢者になったり・・・
そんな家族構成やライフスタイルの変化に適応できるような間取りが求められます。
たとえば
- 子供が大きくなったら個室の子供部屋をつくることができる
- 親が高齢者になって車椅子で移動できるような広い間取りになっている
などがあります。
リフォームで資産価値を上げるメリット
新築一戸建てではなく、家をリフォームする場合はどうでしょう?
「ストック型」の社会は、長く住み続けられる家を建てることだけではありません。
いま住んでいる家を、長く住み続けられるようにリフォームすることもまた、「ストック型」社会に求められることの一つです。
もちろん、長期優良住宅にはリフォームの基準もあります。
長期優良住宅の認定を受ければ、さまざまな優遇措置を受けることができます。
資産価値が高ければ賃貸住宅としても・・・
ビジネスマンがマイホームを建てた後に、転勤で引っ越さなければいけなくなるケースは、少なくありません。
せっかく建てたマイホームを手放してしまうよりは、誰かに賃貸住宅として貸したいという人もいるでしょう。
新築時に「一般社団法人 移住・住みかえ支援機構」(JTI)の『かせるストック』認定を受けておくと、不在になる一定期間、我が家を貸して家賃収入を得ることも可能です。
この『かせるストック』認定は、長期優良住宅に認定されていればスムーズに受けられます。
逆に言えば、長期優良住宅として認められる家づくりには、こういったメリットもあるといえます。
まとめ
よく「資産価値の高い家」という言い方がされていますが、家の資産価値とは、家を売買するときの価格とほぼ同じであると言われています。
建物は経年劣化などで、その資産価値が下がりやすい傾向にあります。
一方で、「長く住み続けることができる、質の良い家」として長期優良住宅に認定されると、資産価値を維持しやすい傾向にあります。
新築一戸建てでもリフォームでも、長期優良住宅制度を利用することが可能です。
家の資産価値を高めたいと考えている方は、ぜひ長期優良住宅について検討してみてください。