長期優良住宅化リフォームとは? 9つの認定基準とお金のメリット
「長期優良住宅」は、一定の基準を満たした住宅が認定される、国の制度です。
長く住み続けられる高品質な家づくりを目的とし、環境に優しい安心な住まいを目指す、住宅性能の指針となっています。
長期優良住宅は、新築住宅を建てる・購入する際の制度として広く認知されていますが、実は新築一戸建てだけがその対象となるわけではありません。
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」をご存じでしょうか?
これは国土交通省が、既存住宅の長寿命化や三世代同居など複数世帯の同居を実現できるようなリフォームを推進している事業です。
中古住宅を購入し、リフォームを考えている方もぜひ知っておきたい、リフォームと長期優良住宅についてご紹介します。
新築一戸建ての種類と長期優良住宅制度
リフォームと長期優良住宅について知るために、まずは比較対象である新築一戸建てについてご説明します。
新築一戸建ての住宅とは、家の基礎となる土台から新しく建築する方法のことを言います。
新築住宅には「注文住宅」、「分譲住宅」あるいは「建売住宅」などの種類があります。
同じ新築住宅でも、どの住宅を選ぶかによって費用面での差や、入居までの期間、周りの環境などに違いが生じます。
新築一戸建ての場合、「注文住宅」「分譲住宅」「建売住宅」の特徴は、それぞれ以下の通りです。
注文住宅
「注文住宅」では、家の間取りや建物の配置、庭の位置や植木の位置に至るまで、自分の好みに合わせて自由度の高い家づくりをすることができます(自由度は住宅会社によって異なります)。
そのため、注文住宅では子供の成長に合わせた間取り設計をしたり、自分たちの将来を見越して廊下の幅を広く取ったり、バリアフリーにするなど、さまざまな箇所にアイデアを取り入れることができます。
ただし、希望を叶えることができる反面、予算オーバーになる可能性もあるのが注文住宅です。そんな危険をできるだけ避けるために、事前にしっかりとした予算計画を立てておきたいですね。
また、建て替えによって住宅を新築する場合、新築住宅にかかる費用に加えて解体費用も必要になります。
建物の規模によって費用は異なるため、事前にきちんと確認しておきましょう。
分譲住宅・建売住宅
「分譲住宅」と「建売住宅」、この2つに特別大きな違いがあるわけではありません。
どちらも土地と新築住宅をセットで購入する際に使われる言葉です。
分譲住宅や建売住宅の場合、間取りやデザインなど同じ仕様で建てられた家を、住宅会社が販売する形が一般的です。
そのため、注文住宅と比べて自身の意向を反映させることは難しくなっています。
一方で、注文住宅よりも価格が比較的低く設定されている点は、分譲住宅や建売住宅を購入する場合のメリットと言えるでしょう。
もちろん注文住宅でも、分譲住宅・建売住宅でも長期優良住宅制度を利用できますが、分譲住宅・建売住宅の場合は購入する際に、長期優良住宅の認定を受けられるように建てられているかどうか確認しておく必要があります。
新築一戸建てと長期優良住宅について、詳しくはこちらの記事もご参照ください。
『長期優良住宅とは?費用に関する3つのメリットと9つの認定基準』
リフォームと長期優良住宅制度
新築住宅と異なる「リフォーム」は、古くなった住まいを修繕して新築と同じような状態に回復するための改修工事のことを言います。
柱や基礎、梁などの主要部分はそのまま残し、壁紙や天井の張替えやキッチン・お風呂などの設備を取り替えたりします。
新築住宅に比べ、中古住宅は間取りや築年数によって差はあるものの、建物自体の建築費用などがかからない分、金額を安く抑えられる場合もあります。
リフォーム工事にかかる期間も新築に比べると、比較的短期で済ませることができるというメリットもあります。
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは
税制優遇や補助金制度を利用できる長期優良住宅は、長く安心して住み続けることができるための国の制度で、認定を受けるためには一定の基準を満たしている必要があります。
この制度は新築住宅にのみ適用されるものではなく、中古住宅を購入した後などのリフォームに関する基準も設けられており、長期優良住宅認定を申請することが可能です。
それが「長期優良住宅化リフォーム推進事業」です。
長期優良住宅化リフォームの認定基準は以下の通りです。
- 劣化対策
- 耐震性
- 維持管理・更新の容易性
- 可変性
- バリアフリー性
- 省エネルギー性
- 居住環境
- 住戸面積
- 維持保全計画
劣化対策
数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できることが必要です。
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造などによって細かい基準が設けられています。
耐震性
極めて稀に発生する地震に対して、継続利用のための改修工事が容易にできる措置がとられていること。また、損傷のレベルを軽減できる措置がとられていることが必要です。
維持管理・更新の容易性
定期的な点検・掃除・補修・更新などが容易にできるよう、それに応じた必要措置がとられていることが必要です。
可変性
「可変性」は共同住宅のみが対象になります。
将来的な改修工事に備えて躯体や居室の天井の高さなどが一定以上である必要があります。
バリアフリー性
可変性と同様、「バリアフリー性」も共同住宅のみが対象になります。
高齢者への配慮ができるよう廊下の幅や手すり、バリアフリーなどの措置がとられていることが必要です。
省エネルギー性
住宅の壁や窓などの開口部が断熱仕様となっていること、暖房や給湯器のエネルギー消費が高効率化されていることが必要です。リフォームの内容によって基準が異なりますので注意が必要です。
居住環境
住宅を購入する地域の景観協定や建築協定に沿った住宅であることが必要です。
住戸面積
一戸建てなら75㎡以上、マンションなどの共同住宅の場合は55㎡以上が必要です。
維持保全計画
住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分、住宅に設ける給排水のための設備などの掃除や点検・補修が容易にできる措置がとられていることが必要です。
長期優良住宅化リフォームのメリット
ご紹介した基準を満たしたリフォームによって、長期優良住宅の認定を受けた場合、所得税の控除や住宅ローンの金利引き下げなどの優遇措置を受けることができます。
また、固定資産税・不動産取得税・登録免許税などの減税措置を受けることができるのも大きなメリットといえるでしょう。
さらに、中古住宅の場合は長期優良住宅の認定を受けると、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」という、条件を満たしたリフォームは最大250万円の補助金が受けられるという制度もあります。
これも性能向上を図るリフォームや複数世帯の同居を目的としたリフォームなど、優良と認められるリフォームを行うことが条件となります。
まとめ
長期優良住宅といえば、新築一戸建てに適用されるものというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、リフォームでも「長期優良住宅化リフォーム推進事業」というものがあります。
新築一戸建て、リフォームどちらの場合でも、長期優良住宅に認定を受けると大きなメリットがありますので、ぜひチェックしてみてください。