「省エネ」って何? 日本のエネルギー問題と創エネ・ZEHとは?
現在の私たちの暮らしは、便利で安全・快適なものです。
このような便利さや快適さは「エネルギー」に支えられています。
しかしエネルギーや、エネルギーを生み出す資源には限りがあります。
家づくりにおいても、そんな限りある資源を今後どのように活用していくのかが問われています。
そこで今、世界的に広がっている「エネルギー問題」と「エネルギー対策」についてご紹介します。
「エネルギー」とは?
私たちが生きていく上で「エネルギー」は必要不可欠なものです。
エネルギーはあらゆる場所に存在しており、私たちはそれらのエネルギーを消費しながら生活をしています。
ひとことで言うと、「エネルギーとは、何かを動かす力」のことを指しています。
私たちの身体は、食物を摂取することで体内にエネルギーを蓄え、健康を維持しています。
歩いたり自転車に乗ったり、座ったり立ったりの動作一つ一つでエネルギーを消費し、足りなくなったエネルギーをまた食事で補充する、という仕組みです。
たとえば、自動車を動かすときのエネルギーは、ガソリンです。
ガソリンがなくなれば、当然自動車は動かなくなってしまうため、ガソリンを補充する必要がありますよね。
他にも、ストーブは灯油エネルギーや電気エネルギーで稼働し、エアコンやテレビ、家の照明がつくのも電気エネルギーがあるからこそ、ということになります。
これまで、さまざまなエネルギーが発見され活用されてきた中で、私たちの生活はどんどん楽に豊かになってきました。
今では、エネルギーを利用しない生活は考えられなくなってきています。
地球規模で深刻なエネルギー問題
我々が日常生活を送る上で膨大なエネルギーが消費されていますが、そんな中で深刻な問題が生まれています。
それは「エネルギー問題」です。
世界中で消費されているエネルギーは、無限ではありません。
石炭や石油、天然ガス、原子力、水力など、エネルギー源となる資源には限りがあります。
人口の増加や生活の変化によって、こうした資源がどんどん失われ、いつかは枯渇してしまうという懸念があります。
そこで見直されるようになったのが、エネルギーの使い方について。
できるだけ少ないエネルギー消費量で、これまでと同じ生活ができるように、地球に優しいエネルギーの使い方を見直す取り組みとして、「省エネ=省エネルギー」が叫ばれるようになったのです。
「省エネ」は、電気代やガス代の節約にもなることから、現在は多くの家庭や企業が取り組んでいます。
日本のエネルギー問題
1970年の石油ショック以来、省エネに積極的に取り組んできた日本。
その甲斐もあって、現在のエネルギー消費は世界平均を大きく下回っています。
しかし、エネルギー消費効率を大幅に抑えることには成功したものの、依然として日本のエネルギー自給率は低いままです。
日本で使われるエネルギーの約9割は中東からの輸入に頼っています。
日本のエネルギー自給率の低さは、供給量や価格の安定にとって、とても大きな不安要素になっています。
もし輸入先の国からの供給がストップしてしまえば、日本に十分なエネルギーを運ぶことはできなくなってしまいます。
当然ながら石油の価格も高騰し、現在のように生活家電や機械を利用することも不可能になるでしょう。
今後、日本にとっての大きな課題は、このエネルギー自給率を高めることにあると言われています。
「一次エネルギー」とは?
ひとくちに「エネルギー」と言っても、エネルギーには「一次エネルギー」と「二次エネルギー」という2つのエネルギーがあります。
そのうちの一次エネルギーとは、以下のような自然界から得られたそのままの状態の資源のことを言います。
採掘資源(枯渇性エネルギー)
- 原油
- 石炭
- 天然ガス
- ウラン
など。
自然エネルギー(再生可能エネルギー)
- 太陽光
- 太陽熱
- 風力
- 水力
- 地熱
- バイオマス
など
現在、地球上で最も使われているエネルギーは、石炭や石油などの枯渇性エネルギーです。
日本やアメリカ、中国、ロシアは特にエネルギーを大量に使っている国です。
さらにインドや中国の経済発展に伴い、今後さらに消費エネルギー量は増えていくことでしょう。
二次エネルギー
一次エネルギーを変換加工したものを「二次エネルギー」と言います。
私たちが使うエネルギーは、自然界にある状態のままでは使用することができないため、精製・乾留などの加工を施したものが供給されています。そのため、私たちが身近に感じるのは「二次エネルギー」です。
たとえば、世界で最もよく使われているエネルギー資源である原油は、石油やガソリンに精製されています。
天然ガスは、都市ガスなどに加工して使われています。
「省エネ」を考えた時にまず私たちが取り組むのは、この二次エネルギーの使用量を減らすことです。
二次エネルギーの消費量が減れば、それは一次エネルギーの消費量が減ることにもつながるからです。
求められるエネルギー対策
エネルギーのほとんどを輸入に依存している日本では、エネルギーの自給率を高めることが必要不可欠です。
そこで考え出されたものが「新エネルギー」と呼ばれるものです。
再生可能エネルギーの中でも二酸化炭素の排出量が少なく、多様化するエネルギーに貢献できうるものが新エネルギーに指定されています。
それは以下の10種類です。
- 太陽光発電
- 風力発電
- バイオマス発電
- 中小規模水力発電
- 地熱発電
- 太陽熱利用
- 温度差熱利用
- バイオマス熱利用
- 雪氷熱利用
- バイオマス燃料製造
このほかにも、ヒートポンプや天然ガスコージェネレーション、燃料電池、クリーンエネルギー自動車などの普及促進なども推進されています。
省エネ+創エネのZEHとは
ここまで「エネルギー問題」と「エネルギー対策」についてご説明してきましたが、最後にエネルギー対策として省エネと創エネを取り入れた住宅「ZEH」(ゼッチ)についてご説明します。
ZEHとはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で「ゼッチ」と呼ばれています。
ZEHは、エネルギーの収支が年間ゼロ以下、もしくは創り出すエネルギー量が消費エネルギーよりも多い住宅のことを言います。
このように、エネルギー問題への対策は、生活の場である住宅そのものでも進められています。
ZEHではまず、外気に影響されにくい断熱材を利用することで、断熱性能を高めます。
暑さや寒さに影響されないため、冷暖房の利用を減らすことができるわけです。
さらに省エネ性能を兼ね備えた設備や家電、給湯器や照明などを導入することで、エネルギー消費を減らすことができるようになります。
その上で太陽光発電などを利用すれば、エネルギーを創り出すことができるため、エネルギーの収支はゼロ以下を目指すことができるわけです。
「断熱」、「省エネ」、「創エネ」の3つが揃うZEHは、エネルギー自給率の向上とともに、地球温暖化対策としての効果も期待できます。
ZEHは、次世代を担う住宅として今後さらに注目を集めるようになることでしょう。