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工場にWi-Fi(無線LAN)を導入するメリットとは?課題や導入手順、事例まで
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工場のWi-Fi(無線LAN)導入の必要性
現代の工場では、生産の進捗確認や圧力センサー、温度センサーといった各種計測機器の利用など、高度に電子化されています。
情報を正確かつ迅速に共有するためにも、Wi-Fi(無線LAN)によるネットワーク整備は不可欠といえるでしょう。
有線LANによるネットワーク構築も不可能ではありませんが、有線LANはスイッチングハブの空き状況の確認や有線LAN設置にともなう高所工事、また床下への設置工事などが必要となり、コスト・時間がかかります。
これに対して、Wi-Fiであれば工事不要で比較的簡単にネットワーク構築が可能です。
既設の機器が設置されていても、そのまま無線LANの環境を追加できます。
【工場】Wi-Fi(無線LAN)導入メリット
在庫管理の効率化
Wi-Fi環境が整えば、在庫管理を効率化することができます。
全部署にWi-Fi環境を導入し、在庫管理システムにアクセスできるようにすれば、リアルタイムの在庫状況を関係部署のすべてで把握できます。また検品などもできるため、在庫管理の品質向上と効率が格段に向上します。
タブレットで持ち運んでの生産管理
Wi-Fi環境とタブレット端末との相性は抜群です。
生産管理システムやピッキング業務、点検業務の効率化をはかるためにタブレットを活用すれば、システムを簡単に持ち運びながら生産管理をすることが可能になります。
タブレットでの確認は、手作業をなくします。またペーパーレス化を促進することもでき、コストと環境資源の削減にもつながります。
マニュアル・図面データなどのペーパーレス化
マニュアルや図面データは紙媒体でアウトプットし、持ち運ぼうとすれば大量の資料となることは間違いありません。
またいったん印刷物にすると、その後の改訂や修正、更正内容が即時で反映されません。するとタイムリーな管理ができていないことから、発注ミスや不良品生産による後戻り作業を発生させるおそれもあります。
Wi-Fi環境が整備されることによりこの問題は解決され、スマートな情報管理とタイムリーな情報共有が可能になるでしょう。
IPカメラによるモニタリング
工場内にIPカメラを設置しモニタリングすることで、品質管理強化や作業効率アップを促進することができます。
生産ラインに設置し、期間を決めて録画すれば、期間内の品質管理を強化できます。
また、ライン全体とライン工程に立つ従業員の手元を撮影することで、生産性チェックや従業員の作業内容、作業精度を確認できるようになります。
工場でのWi-Fi導入の課題
工場にWi-Fiを導入する際は、一般とは異なる環境や課題をクリアする必要があります。
以下は工場にWi-Fiを導入する際の環境、課題の一例です。
- 金属物に遮られてしまう
- レイアウト変更の必要がある
- 敷地とコスト
- 管理システムの整備
- 環境条件が厳しい
金属物に遮られてしまう
工場には、数多くの金属製機器や部品があります。
これらが電波を遮断するケースも少なくありません。
電波が遮断されると、通信が途絶えたり電波の弱い場所が生じたりします。
工場にWi-Fiを設置する際は、金属製機器や部品が電波を遮断しないよう、設置場所を決めなければなりません。
レイアウト変更の必要がある
生産設備の追加・配置変更が行われると、電波の通信環境が変化するケースも多くあります。
無線LANの設置場所を都度変更する手間が生じないよう、生産設備の追加、配置変更を考慮して、アクセスポイントの設置場所を決める必要があります。
どのようにアクセスポイントを設置すればよいかわからない場合は、産業用Wi-Fiの専門業者に相談するのがおすすめです。
敷地とコスト
工場はオフィスと比べて敷地面積が広いです。
このため、Wi-Fiのアクセスポイントの数も多くなります。
安定した通信環境を維持するために、敷地全体の通信環境を管理しなければなりません。
これらの理由から、工場のWi-Fi設置・運用はオフィスと比べてコストがかかります。
管理システムの整備
広大な敷地のWi-Fiを管理するためには、Wi-Fiの管理システムの整備も必須です。
多数のアクセスポイントを管理する必要があるため、手動でひとつひとつ管理するのは工数がかかります。
多数のアクセスポイントを一元管理できるシステムを導入して、管理工数を減らしていきましょう。
環境条件が厳しい
工場の環境は、高温や低温、粉じんなど環境が厳しいところもあります。
厳しい環境条件の中でも、問題なく稼働するWi-Fi機器が必要です。
一般用のWi-Fi機器だと、厳しい環境条件には耐えられません。
厳しい環境条件で使う際には、産業用のWi-Fi機器がおすすめになります。
工場でのWi-Fi導入方法
工場でWi-Fiを導入する方法として、以下の3つが挙げられます。
導入方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
中継器の使用 | 現在使用しているネットワークに追加する形でネットワークを拡張できる | 導入コストがそこまでかからない | 中継器で電波を拡張する元のWi-Fiが必要 |
無線LANコントローラーと無線アクセスポイントの設置 | 複数の無線アクセスポイントを集約して管理する | 大規模ネットワークでも一括して管理できる | 有線接続がデフォルトであるため、導入コストがかかる |
メッシュWi-Fiの利用 | 複数のアクセスポイントを連携して、網目状のネットワークを形成 | 特定のWi-Fi機器が故障した場合でも、他の経路で通信を継続できる | 中継ポイントが多くなると、通信速度が遅くなりやすい |
各導入方法について、詳細を確認していきましょう。
①中継器の使用
中継器とは、電波を増幅させる装置です。
電波が弱いエリアに設置することで、Wi-Fiの範囲を拡張できます。
また、現在使用しているネットワークへ追加可能です。
導入コストがそこまでかからないため、Wi-Fiエリアを手軽に拡張したい際におすすめの方法です。
②無線LANコントローラーと無線アクセスポイントの設置
無線LANコントローラーとは、複数の無線アクセスポイントを集約して管理する装置です。
有線LANで無線アクセスポイントに接続して、各Wi-Fi機器の設定、トラフィックを管理します。
無線LANコントローラーは、製品によって管理可能な台数が異なります。
大規模な台数管理に対応するコントローラーもあるため、ネットワークの規模が大きい際にも対応可能です。
ただし無線LANコントローラーは有線接続がデフォルトであるため、接続にともなう導入コストがかかります。
③メッシュWi-Fiの利用
メッシュWi-Fiとは、複数の無線アクセスポイントを連携することで網目状のネットワークを形成する技術です。
メッシュWi-Fiを形成することで、各無線アクセスポイントが自動的に最適な通信経路を選択します。
特定のWi-Fi機器が故障した場合でも、他の経路で通信を継続できるため、ネットワークの冗長化を図りたい際に最適です。
ただし中継ポイントが多くなると、通信速度が遅くなる傾向にあります。
このため、大規模なネットワークを構築したい際はメッシュWi-Fiはあまりおすすめできません。
工場へのWi-Fi導入手順
工場へのWi-Fiの導入手順は、大まかに以下の流れになります。
まずはWi-Fiを導入する目的を明確にします。
通信機器、生産設備のネットワーク構築、アプリケーションの利用など、Wi-Fi導入の目的を明確にすることで、どれくらいの規模のネットワークを構築すればよいか把握できます。
工場のレイアウト図面をもとに、現地で障害物の確認を行います。
障害物の有無や位置によって、どこにアクセスポイントを設けるべきか変わってきます。
障害物の材質や高さ、厚さなどを確認して図面に記録していきましょう。
次に電波の計測を行います。
Wi-Fiやその他の電波を計測して、電波が干渉されるリスク、利用できるチャネル(周波数帯を分割してラベル付けしたもの)を確認しましょう。
電波の計測結果をもとに、無線アクセスポイントの設置場所やWi-Fiエリアをレイアウト図面に記載します。
無線アクセスポイントは、周りを見渡せる高所に設置するほか、接続可能な端末数を考慮して設置場所を決めましょう。
無線アクセスポイントの設置場所が決まったら、仮設置して実機で電波状況のテストを行います。
高さを調整しつつ、電波がどこまでカバーできるかチェックしていきましょう。
テストの結果、電波エリアに問題がなければ無線アクセスポイントの最終設置場所を決定して設置工事を行います。
工場・倉庫へのWi-Fi導入事例
ピップ株式会社様
ピップ株式会社様は、ピップグループ(フジモトHD)の事業会社のひとつで自社製品である磁気治療器の開発・製造・販売をはじめとして、医療品関係、衛生品関係、日用品などの卸事業を通じて社会に暮らす人々の心身の健康に貢献しています。
今回、ピップ株式会社様の北関東センターにおける物流システム更新にあわせて、設置環境を問わない低価格オールギガSwitch-M16eGと高速無線LANアクセスポイントによる高速ネットワークを納入しました。
株式会社ヤマイシ様
株式会社ヤマイシ様は、1932年個人商店として創業以来、海産物業を生業にそれぞれの時代のニーズを先取りし特に食の安全にこだわり、自社加工製品だけでなく、食品卸売業としてもエンドツーエンドで確実なトレーサビリティを確立するためにグループ会社横断で物流システムの改善を行なっています。今回、本社・物流センターの業務用ネットワークにZEQUO 4400/2400をはじめとしたオールギガのスイッチングハブが採用されました。
お客様のご要望として、ネットワーク機器や設備の老朽化によるシステム障害を防止、ネットワーク管理者を設置せずに低コストで運用管理を行ないたいという物がありました。そこで、将来拡張にも対応できる10G対応ZEQUO 4400を冗長化でコアスイッチとし、端末までオールギガのネットワークを構築。スイッチングハブサポートアプリケーション「ZEQUO assist Plus」(無償) によるネットワークの監視、運用支援を導入し、運用管理に関して人員削減、コストダウンに成功しました。
工場におけるWi-Fi整備のポイント
拠点間を無線でつなぐ
一般的に、拠点間を有線ケーブルでつなぐには多額の工事費がかかり現実的に困難です。
しかしこの場面でリピーター機能を用いて拠点間を無線でつなげば、拠点ごとでのネットワーク契約が不要となり、工事費用を削減しながら低コストでのWi-Fi整備が実現できます。
屋外でWi-Fiを使う
屋外エリアをWi-Fiでカバーするには屋外用のアクセスポイントを設置する必要があります。
このアクセスポイントを使用することで、屋外でモバイル端末を使用できるようになり、屋外での業務の負担を軽減できます。
IPカメラを使用したいと考えているのであれば、アクセスポイントの設置は重要ポイントとなるでしょう。
工場や倉庫業におすすめのWi-Fi(無線LAN)設備・サポート
AIRRECT AP-6410(PN91564)
法人向けのWi-Fi6(11ax)対応無線LANアクセスポイントです。
4×4モデルモデルとなっており、セキュリティ専用アンテナ搭載、クラウド型無線LANコントローラで一元管理可能。クラウド型無線LANコントローラで一元管理可能。Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)対応により、従来発生していた複数クライアントとの同時接続による通信速度低下や通信切断などの通信パフォーマンスの低下を抑制できます。
AIRRECT AP-6810(PN91568)
法人向けのWi-Fi6(11ax)対応対応無線LANアクセスポイントです。
こちらは8×8モデルモデルとなっており、セキュリティ専用アンテナ搭載、クラウド型無線LANコントローラで一元管理可能です。
なお、8×8モデルの特長として、スループット※が最大4.8Gbpsの高速無線LAN環境を提供できます。(4×4モデルは最大2.4Gbps)また、デュアルポートを備えているため、片側のポートに障害が発生しても、もう片側をスタンバイ状態にさせているので、電源の冗長化が可能となり、通信ができなくなる状態を軽減できます。
価格は税抜で標準価格:206,500円となります。
工場のWi-Fi(無線LAN)の整備をするならパナソニックEWネットワークスへご相談ください
パナソニックEWネットワークスは、スイッチングハブを中心としたネットワーク構築、セキュリティシステムをトータルソリューションとしてご提案します。
工場のWi-Fi環境の整備を検討するなら、パナソニックEWネットワークスへご相談ください。
お客様の希望と未来を創造するために、全力でサポートさせていただきます。
工場の無線LAN導入の検討をはじめてみませんか?
この記事では、工場にWi-Fi設備を導入することでどんなことが実現可能になるのか、また環境整備のポイント、導入費用や導入事例について解説しました。
工場や倉庫など、広大な敷地や大規模な建物でシステムを稼働、また運営していくには、Wi-Fi環境の整備が不可欠です。
さらなるシステム安全率と稼働率を守るため、また自社の未来を守るため、工場のWi-Fi環境を整備し、作業効率化を検討してみてはいかがでしょうか。