渋谷保育園は渋谷区の公募型プロポーザルだった建物。入札にあたり、建設地の周辺は道路の幅員が狭く搬入経路が狭小だったことから、鉄骨造・RC造では実質的に対応困難な狭小な搬入経路であっても対応しやすく、木造では難しい大スパンも実現できるテクノストラクチャーが選定されました。
分割搬入可能な大スパン梁材で大空間を実現
保育園の遊戯室で必要になる大空間には、分割搬入が可能な「グランドテクノビーム」を活用。1階に7.5m、2階には10mの柱のない大空間で園児たちがのびのびと活動できる空間を実現しました。
耐火構造への対応準耐火構造の併用でコストを軽減
建物の延床面積が1000㎡を超えるため、耐火建築物対応が必要でした。
耐火構造にも対応可能なテクノストラクチャーで一部を耐火構造とし(約347㎡)、その他の部分を準耐火構造(約996㎡)とすることでコストを軽減。
軽減できたコストは仕上げに充て、無垢の材料をふんだんに使用して温かみのある雰囲気を実現しました。
貴重な土地を最大限に活用できる部材
道路に面している外周部は斜めテクノビームと斜め接合金具を使用した「斜め壁」を用いて敷地を最大限に活用。
貴重な土地を有効に活用しました。
段差のないバルコニーとプールの重さを加味した構造計算
2階バルコニーは夏場の日射病・熱中症対策として、一部明かり取りを設けた屋根のあるバルコニーとして計画。園児の行き来もあることから「段差テクノビーム」を使用し、デッキ材を敷くことで室内と屋外の間に段差のないフラットな仕上げに。
また、デッキに設置する簡易プールの水の荷重も加味して構造計算を行いました。
奥行きのあるデッキは雨の日の外遊びにも活用されています。
小型エレベーターでバリアフリーに対応
施設内に設置するエレベーターには、必要なスペックを十分に満たすパナソニックの小型エレベーターを選定。
業務一般用エレベーターに比べ、初期コスト、運用コストともに削減することが可能でテクノストラクチャーの躯体に直接ガイドレールを取り付けられるため、設置スペースも小さくすることが可能です。
搬入困難地に対応する輸送性の高さ
建設地周辺の道路は幅員が狭く大型車両の通行が困難なエリアでしたが、部材を分割して搬入して現場で接合が可能なテクノストラクチャーの輸送性の高さを生かして対応。
入念な納入計画を練り、上棟の進行にあわせてレッカー車を移動させながら上棟しました。
太陽寮は、施設を構成する10棟の建物を回廊でつないだ児童養護施設です。
建物と建物の間には庭を配置し、家庭環境に近く、地域にも開かれた明るい施設を実現しています。
延床面積は約1,900㎡ 「生活棟」8棟と、講堂、多目的ホール、プレイルームのある「管理棟」など計10棟にテクノストラクチャーが採用されています。
建物軽量化によるコスト圧縮
計画時、建設地の支持層が深いことから、建物を木造にして軽量化することを検討していました。
木造で建物重量が軽いテクノストラクチャーであれば大がかりな地盤改良工事が不要であることと、S造に近い大空間も実現できることが決め手に。
また、建設直前の2016年に熊本地震があり、災害時に地域を支える役割の重要性を再認識されたこともあり、耐震性の高いテクノストラクチャー工法が採用されました。
10棟の建物を
エキスパンションジョイントと
木造の回廊でつなぐことで
経済性を向上
それぞれの建物の独立性を保ちながら、程よい距離感で連携させるという意図で、中央の建物から複数の建物が分岐する配置に。
不整形な1つの構造体とせず、整形に近い個々の建物をエキスパンションジョイントと木造の回廊でつないでいます。
構造的に独立した建物を、設計上合理的な部分で連結するという選択をすることで、建物の一体的な使用と経済性の向上を同時に実現しました。
約8×9mの大空間を実現
講堂やホールなど大空間が必要な管理棟は、最大10mの無柱空間が実現できる「グランドテクノビーム」を使用し、8.55m×9.5mの大空間を実現しています。
木造では対応が難しい大空間を実現できるテクノストラクチャーの特長が生かされています。
パナソニックのサポート
上棟工事は4期に分け、敷地の奥から順に施工を進め、部材搬入や工事がスムーズに進むよう計画。
テクノストラクチャーの非住宅は、構造計算をパナソニックが行い部材を搬入するだけでなく、施工計画や施工後の構造用金物検査についてもしっかりとサポートしています。
桜美林ガーデンヒルズは、大学のキャンパス内に立地し、子どもから高齢者までの幅広い年齢層の人々が同じ敷地内に集う、21世紀型のコミュニティ施設です。
約7,300㎡の敷地にある、高齢者住宅2棟、学生寮1棟、ファミリー住宅1棟、合計4棟でテクノストラクチャーが採用されています。
大空間の実現
高齢者が関わる施設のため、温かさを感じる木造が求められていましたが、食堂や集会室などの大空間を実現できるかが課題でした。
テクノストラクチャーは、木と鉄の複合梁「テクノビーム」の強度を生かし、大スパン・高天井を実現しています。
片持ち梁の活用
木の片持ち梁は、先端部分のたわみ量が大きくなるのがネックですが、テクノビームの強度を生かせば跳ね出し長さ1,820mmまでの持ち出しが可能。
片持ち梁で2階廊下を支え、開放廊下を実現しています。
高い施工性と工期の短縮
施工者にとって重要な問題の工期。
テクノストラクチャーは現場の建て方を考慮して組み立て手順が合理化されているため、桜美林ガーデンヒルズの施工時は、建て方の期間を大幅に短縮でき、他の工程にじっくり時間をかけることができました。
コストメリット
鉄骨造にひけをとらない機能性だけでなく、そのコストパフォーマンスの高さも、テクノストラクチャー採用の決め手になりました。