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職場改善

2022.06.03

リテンションの意味とは? 人材確保が課題の人事とマーケティングでよく聞く用語を解説!

リテンションの意味とは? 人材確保が課題の人事とマーケティングでよく聞く用語を解説!

近年よく聞かれる言葉のひとつに「リテンション」があります。retentionという英単語そのものの意味は「保持、維持、引き留め」などです。企業の人事では離職率の改善、人材の流出防止・引き留め策とその取り組み全般の意味で使われています。当記事では、マーケティング分野でも使われているリテンションの意味や内容について解説します。

リテンションには主に2つの意味がある

退職者を出さない取り組みを意味するリテンション

リテンションは主に人事領域・分野とマーケティング領域・分野で使用されている言葉です。人事の領域・分野における「リテンション」は人材維持の取り組みを指す言葉として注目され、使用されています。リテンションに注目が集まっている主な理由は、既存社員の退職を防ぐことが重視されているためです。優秀な人材を採用しても、簡単に退職されてしまっては大きな損失となってしまいます。

既存顧客との関係性を維持する取り組みを意味するリテンション

人事領域とは別に、マーケティング領域においてもリテンションが使用されています。維持する対象は顧客です。既存顧客との良好な関係性を維持するための取り組み全般を指しています。現在の企業にとって、既存顧客の囲い込みは後回しにできない重要な課題です。

人事分野でリテンションが必要になる背景

人口・労働力の減少

2022年現在、少子高齢化が進み人口減少が避けられない日本社会においては、労働力の減少も深刻な問題になりつつあります。

総務省統計局が公表している労働力調査によると、2021年平均の労働力人口は2年連続の減少で6860万人です(※1)。2019年までは7年連続で増加していましたが、人口減少が避けられない以上、大きな期待はできないでしょう。

売り手市場と呼ばれる採用現場で生じるのが人材の奪い合いです。他社との人材争奪戦に敗れれば、人材の確保ができません。供給過多の買い手市場が見込めない以上、社内の優秀な人材を流出させないための施策、つまりリテンションをより強化する必要があります。

※1 出典:総務省統計局 労働力調査(基本集計)2021年(令和 3年)平均結果の概要 P.1

多様化する社会環境と働き方改革

現代の日本社会は多様化の時代に入っており、社会環境の変化と働き方改革の大波もリテンションの重要性につながっています。定年までの継続勤務を前提として、同じ時間に一斉に出勤・退社するといった画一的な働き方が当たり前だった雇用形態はすでに過去のものだといえる状況です。

各自が個別の事情や希望をベースに勤務先を選ぶ時代に入っており、ワークライフバランスへの対応が求められています。人材流出を抑えるには会社組織や制度の柔軟さが必要です。

競争力の維持と強化

雇用が流動化する社会において、確保すべきは単に労働力という数的な資源だけではありません。市場におけるサービスや商品の差別化が欠かせない事業活動において、それぞれの社員がもつノウハウを含めて他社に対抗する競争力を維持・強化する必要があります。

経験やノウハウは一朝一夕に得られるものではないため、新規採用だけでカバーできるものではないでしょう。ノウハウとセットで人材を揃えるには、積極的なリテンションが重要です。

人材確保の目的で実施される具体的な施策

金銭的報酬

人材の流出を防いで必要な人材を確保する目的で実施される施策を報酬と呼ぶ考え方があり、金銭的報酬と非金銭的報酬があります。金銭的報酬は給与やボーナス、各種手当や成果に対するインセンティブなど直接的で目に見えるため、高額にすることでより効果を得やすい施策です。

ただし、金銭的報酬はアップした時点でそれがベースとなってしまったり、単発で終わったりすることから効果の持続性への疑問があります。また、他社がより高い報酬を示すことで引き抜きのリスクが生じかねません。だからといって常にアップし続けるわけにはいかないでしょう。企業の体力にも個人の頑張りにも限界があります。そのため、金銭的報酬だけのリテンションよりも、非金銭的報酬とセットで実施するリテンションのほうが効果を期待できるようです。

非金銭的報酬

報酬という言葉からはイメージしにくいかもしれませんが、職場環境の改善や勤務形態の柔軟さ、キャリア形成などが非金銭的報酬の代表例です。その多くは個人の頑張り次第で多く得られる性質のものではありませんが、この企業で働きたいという意欲を引き出すためには欠かせない報酬となっています。

各種の表彰制度や特別休暇といった他社と比較しやすい施策もあれば、キャリアに関する相談体制や風通しのよさなど比較しにくい施策もあるのが非金銭的報酬です。育児休業制度やテレワークの実施など、ワークライフバランスに対応した勤務形態の実施なども広義の非金銭的報酬に含まれます。

人事分野のリテンションのメリットと注意すべき点

主なメリット

リテンションが成功して人材の流出を防ぐことができれば、主に以下のメリットを得られます。

・コストダウン

まず、人材流出による欠員を補充するための採用コストをカットできます。求人媒体や転職エージェントなどを利用する必要がなくなるだけでも大きなコストダウンです。さらに、教育担当者や外部研修機関の利用も含めて補充人員分の教育にかかるコストが必要なくなります。

・ノウハウの蓄積

人材が長く勤めることで自社の業務に関する経験とノウハウを蓄積できます。各部門に経験とノウハウを蓄積した人材が揃えば、質の高い業務の遂行が実現するだけでなく、さらなる飛躍を期待可能です。

・長期的な業務推進の実現可能性アップ

リテンションが効果を発揮することで、長期的な業務推進が可能となり、経営も安定しやすくなります。人材が流動的な職場では、人が入れ替わる度に中断、頓挫する恐れがあるためじっくりと腰を据えて取り組むような業務の計画が困難です。

動機付け要因と衛生要因

リテンションでは、動機付け要因と衛生要因の両方に対応する必要があります。

・動機付け要因

その存在がなくても直ちに不満が出るわけではなく、存在によって満足感が得られる要因のことで、やる気につながります。主な動機付け要因は達成や承認、責任や権限をもつことなどです。

・衛生要因

衛生要因は動機付け要因とは逆で、あれば満足するわけではなく、なければ不満を感じる要因です。したがって、不満を感じさせないために整備する必要があります。主な要因は給与や職場の人間関係、福利厚生などです。金銭的報酬でも触れた給与については瞬間的には満足するかもしれませんが、多ければ多いほどよい性質のものであり、本質的な満足とは遠いといえるでしょう。少なければ不満につながることはいうまでもありません。

マーケティング分野のリテンションが必要になる背景

費用対効果の問題

マーケティングの領域・分野でリテンション、つまり顧客の維持が重視される背景には、費用対効果の問題があります。業容拡大には新規開拓が欠かせませんが、まったく付き合いのない顧客を獲得するためには接点を作るところから始めなければなりません。そのため、新規の顧客を作るコストは大きなものとなりやすく、かけたコストに見合う成果が保証されているわけではない点も懸念されます。

一方、既存顧客とは一定の関係性が存在することから、大きなコストをかけることなく用件に入りやすい点がメリットです。企業の限られたリソースで結果を出すためには、新規開拓よりも費用対効果が高いとされる既存顧客維持を重視することになるのは必然といえるでしょう。

新規市場の競争激化

新規獲得が得意な企業であってもリテンションを軽視できません。不得意な企業であればなおさらです。リテンション重視なら、新規市場が小さくても、競争が激しくても業績への影響が小さくて済みます。

顧客維持の目的で実施される具体的な施策

情報発信

マーケティングにおけるリテンションでは、顧客維持に役立つ情報発信が活発に行われています。企業のブランディングや商品紹介を目的としたメルマガの発行もその一例です。他社と差別化して顧客を維持するためには、会員サイトでの魅力的なコンテンツの提供や個々の顧客を意識したコミュニケーションツールなどによる情報発信が欠かせません。

優待などの特別感とお得感の提供

顧客を維持するためには自社のリピーターであることのメリットを感じさせる必要があります。利用状況に応じた優待制度やポイント付与などは、広く行われているリテンションの代表例です。顧客が同業他社へ流れてしまうケースの中には、特別感やお得感を提供できていない例が多く存在すると考えられます。自社の既存顧客にとって必要なモノをしっかりと検討する必要があるでしょう。

マーケティング分野のリテンションのメリットと注意すべき点

小さいコストでブランディングに有利

背景の解説でも述べたように、既存顧客へのアプローチは低コストで行えます。商品やサービスのメンテナンスや関連グッズの販売を通じて顧客との関係を深化しやすく、それによりコストを抑えたブランディングが可能です。ブランディングができてしまえば、長期にわたり優良顧客となる期待がもてます。

顧客ごとの対応が必要になる

リテンションを成功させるためには一覧表に載っている顧客を十把一絡げにしてはいけません。個別にきめの細かい対応が必要となります。失敗してもゼロがゼロのままという新規開拓とは異なり、リテンションが上手くいかずに顧客離れを起こしてしまえばゼロどころかマイナスです。

前述の情報発信やお得感などの施策を効果的に実施するには、支援ツールなどを用いたCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)の活用など、大量のデータ管理と運用が必要になります。

リテンションは的確な施策が伴ってこそ成功する

リテンションの成功は人事における人材流出防止にせよ、マーケティングにおける顧客維持にせよ、的確な施策の実施にかかっています。人事担当者なら自社の人材に必要な施策は何か、どこに不満があり、何があればより高い満足につながるのかを考えて実施しましょう。

マーケティング部門なら顧客管理とコミュニケーション体制のブラッシュアップ、お得なリピート促進策の実施がポイントです。

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