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職場改善

2022.1.31

従業員満足度とは何を指す?向上で得られるメリットや取り組み方法とともに徹底解説!

従業員満足度とは何を指す? 向上で得られるメリットや取り組み方法とともに徹底解説!

従業員満足度が高い企業は人気も高くてよい企業だといわれます。しかし、何に満足するかは人によってさまざまです。具体的に何に満足していれば従業員満足度が高いといえるのでしょうか? また、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、満足度向上のための取り組みはどうすればよいのかといったことも含め、さまざまな疑問点について解説します。

従業員満足度の意味と注目された背景

従業員満足度は企業の業績を左右する力をもっている

従業員満足度とは、会社や団体、組織(以下企業とします)で働く社員などの構成員(以下従業員とします)が感じている“今の状態”に対する満足度を指すものです。英語表記の Employee Satisfaction の頭文字から“ES”の略語で呼ばれることもあります。

企業の経営者にとっては従業員満足度を高くすることで、人材を確保し自社の発展につなげる狙いがありますが、満足を感じる主体は個々の従業員です。ある施策に満足する従業員がいたとしても、すべての従業員に効果があるとはいいきれません。それだけに、従業員満足度対策は簡単ではないといえます。

少子高齢化の労働力人口減少で注目されるようになった従業員満足度

従業員満足度が注目されるようになった背景には、少子高齢化社会の到来による労働力人口の減少があります。絶対的な労働力が不足してくると、雇用の現場はいわゆる売り手市場となり、企業にとって必要な人材の確保が困難な状況が生まれることが大きな要因です。

人材の流動化も従業員満足度重視の背景に

売り手市場になると新規採用だけでなく、従業員の定着率にも悪影響が生じます。より満足感の高い企業を求めて転職する優秀な人材が増えるためです。離職者が多く離職率も高い企業という噂が立つと、さらに新規採用も難しくなりかねません。人材の流動化を抑えるためにも、従業員満足度を重視する必要性が高まったのです。

顧客満足度の向上を目指すうえで重視された部分もある

顧客満足度の向上を目指す企業にとって、避けて通れない課題となったのが従業員満足度の重視です。顧客満足度を上げるには、提供する商品やサービスが優れていなければなりません。優れた業品やサービスは、レベルの高い従業員によって生み出されます。そこにあるのは、「レベルの高い従業員を満足させなければ、転職されてしまうなどして顧客に優れた商品やサービスを提供できなくなる」という危機感です。

従業員満足度は5つの満足で構成されている

企業のビジョンへの満足・共感

従業員満足度は主に5つの満足で構成されています。まずは企業のビジョンに対する満足・共感です。企業と一体となって仕事に取り組むモチベーションとなる満足です。企業への信頼感がアップする満足ともいえます。

マネジメントへの満足・納得

従業員にとって企業への満足感を直接的に左右する大きな存在が上司であり、上司のマネジメントです。上司のマネジメントが公平公正なものであり、コミュニケーションも円滑に取れていれば満足感が上昇します。また、上司から信頼されていると感じれば、さらに満足感がアップするものです。逆に嫌いな上司やマネジメントが下手な上司の下では、労働意欲を低下させ、転職を検討する可能性が高まります。

業績などに対する貢献への満足

従業員は自分の働きが企業の業績に貢献したり、顧客を始めとした社会の役に立ったりすると嬉しいものです。数字で見える部署であれば満足しやすいですが、間接部門など貢献度合いが見えにくい部署では満足を感じられない可能性があります。

職場環境への満足

職場環境への満足も従業員満足度にとって重要です。たとえば、自分にとって必要なワークライフバランスに適した働き方ができる職場環境かどうかは、従業員にとって大きな関心事であり満足感を左右する要素だといえます。

人間関係への満足

どの企業でも従業員は職場の人間関係に敏感です。上司や部下、同僚との人間関係は従業員満足度を決定づける要因といっても過言ではありません。

従業員満足度は金銭的報酬とその他の報酬に左右される

給与や賞与

従業員満足度を構成する主な満足を5つ解説しましたが、5つの満足を左右するさらに具体的な要素は何かといえば、金銭的報酬とその他の報酬(非金銭的報酬)です。

まず、給与や賞与といった直接的な金銭的報酬は従業員満足度を大きく左右します。給与や賞与が従業員にとって「標準以下」と感じるレベルであれば従業員満足度は低下してしまいますが、一定のラインを超えて「さらに高い」と感じるレベルに上がることが、必ずしも従業員満足度のアップにつながるわけではない点にも注意が必要です。

社会保険や各種手当

社会保険や各種手当を整備することも金銭的報酬です。社会保険は直接金銭で支給するわけではないため、間接的な金銭的報酬と呼ばれています。各種手当は給与や賞与と同様に直接的な金銭的報酬です。社会保険のように間接的であっても金銭的報酬である限り、一定レベルに達することで、従業員満足度の上昇がそれ以上期待できなくなる可能性が高いといえます。

福利厚生

福利厚生が金銭的報酬か非金銭的報酬といえば、内容によってどちらにもなり得ます。経済的な利益を伴うものであれば間接的な金銭的報酬です。たとえば、交通費の支給や社宅の提供、保養施設の割引利用などが該当します。上記の社会保険や手当の多くも福利厚生の1つです。成果を上げた従業員に対する特別休暇などは非金銭的報酬となります。

就業場所や勤務時間

ワークライフバランスに配慮した就業場所や勤務時間を設定することも従業員満足度を高める要素です。これらは非金銭的報酬といえます。

人事制度

人事制度は非金銭的報酬の中でも従業員満足度をより高める可能性をもつ要素です。公平公正な人事評価や人材育成におけるキャリア開発などは、従業員自身の承認欲求と密接な関連をもちます。承認欲求の満足には上限がないともいわれており、金銭的報酬と組み合わせることが重要です。

業務内容とやりがい

業務内容とそのやりがいも非金銭的報酬で承認欲求に関係してきます。満足できる業務内容であれば積極的に仕事に励み、与えられた目標を超える生産性を上げるなど、よりよい結果を出すことも可能です。それが評価という承認につながれば、さらなるやりがいを感じるという好循環も生まれるでしょう。業務内容とやりがいには、上司から仕事を任されるという承認も含まれます。

人間関係とコミュニケーション

職場における良好な人間関係とコミュニケーションは、それ自体が満足感をもたらす非金銭的報酬であり、従業員満足度の向上につながる業務効率の改善や生産性の向上、業績アップの要因ともなるものです。

キャリアプラン

キャリアプランを示すことも従業員満足度を左右する非金銭的報酬です。自分の仕事を進めることが、どのような未来につながるのかを明確に示されていれば、目標の実現に向かって成長することもできます。しかし、将来的な結果が見えない中で仕事をしなければならないと、不満を感じてしまいかねません。

従業員満足度の向上で企業が得られる3大メリット

人材の雇用が安定する

既に述べたように、企業が従業員満足度を重視する主な目的には社内の人材の流動化を防ぐことと、優秀な人材を新規に採用することが含まれています。つまり、従業員満足度の向上で企業が得られる大きなメリットの1つが、人材の雇用の安定です。雇用が安定すれば、採用活動の管理コストも抑えられ、長期の人材育成の計画も立てやすくなります。

生産性が向上し業績が上がる

従業員満足度の向上は生産性の向上と業績アップにつながります。ポジティブな姿勢で取り組む従業員が増えることにより、事業内容にかかわらず活気のある職場となり、情報共有によるフォロー体制が整ったり、業務効率の改善策や新規事業の提案などプラスの動きが活発化したりするためです。

顧客満足度がアップする

従業員満足度の向上は顧客満足度アップにもつながります。すでに述べたように、優れた商品の開発・生産やサービスの提供を実際に行うのはレベルの高い従業員です。従業員満足度が高い企業の従業員は総じてやる気に満ちており、レベルが高い傾向にあるといえます。

そして、その商品やサービスを利用する顧客は性能や利便性に満足するとともに、従業員が見せる気持ちのよい対応にも満足を感じるという流れです。

従業員満足度と顧客満足度の関係に要注意

従業員満足度の向上が顧客満足度も押し上げる好循環を示している場合はよいですが、両者は必ずしも一致しないものである点に注意が必要です。ケースによっては相反することもあり得ます。

たとえば、優れた商品やサービスを生み出せば、給料などの報酬アップが考えられます。企業が提供する商品やサービスの価格に転嫁されないレベルなら問題になりませんが、報酬アップによって商品やサービスの価格が上昇するなら顧客側の利益、つまり満足度と反するものです。また、顧客の要望を満たすために過重労働をしなければならないようなら、従業員満足度を低下させることになってしまいかねません。

従業員満足度を向上させる取り組み方法

理念とビジョンを浸透させる

従業員満足度を向上させる取り組み方法として、企業理念とビジョンの浸透があります。理念やビジョンが浸透すれば、共感や満足を覚える従業員が増えます。その時点で期待値による従業員満足度は向上しているといえるでしょう。さらに、ビジョンが実現した姿に興味をもち、見てみたい気持ちが芽生えた従業員が実現に向かって頑張ることで、自身の貢献ややりがいによる従業員満足度の向上につながります。

管理職も含めた適材適所の人材配置

管理職も含めた適材適所の人材配置は従業員満足度の向上に役立ちます。自分の能力や適性に合っていないと感じる部署や業務に配置された場合、従業員には不満が生じやすいものです。また、マネジメント能力に疑いがある人物が管理職に配置されたり、自分が適していると感じているポジションに自分ではなく、不向きな同僚が就いたりすると、企業に対する不信感につながりかねません。ただし、適材適所の人材配置をするためには、各自の能力や適性を正しく把握する必要があります。

コミュニケーション活発化の施策

活発なコミュニケーションは明るい職場環境を作り、従業員に前向きな意識をもたせることで従業員満足度の向上につながります。必要な施策としては、まず経営者や上司から円滑なコミュニケーションを図ることです。話しかけるのも躊躇してしまうような仏頂面の上司ではなく、話しやすい上司が率いる職場であれば、コミュニケーションが活発化するまでに長くはかからないでしょう。

ワークライフバランスを考慮した制度設計

ワークライフバランスについてはここまでにも触れていますが、多様な働き方がある現代においては時短やテレワークなどの制度設計が従業員満足度の向上に欠かせない要素となっています。

適正な評価ができる人事制度

非金銭的報酬の中でも重要な人事制度は、常に適正な評価ができる仕組みを作っておく必要があります。正しい評価は、承認による従業員満足度の向上につながる大事な取り組み方法です。

福利厚生の充実

福利厚生には法定福利厚生と法定外福利厚生があります。法定分はあって当然で、企業によって異なるのが法定外の福利厚生です。交通費など一般的なものはもちろんのこと、従業員にとって報酬としての価値があり、他社にはない独自の福利厚生を充実させることが従業員満足度の向上につながります。

従業員満足度の調査方法

従業員満足度の調査は従業員に対する聞き取りで行います。現実的にはアンケート調査のような形式が主流です。これまで述べてきた従業員満足度を左右するポイントについて、簡単な評価を求める質問項目を立てます。調査の準備や実施、回答のまとめや分析に手間がかかる点は、外部サービスやアプリの活用などによって解決可能です。

取り組み事例

在宅勤務用PCを支給するサイボウズ

ソフトウェアの開発企業であるサイボウズ株式会社では、多様な働き方をしている従業員の要望に応じて在宅勤務用PCを支給しています。しかも、予算を気にせず業務の実情に合わせて複数の選択肢から選べる破格さです。会社用PCを持ち運ばなくてもテレワークができるなど、従業員のメリットは大きなものとなっています。

出典:サイボウズ株式会社 公式サイト

ワークライフバランスを重視するストライプインターナショナル

アパレルなど幅広い分野で女性が多く活躍する株式会社ストライプインターナショナルでは、短時間勤務や産前産後休業制度、子の看護・介護休暇制度などといった制度を充実させています。また、性別や国籍などにかかわらず活躍できる職場を実現するため、上記以外にもライフスタイル休暇制度などのワークライフバランスを重視したさまざまな制度を運用中です。

出典:株式会社ストライプインターナショナル 公式サイト

従業員満足度と従業員エンゲージメントの関係

ビジョンへの共感やマネジメントへの納得は従業員エンゲージメントと似ている

2021年~2022年時点において、従業員満足度と似ている概念として経済誌の記事などでも従業員エンゲージメントに注目が集まっています。従業員エンゲージメントとは、理念やビジョンへの理解と企業への信頼、そして自発的な貢献意欲を表す概念です。ビジョンへの共感やマネジメントへの納得が関係している点において、従業員満足度と従業員エンゲージメントは似ているといえます。

貢献については結果への満足と意欲との違いがある

従業員満足度と従業員エンゲージメントは似て非なるものですが、それがよくわかるのが貢献についてです。従業員満足度を高める貢献とは、自信が貢献しているという経過と結果に対するものとなっています。対して、従業員エンゲージメントでいう貢献とは、貢献意欲のことです。

従業員満足度が5つすべてで高いレベルにあれば従業員エンゲージメントの向上につながる

これまでにご紹介した「5つの満足」がすべて高いレベルにあれば、従業員満足度は従業員エンゲージメントの向上につながります。つまり、従業員満足度が高まることで、企業に対する自発的な貢献意欲も高まりを見せる、というように、「原因と結果」の関係に近いのが、従業員満足度と従業員エンゲージメントの関係性です。

従業員エンゲージメントが高ければ従業員満足度を向上させる結果を期待できる

同時に、従業員エンゲージメントが高ければ従業員満足度を向上させる結果も期待できます。先ほどとは原因と結果が逆転していますが、従業員エンゲージメントの向上がもたらすメリットは企業の業績アップや職場環境の改善、優秀な人材の確保などです。これらは従業員満足度の向上に必要な要素でもあります。

向上のための具体策に共通点が多い

従業員満足度と従業員エンゲージメントには、向上のための具体策に共通点が多いことも見逃せません。似て非なる概念ではあっても、相互に影響し合う重要な概念です。

従業員満足度は企業の発展を左右する要素

従業員満足度の向上は、消極的には人材の流出といったネガティブな事態を回避するために必要であり、積極的には高いレベルの仕事を成し遂げるために必要となっています。どちらにしても、企業の発展を左右する要素であることに変わりありません。注目を集め始めている従業員エンゲージメントとともに、これからも重視すべき概念だといえます。

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