オフィスを変える、未来が変わる。Switch Times

職場改善

2021.07.05

働きがいがある企業に見られる特徴とは?長く働きたいと思える企業づくりに役立てよう

働きがいがある企業に見られる特徴とは?長く働きたいと思える企業づくりに役立てよう

長らく日本で主流となっていた終身雇用制度が、徐々に崩壊の兆しを見せ始めています。転職が珍しいことでなくなっている現代では、会社選びのポイントのひとつとして「働きがい」を求める人が増えています。経団連も、働きがいの視点で働き方改革を考える取り組みを始めており、働きがいのある企業をつくることが急務とされています。

では、働きがいのある企業とは、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。企業の体制を整えるために心得ておきたいことを今回の記事で解説します。

働きがいの定義とは?

最初に、「働きがいがある」とはどのような状態をさしているのか、定義を確認しましょう。

従業員が自分の意思で前向きに仕事をしている状態

働きがいとは、従業員自らが勤務する企業を誇りに思い、企業が業績目標を達成するために能力を発揮しながら仕事を行うことをさします。働きがいは「働き甲斐」と表記する場合もありますが、「甲斐」には「効果や値打ちがある」の意味が含まれています。つまり「働き甲斐」という言葉には、「その企業で働くことで、どのような効果や値打ちがあるのか」を推し量る状態がこめられています。

働きがいがあることで、働くことに対してモチベーションを上げられるようになり、積極的に行動できるようになります。

「働きやすさ」と「仕事のやりがい」を兼ね備えている

世界で働きがいのあると認められた企業をランキング形式で発表している「Great Place to Work® Institute Japan」では、働きがいを「働きやすさ」と「仕事のやりがい」の両方を持ち合わせていると定義しています。

「働きやすさ」とは、職場環境や福利厚生、労働条件など、従業員が仕事をしやすい環境を整えることをさしますが、これは目に見えやすく、働き方改革で重要視されている内容と同様です。「やりがい」とは、仕事に対する意欲が高く、自らの業務に前向きに取り組むことを意味し、思考であるため目に見えにくいとされています。

働きやすさとやりがいの双方が作用してこそ、働きがいが高まり業績の向上につながっていきます。

SDGsでも注目が高まっている

2030年までの国際目標として掲げられているSDGs(Sustainable Development Goals )にも、働きがいについての目標が盛り込まれています。

8番目の目標として、「働きがいも経済成長も」と掲げられ、全ての人がディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に就けるよう取り組みが行われています。日本でも、働き方改革を始め、同一労働同一賃金、ICTの活用などを通じて「働きがい」に注目が集まるようになってきました。

働きがいはなぜ重視されるようになってきたのか?

働きがいは、企業で働くのに重要な要素です。近年特に重視されるようになってきたのはなぜでしょうか。

従業員の主体的な行動が求められるようになった

さまざまな変化が巻き起こる現代は、「VUCAの時代」と呼ばれるようになりました。VUCAとは、次の4つの単語から頭文字を取った造語です。

Volatility…変動性(予測ができないほど激しく変動している)
Uncertainty…不確実性(この先の変化が分からず、不確実な要素が多い)
Complexity…複雑性(あらゆる要因や要素が複雑に絡んでいる)
Ambiguity…曖昧性(確実な解決方法が見つけられず、曖昧な状態が続く)

元は、1990年代頃からアメリカ軍が使い始めた軍事用語でしたが、2010年代からビジネスの場面でも用いられています。

これまで企業が行ってきた方法が時代の流れに対応できなくなり、今後通用しなくなってしまう可能性は十分考えられます。従業員が、主体性を持って新たなアイディアを提案しやすい職場環境を整備することで、企業変革が期待できるうえ、従業員の働きがいにもつながっていくのです。

従業員の定着率を上げる必要性が高まってきた

労働人口の減少による人手不足や、年々活気づく転職市場、フレックスタイムの導入など、現代では価値観や働き方が多様化しています。従業員が同じ企業で長く働く意欲を高め、定着率を向上させるためには、働きがいのある職場づくりが重要です。

働きがいを感じる従業員が増えれば優秀な人材が離職するのを防げ、定着率向上のきっかけとなります。これによって、企業と従業員がともに大きく成長できるでしょう。

働き方改革やリモートワークによる自主性の高まり

働き方改革では、出された指示通りに業務を行う「受け身型労働」を改革することも目的のひとつとされています。従業員が自主性を持って業務に取り組む必要性を認識することが、働き方改革につながります。

さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、急遽リモートワークの導入を行った企業も多かったでしょう。リモートワークは、時間や場所の制限やマニュアルなどが少なく、上司からの指示もすぐに受けられないため、オフィスで働くよりも主体性が問われます。従業員が自分で考え自分で行動するには、基盤として働きがいが求められるのです。

働きがいが高いことで企業が得られるメリットとは?

働きがいが、企業と従業員の双方にとって重要な要素であることが分かりました。では、働きがいが高まると企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。

離職率・定着率・生産性などの改善が期待できる

厚生労働省が2019年に発表した「労働経済の分析」によると、働きがいが高くなるほど離職率や定着率が改善されていることが分かっています。企業の労働生産性も高まり、従業員個人が生産性向上を認識している度合いも同じく高い数値が見られます。

業績向上につなげられる

働きがいがあると、目標達成のために従業員が自ら率先して行動を起こそうという意欲が生まれ、業務の効率が上がります。その結果、業績を上げるメリットが生まれるのです。

また、先ほどの分析から、働きがいを実感している従業員が多い企業ほど、顧客満足度が高いことも分かっています。この点からも、業績向上の要因に働きがいが大きく関与していることがわかります。

従業員の働く意欲を高められる

働きがいを感じていると、業務に対する疲労やストレスを感じにくくなります。これにより、常に前向きに業務を行うことができ、働く意欲が高められます。

自ら主体的に取り組む姿勢が見られるようになる、大きなプロジェクトを進んで引き受けるようになるなど、意欲が高いとさまざまな業務へ前向きに取り組めます。さらに、意見交換も活発になり、社内のコミュニケーションを一段と活性化させることも可能です。

働きがいのある企業にするには?

働きがいのある企業には、従業員が大きな魅力を感じます。そのために、どのような対策をとると効果が出るのでしょうか。

従業員の取り組みをサポートする体制づくりを行う

従業員が働きがいを向上させるには、企業のサポートが必要不可欠です。業務を通じた学びに加えて、業務以外にもスキル取得の機会を設けると、より充実した働き方を目指せるようになります。

具体的には、社内研修の実施、社外セミナーの参加案内、資格取得費用の助成などが挙げられます。また、国からの支援として「人材開発支援助成金」という制度がありますので、従業員の能力開発に活用していきましょう。

従業員のスキルに合わせて業務の質や量を調整する

従業員が働きがいを感じるきっかけのひとつとして、取り組んでいた業務が成功したタイミングが挙げられます。この成功体験は、小さな体験を少しずつ積み上げていく「スモールステップ」によって形成されることが分かっています。スモールステップは、従業員が自分自身の目標を決めるだけでなく、企業もしくは上司が部下に指示を出すときにも有効な手段です。

目標をどのレベルに設定するかは、従業員それぞれのスキルによって変わってきます。目標達成のために、業務の質や量を調整するのは、企業側に求められる義務と言えます。従業員個々の得手不得手をしっかりと把握し、対応しましょう。

目標を持って業務に取り組めるよう実績を適切に評価する

従業員自身が行った実績や達成した結果に対し、正当かつ公平な評価を行うことは、モチベーションを上げ働きがいにつながります。昇格や報酬など、評価の方法は企業ごとで異なりますが、従業員は自分の働きぶりを認めてもらえたと感じるものです。

目に見える実績だけでなく、目標達成のために努力した過程も評価すると、さらに働きがいを高める効果があります。他の従業員が行う業務をサポートしていたり、意識改革を率先して進めたりと、事例は幅広く想定されますが、企業が従業員の努力を見逃すことなく、評価をしてもらえるという信頼感が、働きがいを持って前向きに取り組む根底になります。

意見を言い合えるような環境づくりを進める

従業員それぞれが意見をぶつけ合うことで、新たな考え方の発見や人間関係の再確認を行うことができるようになります。意見が言えないような社風は、人間関係が良好とは言い難いものです。反対に、従業員の間で意見交換が活発にできると、コミュニケーションによって信頼関係が構築でき、安心して働けるようになります。

このような環境をつくるには、挨拶をする・相手の話をきちんと聞く「傾聴」を心がける・社内イベントを実施するなどの方法が考えられます。

企業に対する従業員の貢献度を「見える化」する

実績の評価とも関連していますが、従業員が企業にどのような貢献を行ったのかを「見える化」するのも効果的です。数値に表しにくい貢献度を「見える化」することで、モチベーションを上げられるのです。

近年注目されている取り組みのひとつに、「ピアボーナス」という制度があります。Googleが始めた制度で、従業員同士で業務内容を評価し合うものです。日々の業務で、貢献していると評価するのに値すると感じた場合に、ポイントや報酬を送り合います。

ピアボーナスの運用にはメリットも多いですが、コスト面や運用面での懸念があるのも事実です。運用を行う場合には、企業による適切な管理が求められます。

まとめ

働きがいがある企業は従業員の企業満足度が高く、労働生産性や生産効率、従業員の定着率などを向上させることができます。この結果が、企業全体の業績アップにも貢献するのです。

今回紹介した取り組みを参考にしていただき、従業員の働きがい向上に役立てていただければと思います。

関連記事