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ウェルビーイング

2021.09.13

【ウェルビーイング×テクノロジー】世界が注目する「心身の健康」とテクノロジーの幸福な関係性とは?

【ウェルビーイング×テクノロジー】世界が注目する「心身の健康」とテクノロジーの幸福な関係性とは?

ウェルビーイングは近年急速に注目を集めている言葉です。日本語訳としては「幸福」や「良好な状態」などがあります。ウェルビーイングを実現する手段の一つがテクノロジーです。テクノロジーは人間の生活の質を向上させるという点においてウェルビーイングと密接な関わりがあります。それでは、ウェルビーイングとテクノロジーの関係性は具体的にどのようなものなのでしょうか。

健康な働き方を目指すウェルビーイング(well-being)とは?

ウェルビーイングとは「幸福」と訳される言葉ですが、他にもさまざまな捉え方があるとされています。単語としての意味よりも、肉体的だけでなく精神的にも社会的にも満たされている健康な状態を概念的に表す言葉として知られています。同じ幸福を表す言葉であるハピネスとの違いは、持続することを含んでいる点です。持続といえばSDGs(持続可能な開発目標)がトレンドですが、SDGsにおいてもウェルビーイングに言及があります。

ウェルビーイングが定義され広まった背景

ウェルビーイングが概念的に定義され広まった背景には、1947年採択のWHO世界保健機関の憲章前文で健康について定義された一文のなかに、well-beingという言葉が使われていたことがあります。その部分の日本語訳は、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」です。この文中でウェルビーイングは「満たされた状態」に該当しています。

ウェルビーイングが目指すところはウェルビーイング

概念としてのウェルビーイングはそれ自体が目的であるともいわれています。つまり、心身に加え社会的にも良好で満たされている健康な状態を目指しているのがウェルビーイングです。

パートに分解できるウェルビーイング

ウェルビーイングは肉体的なものと精神的なものなどいくつかのパートに分解することができます。肉体的なウェルビーイングは、病気や怪我などの問題がなくスッキリしている状態です。精神的なウェルビーイングでは日常生活で起きるさまざまな出来事をポジティブに感じられるかどうかがポイントになります。ただし、いくつかのパートに分解したとして、多くのパートで満たされていてもトータルで満たされていない部分があればウェルビーイングとしては不完全なものといわざるを得ません。

働き方におけるウェルビーイング

働く場面においてウェルビーイングが目指す形は健康的な働き方といえます。少子高齢化社会が進むとともに、価値観の多様化や転職の一般化によって人材の確保が容易ではなくなってきている状況があり、企業にとって重要な課題のひとつです。

優秀な人材を採用し、定着率を向上させるためには、仕事内容や報酬などの待遇面だけでなく、健康な働き方ができるかどうかが大きなポイントとなります。グローバルな展開をしている企業はもちろんのこと、そうでない企業であっても働く人のバックグラウンドが一定ではなく、多様な価値観を前提とすることが珍しくない状況はこれからさらに深まっていくことが予測されます。

そのため、よりきめの細かい働き方を考えていかなければなりません。健康経営にもつながる部分であり、働く人それぞれが満たされていると感じられる健康な働き方を実現する。それこそが、働く面においてウェルビーイングが目指すところです。

新型コロナウイルスとウェルビーイング

新型コロナウイルスによって世界中が行動様式の変化を迫られました。感染への恐れや外出自粛によるストレスなど、環境の急激な変化は健康にも大きな影響を及ぼしています。企業活動に目を向けるとテレワークが増えました。メリットがある反面、リモート環境での業務コミュニケーションの難しさを指摘する声もあります。

出社する場合は通勤手段やオフィスでの感染対策、得意先との面談や接待などを行うべきか否かといった本来の業務以外に神経を使う事柄も多数です。この環境の中で、健康な働き方を考えるところからウェルビーイングへの関心が高まっています。

ウェルビーイングと身近なテクノロジーとの関係性を考える

テクノロジーとひとくちにいっても多種多様なものがあります。その中から、身近なところで一般的に広く普及しているテクノロジーとしてまず思いつくのは、Webサービスやスマートフォン、スマホアプリなどです。コミュニケーションツールとして定着しているSNSもあります。また、VRにAR、さらには人工知能やディープラーニングなども今後の進展により身近に感じられるテクノロジーとなるでしょう。

これらのテクノロジーは、心身に加え社会的にも良好で満たされている健康な状態を目指す、または示すウェルビーイングにとって、どのように影響するのでしょうか。

WebサービスやSNSに潜む危険性

世界中にある情報をいつでも自由に得られるWebサービスは、困りごとの解決に役立つなど、とても便利です。また、遠く離れた地球の裏側にいる見知らぬ人と、容易にコミュニケーションがとれるSNSや情報発信が可能なインターネット掲示板は、ポジティブなやりとりをすることで幸福度をアップさせる役割をもちます。

便利であること、役に立つこと、ポジティブなコミュニケーションによって幸福度がアップすること。これらは身近なテクノロジーがウェルビーイングに繋がる実例です。WebサービスやSNSの使用によって、肉体的な部分はともかく、精神的・社会的には満たされる可能性が十分にあるといえるでしょう。

ただし、ウェルビーイングとテクノロジーの関係はプラス面ばかりではありません。ポジティブな使用が行われている一方では、フェイクニュースやヘイトスピーチの問題が取り上げられています。さらには、SNSでの誹謗中傷やプライベートな情報の拡散といった個人攻撃、“炎上”など社会問題化しているケースも少なくありません。

ときに生命に関わる事態を引き起こしてしまう誹謗中傷。攻撃対象となった個人や団体にとって、該当するWebサービスやSNSは便利なテクノロジーとは呼べなくなります。幸せを意味するウェルビーイングとは相容れないものです。もちろん、これらはテクノロジー自体ではなく使用する人間の問題です。つまり、ウェルビーイングの観点から、便利なテクノロジーであっても使い方を間違えれば逆効果になってしまうことを常に念頭に置く必要があるといえます。

便利さは「分断」や「達成感の減少」を生む?

テクノロジーの進化によって便利になることは、短期的にはウェルビーイングとの関係で高い親和性を示すものの、長期的には逆に作用するかもしれない懸念があります。それは、疑問があってもWEBリサーチをすることで即座に難なく解決することや、複雑なテーマであっても人工知能やディープラーニングを活用することにより人の力を使うことなく解決が可能な状況においてです。

まず、友人や同僚と協力して問題解決に当たる必要性が大きく減少してしまい、コミュニケーションが滞りかねません。極論すれば人間関係の分断にも至ってしまいます。ポジティブなコミュニケーションの減少は、ウェルビーイングにとってマイナスです。また、疑問や複雑なテーマに取り組んで苦労することは、解決できたときの達成感につながりウェルビーイングにとってプラスとなります。

しかし、あまりに簡単に解決してしまうと達成感を得られなくなる可能性があるだけでなく、簡単に解決できることが当たり前となり、少しでも手間取るとネガティブな感情が生じてしまうことにもなりかねません。

  • ・人間関係の豊かさ
  • ・没頭して集中する
  • ・達成感を得る

この3つは、科学的見地から幸せについて研究する「ポジティブ心理学」でもウェルビーイングの5大要素に含まれている重要な要素です。

過度な便利さの追求は、人間が介在する余地をどんどん削っていきます。そして、人間らしくあるための重要な部分、ウェルビーイングの観点からいえば、自分の才能を発揮させるために必要な部分を削ってしまうことにつながるのです。

ウェルビーイングとテクノロジーの「良好な関係」を目指すさまざまな取り組み

ウェルビーイングとテクノロジーの良好な関係を目指して、とくに海外ではさまざまな取り組みが行われています。注目のスタートアップ4選(Lyla HealthとPaceline、wellory、それにEverlywell)と、ウェルビーイングとテクノロジーの良好な関係にとって欠かせないアプリの種類などについて紹介します。

Lyra Health

アメリカ・カリフォルニア州バーミンガムにあるLyla Healthは2015年に設立されました。企業の従業員とセラピストなどのメンタルヘルスの専門家とのマッチングを行うデジタルプラットフォームの提供がメイン事業です。新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、増え続ける遠隔メンタルヘルス需要に応えています。まさに新時代におけるウェルビーイングとテクノロジーの良好な関係を目指す取り組みです。

Paceline

アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコにあるPacelineは、個人の健康状態に応じた各種金融サービスの提供を行う企業です。注目すべき取り組みとして、活動をウォッチするウェアラブル端末とリンクされたクレジットカードの利用状況をベースとした特典の提供があります。その先にあるのは、マッチする金融商品の構築と行動改善です。ウェルビーイングと携帯端末テクノロジーの良好な関係が見てとれます。

wellory

アメリカ・ニューヨークのwelloryは、企業向けと個人向けに作られた食生活における栄養をコーチングし、健康管理ができるアプリです。栄養士の資格をもったコーチによってプランが示されることに加え、開始時にはコーチとの面接があるため安心できます。

Everlywell

アメリカ・テキサス州オースティンで生まれたスタートアップのEverlywellは、2015年の設立で各種在宅検査キットを開発・提供しています。2020年には新型コロナウイルスの在宅検査もスタートさせており、ウェルビーイングとテクノロジーの良好な関係を身近に感じさせる存在です。

ウェルビーイングとテクノロジーの良好な関係を築くアプリ

ウェルビーイングとテクノロジーの良好な関係を築くうえで欠かせないアプリが、それぞれの分野でリリースされています。

精神面のマイナス要因にアプローチするアプリとして、ストレスや不安の軽減や瞑想、不眠症対策用などのアプリがリリースされており、支援サービスに注目が集まっているところです。この背景には、新型コロナウイルス感染拡大による不安や外出制限などによるストレスフルな状況も大きく影響していると考えられます。

職場などにおける対人関係にアプローチするアプリや支援サービスとしては、テレワーク時のリモート会議などで役立つ表情の読みとりサービスが特徴的です。

生きがいの創出や目的意識に対するサービスには、スマートウォッチなどのウェアラブル端末を用いた健康管理や、ダイエットアプリ、メンタルヘルス連動などがあります。

ウェルビーイングとテクノロジーの関係はメンタルヘルス分野に注目

ウェルビーイングとテクノロジーの関係性が、これから日を追うごとに強化されていくことは間違いありません。すでに市場におけるポジションを確立したといわれており、今後はより高度なシステムやサービスの開発に期待が集まります。その中でも注目したいのがメンタルヘルス分野です。

ウェルビーイングは「持続する幸福」のことであり、それを目的とする概念でもあります。ただでさえストレスフルな現代社会であり、突発的な事象なども合わせれば心身・社会的ともに満たされる状態を阻害する要因としてメンタルの問題が大きいといわざるを得ません。人の内面に関わることであり、より高度なテクノロジーによるアプローチが必要になります。これまでは解明できなかった幸福の阻害要因を解明し、解決にまで結び付けてくれるのがテクノロジーの進化です。ウェルビーイングとテクノロジーの関係から目が離せません。

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