テレワーク

2021.07.30

テレワークで生産性を上げるには?企業ができる取り組みを紹介

テレワークで生産性を上げるには?企業ができる取り組みを紹介

働き方改革の推進により、多くの企業でテレワークの導入が進められました。テレワークを進めるうえで懸念されるのは、生産性がどのように変わるのかという点です。
オフィスで仕事をするのと同じようにテレワークで生産性を上げるには、企業が率先して適切な対策を取る行動が求められます。そのためには、どのような取り組みが有効なのか、今回の記事で解説します。

テレワークによって生産性はどのように変わったのか?

テレワークの導入前までは、「仕事はオフィスで行うもの」と感じていた人も多かったと思います。しかし、テレワークが日常となっている今、生産性に変化は起きているのでしょうか。「オフィスワーカー1000人の意識調査レポート2021」における調査結果をもとに検証してみましょう。

上がったと感じる人と下がったと感じる人がほぼ同数

レポートによると、テレワークの導入により、生産性が上がったと感じる人と下がったと感じる人の割合は、ほぼ同数という結果が出ています。
一方、従業員規模で比較すると、この割合は若干変化します。従業員が1,000名未満の企業よりも、1,000名以上の企業の方が、生産性が下がったと感じていることが分かっています。

総務省が発表した「令和元年通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、テレワークを導入した目的として最も多かったのは、「業務の効率性(生産性)の向上」という結果が出ています。多くの企業で、生産性の向上を求めてテレワークの導入を検討していることが、数字での結果として現れました。

テレワークに対する課題も浮き彫りになっている

テレワークに対して生産性を求める一方で、課題が浮き彫りになっていることも分かっています。
リモートワークの課題として挙げる人が最も多かったのは、「打ち合わせなどのコミュニケーションが取りにくい」という点でした。次いで、「仕事の環境が整っていない」「オンオフが切り替えづらい」などが、課題として挙がっています。環境が整っていないと、仕事の生産性は下がってしまうため、懸念材料として考えている人が多いことを表しています。

また、役職によって、課題と捉えている項目に差が出ていることも、結果に反映されています。オンオフの切り替えや、雑談ができない点、セキュリティ面での不安などは、部長以上にあたるマネジメント層の方が、高い割合で課題だと捉えています。 テレワークでは、社員ひとりひとりが仕事をしている様子を確認できないため、マネジメント層が課題と感じる材料も多くなっています。

今後も働き方が変化すると考える人が多数

新型コロナウイルスの感染拡大で、テレワークを導入する企業の割合は急激に増加しました。ただ、感染症が収束したのちに、テレワークが「増加する」もしくは「減少する」と考える割合よりも、「コロナで導入したテレワークなどの働き方にこのまま変化する」と考える割合が多かったのです。
しかし、テレワークの課題を懸念する声も根強く、オフィスそのものがなくなると考える人は少ないようです。

ただ、オフィス内のレイアウトを変更したり、オフィスの縮小を検討したりしている企業も見られました。これらの結果から、オフィスで働くだけではなく、オフィスとテレワークをどちらも活用していく方向性をうかがい知ることができます。

企業側から見たテレワークのメリットとは?

テレワークを導入することで、企業側にどのようなメリットが得られるのでしょうか。詳しく検証してみましょう。

固定費の削減

テレワークを導入すると、出社する社員が減少するため、通勤に必要だった交通費や、オフィスの光熱費、通信費、パソコン・デスクなどの固定費の低減が可能となります。

さらに、オフィススペースに余裕が生じることから、移転によるオフィスの統合および縮小の検討も可能となり、オフィスの賃料も削減できる可能性があります。

採用範囲を広げられる

これまでは、優秀な人材であっても、通勤できない場所に住んでいるなど、地理的条件によって採用を諦めることもありました。

テレワークを導入すると、国内外のどこに住んでいても採用が可能となり、企業にとって大きなメリットにつながります。

離職率の低下

テレワークか、もしくは出社での業務が選べるようになると、ワークライフバランスの改善が可能です。従業員が、自身のワークライフバランスに合わせた働き方を選べることで、従業員の満足度が高まり、離職率低下の効果が期待できます。

災害リスクの分散

テレワークは、BCP対策としても注目を集めています。BCP(事業継続)対策とは、災害発生時でも事業を継続する環境を整備し、企業が受けるリスクを最小限に抑えるための対策をさします。

オフィスに出社できない災害が発生した場合でも、テレワークのシステムを整えていれば、オフィス以外でも業務が続けられます。また、データのクラウド管理を行っていれば、データ損失のリスク回避が可能です。

テレワークが生産性を下げてしまうと感じる要因は?

テレワークの導入はメリットが多い反面、生産性を下げてしまうと感じる場面があるのも事実です。具体的に、どのような場面において生産性が下がると感じているのでしょうか。

意思疎通が取りづらくなる

オフィスにいるとスムーズに行える、上司や同僚とのやり取りも、テレワークでは簡単に行うことができません。業務を進める場所が別々になることで意思疎通が取りづらくなり、生産性を下げる一因となります。

業務の進捗状況が把握しにくくなる

オフィスでの仕事では、お互いが目の前で業務を進めていることが、すぐに確認できます。しかしテレワークでは、従業員の勤務状況を直接見られないため、進捗状況の把握に時間がかかってしまいます。

労働環境を整えにくい

自宅でテレワークを行うと、仕事とプライベートが混同してしまい、結果として長時間労働を招きかねません。また、オフィスとは違い、デスクや椅子などが仕事に特化した機能を持たないため、効率が下がってしまうこともあるでしょう。

テレワークで生産性を上げるための施策例は?

懸念材料も多いテレワークですが、冒頭で紹介した調査結果からも分かるように、今後も企業でテレワーク導入の継続が予想されています。テレワークのメリットを活用し、生産性を上げるには、どのような取り組みが求められるのでしょうか。

コミュニケーションが取れる環境整備を行う

テレワークの大きな課題の一つが、コミュニケーションの機会が減少することです。この課題を解消するためには、ITツールを活用した生産性向上への取り組みが重要になるでしょう。

具体的なツールとして、Web朝礼、Web会議、チャットツールなどが挙げられます。ITツールを取り入れ、従業員からも積極的にコミュニケーションをとりやすくすることで、オフィスと同じように意見交換や意思疎通ができるようになり、生産性の向上が期待できます。

特におすすめしたいのは、Web朝礼です。毎朝同じ時間に顔を合わせることで、テレワークでもオフィスと同じように1日の始まりを実感でき、業務に対するモチベーションを高める効果が期待できるためです。

適切な勤怠管理およびスケジュール管理を行う

テレワークでは、周囲に上司や同僚がいないため、オフィスに比べて労働時間の管理が困難です。管理を的確に行うには、オフィスにいるのと同じように1日のスケジュールを立て、従業員にスケジュールを提示させるような仕組みにすることが重要です。

また、テレワークにおいても業務内容の報告を義務化すると、勤怠管理をするのに効果的です。こまめに業務報告を行うことで、オフィスと同じような緊張感を保ちつつ、業務が進められます。

報告の場は、同時にコミュニケーションの場にもできます。業務上で不安な点や困ったことがある場合は、報告と同時に相談するよう、従業員に促しましょう。この取り組みにより、従業員が問題解決の糸口をつかみ、同時に業務に対して前向きな気持ちが持てるようになるでしょう。

進捗状況の報告を義務付ける

テレワークでは働きぶりの可視化が困難であり、勤務状態の把握もしにくいことから、生産性が下がると感じる場面が多いのでしょう。この課題を解消するには、勤怠管理と並行して、従業員からの進捗状況の報告を義務付ける必要があります。

進捗状況の報告で重要となるのが、報告を行うタイミングや内容などのルール制定です。ただ、ルールを制定しても、従業員への周知が徹底されていない段階で始めてしまうと、かえって生産性を下げてしまうおそれがあります。そのため、ルールを明確にしておき、従業員に周知の徹底を行ったのちに導入しましょう。

さらに、業務を進めるうちに、当初の予定通りは進まないことも考えられます。この場合の対応方法を前もって決めておくと、トラブルが起こってもスムーズに対応できるでしょう。

運動する時間を設ける

テレワークを行うと、通勤で体を動かしたり外出したりする機会が減り、運動不足に陥りやすくなります。そのため、運動不足対策として、時間を決めて企業全体で運動する時間を設けると良いでしょう。例えば、朝礼時に体操をすることが挙げられます。

人間がストレスを感じると、体内でコルチゾールというストレスホルモンの分泌が活発化されます。コルチゾールが増えることで、疲労感が増す・うつ状態になる・免疫力低下につながるなどの悪影響が報告されています。

運動を行うと、コルチゾールの分解が促進されるといわれており、ストレスを減少させる効果が期待できます。椅子から立ったり座ったりするだけでも、気分転換につなげられますので、テレワークの生産性を上げるためにも、ぜひ運動を取り入れましょう。

まとめ

テレワーク導入には、メリットと課題の両方が存在します。昨今の情勢と働き方改革により、今後もテレワークという選択肢がなくなることはないでしょう。

テレワークにおける課題を解決し、生産性を上げるために、今回ここで紹介した内容を参考のうえ、企業に合った取り組みを検討いただければと思います。

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