テレワーク
2021.05.31
テレワークの勤怠管理はツールで解決できる!課題とおすすめツールとは?
この記事では、テレワークを導入するときに課題になりやすい勤怠管理を、Teamsなどのクラウド型ツールで解決していく方法について解説していきます。後半には、おすすめのツールと勤怠管理システムを導入したことで成功した事例も取り上げました。これから、テレワーク環境を整えていきたいと考えている人は、ぜひご一読ください。
なぜテレワーク時の課題に勤怠管理が上がるのか?
勤怠管理は出退勤の時刻を管理するだけでなく、従業員の評価につながる側面があるため、テレワーク時の課題に頻繁に挙がります。
営業職など成果が目に見えやすい職種はテレワーク時であっても数字に応じて給与査定が可能ですが、バックオフィス系など成果が見えにくい職種はどれだけ働いたかという時間指標も評価の一環となります。
そのため、企業はテレワーク導入を決めると同時に従業員の評価などのさまざまな仕組みを見直す必要があるでしょう。
加えて、労働者の健康確保を図るため2017年1月より厚生労働省が公表した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」により、勤怠管理は会社の規模を問わず必ず行うべき義務に定められています。
そのため企業はテレワーク時であったとしても従業員の勤怠管理を適切に行うことは、法令を守るうえでも大切です。
また、2019年4月には、36協定で定める時間外労働時間に上限付きの罰則が設けられました。これにより、テレワーク導入後であっても法定労働時間を超過することのないような管理体制が求められます。
勤怠管理に対する法令が厳しくなる一方で、テレワークのように場所を問わない働き方を推進するためには、管理体制の課題を克服することが重要です。
エクセルやメールでは勤怠管理はできない?
企業の中には、エクセルやメールなどで勤怠管理を行っているところもあります。では、エクセルやメールを勤怠管理に使うメリットやデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
エクセルのメリット、デメリット
エクセルは、汎用性や自由度の高さにメリットがあるツールです。
普段から使い慣れている人も多いため、勤怠管理をするときにも使われやすいでしょう。一方で、勤怠管理にエクセルを使っている企業の中には、紙に各自が記録した出退勤の時刻を管理者がエクセルにまとめて報告をしているケースもあります。
この場合、従業員数が多ければ多いほど管理者の工数が増え、集計だけで時間をロスすることがデメリットとなるでしょう。
メールでのメリット、デメリット
個人アドレスをすでに取得していることが多いメールは、連絡の手段としての使いやすさがメリットのツールです。テレワークの導入を迫られた企業では、始業・就業時にメールや電話で連絡するケースも多いといいます。
一方デメリットには、メールを受け取る側である管理者の負担が挙げられます。従業員1人1人と毎日メールで連絡を取り合い、対応にあたるのは時間と労力を大きく割かれるでしょう。
Teamsなど勤怠管理機能もあるおすすめツール
ここからは、勤怠管理システムの中からおすすめのツールを5つ紹介していきます。それぞれの特徴を比べながら、ツール選びをしてみましょう。
Microsoft Teams
53言語181の国で展開されている「Microsoft Teams」は、近年の働き方改革やテレワークの導入によってさらに注目を集めているツールです。無料版と有料版には次のような主な機能があります。
<無料版の主な機能>
- ・チャットが無制限で行える
- ・1回最大60分のオンライン会議を個人やグループで使用できる
- ・ファイルストレージをチーム用で10GB、個人用で2GB利用できる
- ・Web版のOfficeアプリコンテンツが共同で編集できる
- ・組織外の人との会議やコミュニケーションが可能 など
<有料版の主な機能>
- ・会議の録画機能
- ・オンライン会議に最大250人の参加が可能(※無料版は最大100人)
- ・クラウドストレージが10GB以上
- ・Officeのデスクトップアプリによるコンテンツの共同編集
- ・企業レベルのセキュリティ対策とコンプライアンス など
勤怠管理をする場合には、勤怠管理専用のチャネルを作っておき、始業終業の連絡を一言投稿したり仕事内容をチームメンバーに共有したりすると、それぞれの仕事状況や健康状態などが把握できます。
その日の勤務形態は、個人ページの「ステータスメッセージ」に記載しておけば、在宅なのか出社しているのかも一目で判別できるでしょう。
PC版/モバイル版のアプリ 〇
無料版/有料版 〇
jinjer
1つのプラットフォームで人事業務のすべてが集約可能な「jinjer」は、2020年10月時点で13,000社の導入実績があるシステムです。勤怠管理では次のようなツールを使うことができます。
<jinjer勤怠の主な機能>
- ・PC・スマホ・タブレット・ICカードから打刻可能
- ・勤怠データを自動で集計してリアルタイムでの管理ができる
- ・シフト申請と承認が可能で、多店舗へのヘルプ依頼も可能
- ・申請や承認が必要な書類をプラットフォーム上で一括管理
- ・従業員に合わせた有休の付与や有休消化へのアラート機能
- ・従業員の予算と実績の管理とAIによる残業予測機能
- ・残業時間に対してのアラート機能
- ・英語・タイ語・ベトナム語・インドネシア語などに対応
上記の機能を使って、在宅勤務やフレックス制など、さまざまな就業規則や勤務形態に対応しています。また、使いやすさにもこだわった仕様で、管理者も従業員も簡単に使えることも特徴です。
このほか、人事管理や給与計算など企業課題に応じたさまざまなプロダクトがあり、必要な機能や予算に応じた組み合わせを連携させることもできます。
PC版/モバイル版のアプリ 〇
無料版/有料版 △(※無料トライアルは企業問い合わせが必要)
ジョブカン勤怠管理
導入実績が6万社以上の「ジョブカン勤怠管理」は、2019年4月1日から順次施行されている「働き方改革関連法」に即した管理体制を整えることができるクラウド型の勤怠管理システムです。勤怠管理の主な機能には、次のようなものがあります。
<ジョブカン勤怠管理の主な機能>
- ・モバイルGPS、LINE、Slack、PC、タブレットなどさまざまな打刻が可能
- ・管理画面をカスタマイズできる
- ・リアルタイムで状況確認ができる出勤管理機能
- ・シフトの申請から公開まで行えるシフト管理機能
- ・複雑な手続きを簡単にする休暇・申請管理機能
- ・従業員の仕事の進捗やタスクを可視化できる工数管理機能
- ・時間外労働など36協定超過がある場合に自動アラートで知らせる機能
- ・英語、韓国語、ベトナム語、タイ語への切り替えが可能
- ・日勤や夜勤など医療現場の勤務形態に特化した運用も可能
上記の機能は、出勤管理のみの単独利用だけでなく、採用管理や給与計算、経費計算など必要なものを自由に組み合わせての利用も可能です。
テレワークの勤怠管理はもちろん、変形労働やフレックス制、裁量労働などのさまざまな勤務形態に対応していることも特徴的です。
30日間無料で全機能を試すことができ、月ごとにプランの変更もできます。労務管理や給与計算システムとの連携が可能な「ジョブカン人事労務バリューパック」と併せて利用すると、人事労務管理領域を一元管理も可能です。
PC版/モバイル版のアプリ △(※Windows/iOSの打刻アプリあり)
無料版/有料版 △(※30日間の無料お試しあり)
KING OF TIME
16年の歴史をもつ「KING OF TIME」は、サポート体制やシステムの安定性に力を入れている勤怠管理システムです。主に次のような機能を備えています。
<KING OF TIMEの主な機能>
- ・PC、指紋認証、検温連携、ICカードなど豊富な打刻方法から選択可能
- ・シンプルな作業で時間を短縮するスケジュール・シフト管理機能
- ・業務超過を防ぐ残業基準の設定機能
- ・残業や休暇などを一元管理する申請承認機能
- ・有休消化を促す休暇管理機能
- ・テレワークや時差出勤などさまざまな就業体制に対応可能
- ・勤務データをエクセルやPDFなどに出力可能
- ・日本国内と海外、複数拠点の勤務状況の確認が可能
- ・英語対応の選択が可能
KING OF TIMEは、パソコンやスマートフォンから利用できるのはもちろん、さまざまな打刻方法が選択できることも特徴的です。正確な本人確認を重視するときには、生体認証や指静脈認証打刻を選べるほか、顔認証や入退室管理と打刻を連携させることも可能です。
また、検温と出退勤の打刻を連携させることができる機器の取扱いもあります。同システムは、外部の給与計算システムや施錠システムなどとも連携可能なため、すでに導入しているシステムと併用できる可能性もあります。
PC版/モバイル版のアプリ △(モバイル打刻用アプリあり)
無料版/有料版 △(※30日間の無料体験あり)
TeamSpirit
システム開発や製造業など、幅広い業種で導入されている「TeamSpirit」は、操作性とワークフローの統一にも力を入れている勤怠管理システムです。主に次のような機能を備えています。
<TeamSpiritの主な機能>
- ・PCやスマホからの出退勤打刻が可能
- ・価格はそのままで経費精算や工数管理などの一元管理が可能
- ・フレックスや変形労働時間など複雑な勤務体系にも対応
- ・コミュニケーションを活性化させる社内SNS機能
- ・従業員のパフォーマンスを比較して生産性を分析するマネジメント機能
- ・ホウ・レン・ソウを1つの画面で管理するタイムレポート機能
- ・申請から公開までを一元管理するシフト管理機能
TeamSpiritは、勤怠管理はもちろん工数管理や経費精算、電子稟議の一元管理を追加料金なしで使えることが特徴的です。使いやすさにもこだわった仕様で、従業員が行う一日の登録業務が1つの画面で完結できるよう設計されています。
また、生産性の分析を行うダッシュボード機能を使えば、管理者が自社の現状を直感的に把握することも可能です。世界水準のセキュリティ環境で管理されており、運用の安全性にも尽力しているサービスです。
PC版/モバイル版のアプリ 〇
無料版/有料版 △(※30日間の無料トライアルあり)
テレワークの勤怠管理ツールを導入して成功した事例
テレワークのニーズが高まったことから、勤怠管理ツールを導入する企業は増えています。ここでは、勤怠管理ツールの導入に成功した企業の事例をご紹介していきます。
横河レンタ・リース株式会社
IT機器や計測機器のレンタルサービスを展開する「横河レンタ・リース株式会社」は、780人の従業員がスムーズにコミュニケーションが図れるツールを検討した結果「Microsoft Teams」を採用。導入のポイントには「メール文化からの脱却」があったといいます。
同システム導入前のコミュニケーションツールは、電話とメールがメイン。そのため、社内でのやり取りとお客様とのやり取りが混在し、仕事効率の低下が課題に挙がっていました。
導入後は、チャット形式での連絡が可能となったため、社内間の連絡効率も向上したといいます。また、操作性が高いオンライン会議システムにより、テレワーク環境を整えることにも成功。
会社貸与のスマートフォンにもTeamsのアプリをインストールし、外出時などのわずかな空き時間にも会議に参加できるなどコミュニケーションの機会も増えたのだそうです。同社では、柔軟な働き方を実現するツールとして活用されています。
株式会社電通デジタル
電通グループのデジタルマーケティング専門会社である「株式会社電通デジタル」は、2016年に電通本社のデジタルマーケティング専門チームと同社のデジタル領域グループ会社2社が統合して誕生した企業です。
統合にあたっては、それぞれの部門が異なる管理業務の方法を使用していたため、新たに「TeamSpirit」を導入。勤怠管理や労務管理、経費精算を一元的に管理できることも導入のポイントになったといいます。
導入後は、コミュニケーションのツールとして活用していた「Slack」とも連携させ、カスタマイズ化も実現。同社の風土に合った仕様を徐々に構築しながら、現在はテレワークなど新しい生活や労働様式に合わせた管理方法も同システムとともに模索しているといいます。
今後の課題としては、1,400人を超える従業員の勤務時間の把握があるそう。TeamSpiritの打刻データと入退室ログから正確な勤務時間を把握していたこれまでのやり方を見直し、テレワークに対応した管理体制にデジタルシフトしていく構想をもっています。
まとめ
テレワーク時の勤怠管理を正しく行うときには、ツールの活用が効果的です。出退勤の打刻を正確に管理していく方法もツールによってさまざまな種類があり、企業ごとに取り入れやすい仕様を選べるでしょう。また、人事労務機能も一元管理できる勤怠管理システムを活用すれば、管理者の負担を大幅に削減して生産性も高まります。テレワークの導入にあたっては、正しい評価の体制構築も重要なため、勤怠管理ツールの活用を検討してみると良いでしょう。
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