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磁気テープとは?仕組みやメリットを分かりやすく解説

更新日:2022/02/21
磁気テープとは?仕組みやメリットを分かりやすく解説
IT化、DXの進展でデジタルデータの重要性は大きくなっています。同時に、不正アクセスや自然災害などのリスクからデータを保護するデータセキュリティも企業にとって重要な課題です。磁気テープがなぜ注目されているのか、その仕組み・構造、磁気テープのメリット、デメリットを解説します。
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磁気テープとは?

音楽カセットテープやビデオテープなどに使われていた磁気テープ。かつては記録メディアとして広く使われていましたが、今ではハードディスク、さらにはSSDなどのフラッシュメモリにその座を奪われています。コンピュータの世界でも磁気テープは「昔の大型コンピュータに使われているシーンを映像で見るくらい」かもしれません。ですがデジタルデータが爆発的に増加し、データのセキュリティが重要度を増している今、磁気テープは優れた特長を持つ最先端の記録メディアとして大きな注目を集めています。

データを十分に活用しつつ、リスクから守る。相反する高度なニーズに応えられるのが磁気テープを使ったストレージシステムです。

磁気テープが注目されている背景

IT化、IoT、DX(デジタルトランスレーション)、ビッグデータ、AI(人工知能)…。さまざまなキーワードが登場していますが、すべてに共通しているのは「デジタルデータの活用」です。デジタルデータの収集・蓄積・活用があらゆる場面で進んでいます。企業がビジネスで扱うデータ量は爆発的に増加し、データセンターに設置されたストレージなどが活用されてきましたが、大容量・低コストなど、優れたメリットを持つ磁気ディスクが注目されています。

また不正アクセスに対するセキュリティ対策、自然災害から復旧などBCP(事業継続計画)の観点からも、磁気ディスクの高い信頼性やTCO(純保有コスト)の低さが評価されています。

磁気テープの仕組み・構造

磁気テープは、薄いテープ状のベースフィルムに粉末状の磁性体が乗ったもの。長い磁気テープが磁気ヘッドを通過する際に磁気を変化させて、情報を記録します。再生する際は磁気テープの磁気の変化を読み取っていきます。ハードディスクや半導体メモリと比べると、アナログな仕組みに思えますが、タテ・ヨコ10cm程度の小さなカートリッジに約200TBのデジタルデータの記録が可能になります。

磁気テープのメリット

磁気テープのメリット

企業が収集し、活用しているデジタルデータの中で、日常的にアクセスされる、いわゆる「ホット・データ」は全体の2割程度、多くても3割程度と言われます。大半は必要な時にアクセスされたり、バックアップとして保存される「コールド・データ」と言われます。こうしたデジタルデータの実情に、磁気テープはさまざまなメリットを持っています。

メリット①:大容量

磁気テープの最大のメリットは、大容量です。ハードディスクや半導体メモリに比べて、圧倒的な記憶容量を誇ります。現在、磁気テープ保存技術の主流となっているLTO(リニア テープ オープン)では、最新規格「LTO−9」の1巻あたりの保存容量は18TB(圧縮時45TB)。LTOはすでに12世代の「LTO-12」までロードマップが明らかになっており、保存容量は192TB(圧縮時480TB)にのぼります。

メリット②:長期保存

磁気テープは長期保存に適した記録メディアです。ハードディスクや半導体メモリの寿命が数年レベルとされているのに対し、磁気テープは30年以上、条件次第では50年のデータ保存が可能とされています。古いフィルムに100年以上前の映像が残されていることも、磁気テープのメリットを表しています。

メリット③:高い信頼性

磁気テープは故障やエラーが少なく、ハードディスクよりも信頼性の高い記録メディアです。またテープの保管時にはオフラインになり、ハッキングやランサムウェアなどによる不正アクセスからは物理的に切り離されています。バックアップとして、現在、最も信頼性の高いメディアと言えます。データセンターの停電などによるデータの破損や消失もありません。

もちろん保管場所の確保や適切な管理(温度・湿度など)は不可欠ですが、バックアップしたカートリッジを遠隔地に保管し、昨今増加傾向にある自然災害から重要なデータを守り、BCPを実現することにも磁気テープは適しています。

メリット④:低コスト

大容量・長期保存・高い信頼性は、TCO(純保有コスト)の低さにつながります。そもそも磁気テープは、テープ保管時はハードディスクと比べると、大きな電力や特別な空調、バックアップ電源などの設備を必要としません。低コストだからこそ、長期の安全な保存が可能になります。

メリット⑤:省スペース

LTOテープ(カートリッジ)の大きさは、タテ・ヨコが10cm程度、厚さ2cm程度と非常にコンパクト。保存スペースも少なくて済みます。

使い勝手の向上

かつて磁気テープに保存されたデータを読み出すためには、磁気テープのデータをハードディスクに復元し、その後、読み出す必要がありました。しかし現在使われている磁気テープ保存システムは、ファイルシステムを備え、他のストレージと同じように必要なデータを読み出せるようになっています。磁気テープの使い勝手は大きく向上しています。

磁気テープのデメリット

もちろん磁気テープにはデメリットもあります。見ていきましょう。

デメリット①:ランダムアクセス不可

磁気テープはその構造上、ハードディスクのように必要なデータにランダムにアクセスすることはできません。最新の磁気メディアは、データ転送速度はハードディスク以上に高速ですが、必要なデータを読み出すには、不要部分を飛ばす必要があり、その分、時間がかかります。

デメリット②:管理の手間

磁気テープは大容量データの保存が可能ですが、テープの本数が増えてきた場合は管理の手間がかかります。数十巻〜数百巻、場合によっては数千巻のカートリッジを自動で運用可能な「ライブラリ」と呼ばれるハードウェアもありますが、導入コストは大きくなります。

デメリット③:ハードウェアが必要

メリットと表裏一体ですが、ハードディスクとは違って、磁気テープは読み書きのためのドライブが必要になります。

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磁気テープはデジタルデータ時代の記録メディア

磁気テープは爆発的に拡大しているデジタルデータ時代に最適な記録メディアです。アメリカでは大手IT各社が磁気テープを採用し、ビジネスの継続性・信頼性の向上に取り組んでいます。今後、IT化、DX、さらにはAIやロボットの利用が進み、データの重要性はより大きくなります。磁気テープを使ったストレージシステムの整備は、デジタルデータ時代のインフラ整備と言えます。

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