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LTOとは?基本的な知識や特徴とメリット・デメリットをご紹介
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LTOとは
LTOは「Linear Tape Open(リニア テープ オープン)」の頭文字で、磁気テープにデータを保存します。シーゲート・テクノロジー(Seagate Technology)、ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)、IBMの3社が共同開発しました。LTOは、開発した3社が独占する技術ではなく、オープン規格になっており、汎用性と信頼性が高く評価されています。
保存メディアとして磁気テープを使うことは「時代遅れ」と感じる方がおられるかもしれませんが、磁気テープは古い映画が今でも残っているように、長期保存に強いメディアであり、大容量・低コストのデータ保存に適したメディアです。
LTOには2種類の規格、大容量を重視した「Ultrium」と高速性を重視した「Accelis」がありますが、Accelisは利用が広がらず、今ではLTOといえば、ほぼ「Ultrium」を指します。
LTOの歴史
LTOは2000年に登場して以来、進化を続けています。その歴史を簡単に振り返りましょう。
2000年、第1世代の「LTO-1」が登場。現在、2021年の「LTO-9」まで9世代の製品が登場しています。LTO-1は保存容量が100GB(圧縮時200GB)、その後、2〜3年で次の世代が登場し、保存容量や保存速度はおおむね2倍のペースで進化してきました。
最新の第9世代「LTO-9」は保存容量18TB(圧縮時45TB)にまで大容量化しています。さらに12世代までロードマップが明らかにされており、第12世代「LTO-12」では、保存容量192TB(圧縮時480TB)になる予定です。
また、LTOで使われる磁気カートリッジは下位2世代まで互換性があり、1世代前は読み書きが、2世代前は読み出しが可能になっています(一部、例外あり)。オープン規格なので、ドライブとメディアのメーカが異なっていても互換性が保たれています。
LTO装置の種類
信頼性の高さと低コストで注目を集めているLTO。基本的な装置は磁気テープ(カートリッジ)と読み書きを行うドライブです。ドライブはシステムの規模に応じて、いくつかの種類があります。
種類①:シングルドライブ
最もシンプルな装置が、データを読み書きするドライブだけを搭載したシングルドライブです。カートリッジを手動で入れ替えて使用します。
種類②:オートローダー
データの保存を効率的かつ高い信頼性で行うためにドライブに加え、6〜9巻のカートリッジを収納して、テープ交換を自動で行う装置がオートローダーです。小〜中規模のシステムでのデータ保存、アーカイブに対応します。
種類③:ライブラリ
規模に応じてドライブやカートリッジを増設できるモジュラータイプの製品がライブラリです。大規模システムのデータ保存、アーカイブに対応し、モジュラーあたり数十巻のカートリッジを収納可能、システムを拡張すれば、最大で数百巻〜数千巻のカートリッジを収納することもできます。
オートローダーもライブラリも役割としては同じ装置です。
種類④:カートリッジ
データの長期保管を低コストで実現するLTOテープのカートリッジ。テスト環境では50年以上の安定性を持っています。
LTOが利用されている分野
大容量のデータを長期間、低コストで保存できるLTO。その利用分野は、大量の映像データを扱っている放送局や制作会社、取引データの保存がビジネスの重要な部分を占める銀行・証券・保険などの金融会社、国民の個人情報を取り扱う政府や地方自治体、医療データを扱う医療機関、販売データや製造データを蓄積してビジネスに活用するメーカなど、さまざまな分野に広がっています。さらに、こうした幅広い業種・業態にインターネットを介してサーバをはじめ、アーカイブサービスを提供するクラウド業者もLTOを利用しています。
LTOのメリット・デメリット
データの重要性がますます大きくなる今、LTOの重要性も大きくなっています。LTOのメリット・デメリットを整理します。
LTOのメリット:長期保存
磁気テープは、データの長期保存に適した記録メディアです。30年から、条件次第では50年のデータ保存が可能とされています。
LTOのメリット:大容量
大容量のデータを保存可能なことも大きなメリットです。最新のLTO-9では保存容量は18TB(圧縮時45TB)となっています。またデータ転送速度も一般的なハードディスクよりも早くなっています。
LTOのメリット:低コスト
磁気テープは、ハードディスクやSSDに比べると安価。大容量であることを考慮すると、同一容量の保存にかかるコストはさらに低下します。またハードディスクを使ったストレージシステムと比べると電力消費を抑え、二酸化炭素排出量を大きく削減することができ、企業のサスティナビリティへの取り組みに貢献します。
LTOのメリット:省スペース
LTOテープ(カートリッジ)の大きさは、タテヨコが10cm程度、厚さ2cm程度とコンパクト。保存スペースも少なくて済みます。
LTOのデメリット:ランダムアクセスできない
LTOは「リニア・テープ・オープン」の名称のどおり、磁気テープに「リニア」、つまりテープの先頭から直線的にデータを保存していきます。そのためハードディスクのように必要なデータにランダムにアクセスすることはできません。データの転送速度は高速ですが、必要なデータのみを読み出すためには不要部分を飛ばす必要があり、結果的に時間がかかることになります。
LTOのデメリット:管理が煩雑
LTOテープは大容量のデータが保存可能とはいえ、テープの本数が増えてきた場合は、管理を人力で行わねばならず手間がかかります。数十巻〜数百巻、場合によっては数千巻のカートリッジを運用可能なライブラリもありますが、導入コストは大きくなります。
LTO装置の選び方
ビッグデータ時代のデータ保存方法と言えるLTO。LTO装置の選び方を見てみましょう。
選び方①:目的を整理
データ保存やバックアップの目的を整理します。人的ミスのカバー、自然災害やシステム障害を考慮したBCP(事業継続計画)、あるいは昨今、企業にとって大きな脅威となっているコンピュータウイルスやハッキングへの対策など。それも重要な課題ですが、その中でも何を最優先するかによって、選ぶべきシステムや装置が変わってきます。
選び方②:データの種類
データの種類によっても選ぶべきシステムや装置は変わります。例えば、映像データや実験の観察データなど、時間軸で保存されるデータはLTOに適していると言えます。また長期的に確実にデータを保管する場合、LTOならカートリッジのみ移動させ、遠隔地に保管することも可能です。
選び方③:拡張性
LTO装置には、ドライブだけのシングルドライブ、カートリッジの自動入れ替え機能を備えたオートローダー、さらに拡張性の高いライブラリがあります。シングルドライブではカートリッジの管理が煩雑になり、人的なミスが発生する可能性は大きくなりますが、オートローダーやライブラリを導入すれば、そうしたデメリットは解消されます。データの確実で信頼性の高い保存にはオートローダーあるいはライブラリの導入は必須と言えるでしょう。オートローダーかライブラリかは、将来性やデータ量の増加を踏まえて、どこまでの拡張性を求めるかによります。
LTOの将来性とロードマップ
LTOは現在、第9世代の「LTO-9」が登場しています。2000年に登場した「LTO-1」は保存容量が100GB(圧縮時200GB)でしたが、「LTO-9」は保存容量が18TB(圧縮時45TB)。世代が進化するごとに容量はほぼ倍増しています。LTOの規格を定めているLTOコンソーシアムでは、すでに12世代「LTO-12」までロードマップを策定しており、「LTO-12」では保存容量192TB(圧縮時480TB)が実現される予定です。さまざまな業種・業態でのLTOの利用拡大はもちろん、企業・組織に対するサイバーセキュリティ攻撃へのリスクに備えるためにもLTOによるバックアップは今後ますます広がっていくと見られています。
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パナソニックEWネットワークスは、スイッチングハブのメーカ兼システムインテグレーターで、最適な監視カメラ・レコーダを選定しシステムを構築します。大容量保存可能なLTOテープを用いた録画データの長期保存ソリューションのお問い合わせはこちら。
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