1.20世紀デンマークを生きた異才のデザイナー、日本の美術館で初めての本格的な展覧会
ポール・ケアホルムは1950年代から70年代にかけて活動したデンマークの家具デザイナーです。51歳で亡くなるまでの約30年間に生み出した家具デザインは、素材の特性をいかしたミニマリズムを極め、洗練された不朽の名作として、特に建築やデザインの分野で高く評価されてきました。日本国内でも北欧デザインに対する多様な視線が注がれる中、本展は国内美術館でケアホルムを本格的に紹介する初の展覧会として、代表的作品が一堂に会する貴重な機会となります。
2.織田コレクションが語るケアホルムの魅力
本展は、北海道東川町が有する「織田コレクション」を中心に展示構成します。「織田コレクション」は、椅子研究家の織田憲嗣氏が収集した、北欧を中心とする20世紀デザインの家具や日用品、関連資料などがベースです。系統立てて形成された、資料性の高い国内有数のデザインコレクションとして知られています。今回の展示では、収集と研究とともに、日常生活で実際に名作家具を使用する織田氏の、使い手ならではの視点で抽出されたケアホルムの魅力を味わっていただきます。
3.現代のクリエイティブによるユニークな鑑賞空間
パリを拠点に世界的に活躍する建築家、田根剛氏(ATTA)と協働して会場を構成します。展示では作品一つ一つの構造やディテールに焦点を当てるとともに、収集家である織田氏の視線を通して浮かび上がるケアホルムデザインの美に迫ります。織田氏が語り伝える言葉や、グラフィックデザイナー・イラストレーターとしての一面も持つ氏が描いたケアホルム家具のイラストなどもあわせて紹介し、来場者のケアホルム体験が深められるよう趣向を凝らします。会場では、実際にケアホルムデザインの椅子に座ってご体験いただけるコーナーもご用意します。