オフィス
2022.07.12
日本におけるワークプレイスの現状とこれから
ワークプレイスといえば、直感的に働く場所や仕事をする場所という日本語が浮かんでくることでしょう。しかし、それではわざわざ「ワークプレイス」とカタカナ語で呼ぶ必要がないかもしれません。この記事では、日本におけるワークプレイスの定義や現状とこれからに加え、関連サービスや取り組み例などを解説・紹介します。
そもそもワークプレイスとは?
狭義のワークプレイス
ワークプレイスとは「work」と「place」をつなげた言葉で、働く場所を意味しています。ただし、単に働く場所であれば「職場」や「仕事場」といえばよい話でしょう。古くから続く考えでは、本社、支社、営業所、工場等の物理的な空間や設備をもち人員が集合するための拠点を「職場」や「仕事場」と呼んでいます。現在、これらの場所は狭義のワークプレイスだと考えることができます。
変化するワークプレイス
現在、あえてワークプレイスと呼ぶ場合は、狭義のワークプレイスを指すケースもあれば、テレワークを行う自宅やリゾートオフィスも含めた広い範囲を指すケースもあります。さらに、仮想空間とそこで仕事をするためのソフトウェアも含めてワークプレイスと呼ばれるなど、変化を見せているのがワークプレイスの概念です。
日本におけるワークプレイスの流れ
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「日本のワークプレイスのこれまでとこれから」によれば、ワークプレイスは、「作業空間」「機能空間」「生活空間」「経営空間」の順で変化してきたとされています。つまり、最初は上司と部下がいて単純に作業を実施する物理的な空間であり、企業を問わず同じようなワークプレイスでした。その後の変化を経て、いまでは企業の経営内容に適したスタイルで構築される「経営空間」へと変化を遂げています。今後のワークプレイスとして考えられているのが「創造空間」です。
※参照:独立行政法人労働政策研究・研修機構「日本のワークプレイスのこれまでとこれから」(仲隆介)
働き方改革時代のワークプレイス
テレワークの拡大に欠かせないワークプレイスの整備
テレワークの推進が叫ばれている中、ワークプレイスの整備が重要なポイントとなっています。会社の拠点だけだったワークプレイスがサテライトオフィスや自宅、リゾートにまで広がることで、テレワークの拡大が可能となるためです。
ただし、会社の拠点から離れて在宅勤務やリゾート勤務をするだけでテレワークの成功だとはいい切れません。一般的にはテレワークをする場所に会社のオフィスと同等の仕事環境があるとは限らないためです。情報や設備面などで、出社しなくても問題ない状況を作るためには、通信インフラやソフトウェアを巻き込んだワークプレイスの整備が欠かせないでしょう。
ワークプレイスは知的創造空間へ
多様な働き方を前提としたこれからの社会にあって、どの働き方を選択したとしても業務効率アップや生産性の向上が見込めるワークプレイスでなければなりません。また、量より質、ハードからソフトの時代となって、ワークプレイスには知的生産性や知的創造性を高める役割が期待されています。つまり、これからのワークプレイスは知的創造空間といっても過言ではない状況です。
広がりを見せるワークプレイス関連サービスや取り組み
ソフトウェア・環境関連
Meta Platforms, Inc.といえば、2021年にFacebook, Inc.から社名を変更したことで大きな話題となった著名企業です。そのメタ社がリリースしているビジネスコミュニケーションプラットフォームに、そのものズバリ「Workplace」の名がつけられています。
また、パナソニック株式会社ではウェルネスや空間アップデートなどのワークプレイス向けソリューションを多数展開中です。こうした取り組みは、各所に分散するワークプレイスに対応し、生産性を向上したい企業ニーズにマッチするものだといえます。
出先で使えるワークプレイス
仕事をする人がいる場所、それがワークプレイスといえる状況を象徴するかのようなサービスの例として、JR西日本の「駅近ワークプレイス」と「新幹線ワークプレイス」を紹介します。
駅近ワークプレイスは京都駅や大阪駅、岡山駅に小倉駅など、JR西日本の主要駅に設置されている1人用個室ブースです。テレワーク環境を整備する目的で「STATION BOOTH」と名付けられています。
新幹線ワークプレイスとは、乗車前後のシームレスな仕事環境を求めるビジネスパーソンをサポートする試みです。山陽新幹線に設けられた「S Work車両」と「ビジネスブース」のほか、北陸新幹線では「新幹線オフィス車両」が利用されています。
ヘルシーワークプレイス
公益社団法人日本看護協会では、「ヘルシーワークプレイス」の取り組みを実施しています。PDCAを活用しながら自分たちの目指す健康で安全な職場づくりを行うものです。その一環として、看護職の労働安全衛生ガイドラインを策定しています。
ワークプレイスから目が離せない
ワークプレイスは働く場所から、働く人がいる場所へと広がり、変化を見せています。そこに欠かせないのが新しいインフラやソフトウェアの充実です。
ワークライフバランスが重視される時代となって、どこにいても実力を発揮できる社会の実現にとって、ワークプレイスが果たす役割は大きいといえます。これからは、ワークプレイスから目が離せません。
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